【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

秋月一花

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4章:これは、私の恋物語

お茶会 2話

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 なぜ私を招いてくれたのかはわからないけれど――……できれば、この国の方々とたくさん交流して、良い印象を残したい。

 だって、私もユミルトゥスの一員になるのだから。

「ウェットン伯爵家は、フィリベルトさまから見て、どんな方々なのですか?」
「んー、そうだな。堅実な感じかな。義理堅く、優しいけれど……結構熱血なイメージ」
「熱血?」

 エステルさまにたずねたときは、『みんないい人よ』で終わってしまったから、意外な言葉に目を丸くする。

「ウェットン伯爵家の騎士団はすごいよ。オレでもビックリした」

 フィリベルトさまが驚くくらいの、騎士団……? きょとんとした私に、彼はただ笑みを深めた。

 それからしばらくして、ウェットン伯爵家についたらしく、馬車が動きを止める。

 扉を開け、フィリベルトさまが降りると、私に手を差し出した。

 そっと手を重ねて、馬車を降りると、フィリベルトさまが「そうそう」と耳元でささやく。

「ウェットン伯爵家には令息と令嬢がいてね、二人ともオレらの学友になるよ」
「……学友……」

 サクリアナ王国ではできなかった、学友。

 お茶会に参加することはあったけれど、心からの『親友』はいなかった。

「……仲良くなれると、嬉しいですわ」
「そうだね。友だちが増えると交流の輪が広がるから」

 どんな人たちなのかしら……少しの不安と、大きな期待で、ドキドキしてきたわ。

「エステルさま! それにアーノルドさま……フィリベルトさまと、あなたが噂のリディアさまね!」

 馬車から降りていたエステルさまたちと一緒に、ウェットン伯爵家に足を踏み入れると、すぐに穏やかな笑顔を浮かべる女性が声をかけてきた。

「こらこら、オーガスタ。お客さまが驚いてしまうだろう?」
「あっ、そうよね。ごめんなさいね、フローレンス公爵令嬢」

 すっとカーテシーをする女性。きっと彼女がウェットン伯爵夫人ね。

「ようこそ、ウェットン伯爵家へ。お会いできて光栄です」

 胸元に手を添えて、会釈する男性がウェットン伯爵。

 その後ろにいるのが、学友になる令息と令嬢かしら……?

「初めまして。サクリアナ王国から参りました。リディア・フローレンスと申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」

 カーテシーをすると、「おお……」となぜか感心したような声が聞こえた。

「ご丁寧にありがとうございます。レイフ・ウェットンと申します。お前たちも挨拶をしなさい」
「オーガスタ・ウェットンです。レイフの妻ですわ」
「ランドル・ウェットン。スターリング公爵家の方々には、いつもよくしていただいております」
「ソニア・ウェットンと申します。……よろしくお願いいたします」

 ウェットン家の方々の挨拶を聞いて、ソニアさまが私のことを睨むようにじっと見ていることに気づく。……まだ挨拶しかしていないけど、私、彼女の気にさわることをしちゃったかしら……?
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