【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

秋月一花

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4章:これは、私の恋物語

お茶会 4話

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 私とソニアさまを除いて、三人がこの席に座っている。

 うーん、さすが乙女ゲームの世界。

 髪色が青、緑、紫とカラフルだ。

「ごきげんよう、フローレンス公爵令嬢。私はエリノーラ・マイヤーと申します。マイヤー伯爵家の長女です」

 青色の髪の女性が自己紹介をしてくれた。続いて緑色の髪の女性が自身の胸元に手を添えて言葉を紡ぐ。

「メレディス・アビントンです。ええと、子爵の三女です」
「ルーシー・ホッパーですわ。侯爵家の末っ子です」

 最後に紫色の髪の女性が自己紹介をした。

「あ、あの。先ほどのカーテシー、とても綺麗でした」
「ありがとうございます。みなさま、ソニアさまのご友人とうかがいました」
「そうですわ。学園では仲良くさせていただいて……」

 世間話に花を咲かせているうちに、四人のことが段々とわかってきた。本当に仲が良いみたいで、エリノーラさまはもともと伯爵家同士ということで繋がりがあり、メレディスさまとルーシーさまは学園で仲良くなったみたい。

「仲良くなることに、きっかけはございましたか?」
「そうですわねぇ……あえて言うのでしたら、波長が合った、でしょうか」

 ルーシーさまが頬に手を添えた。他の人たちはうんうん、と肯定するようにうなずいている。

「波長……?」
「ええ。わたくしたち、読書が趣味ですのよ。好きな本をお勧めしているうちに、いつの間にか仲良くなりましたの」

 ……ローレンと気が合いそうな方々なのね。

 とはいえ、私も最近本を読んでいるので、少し気になるわ。

「フローレンス公爵令嬢は――」
「お待ちになって。私のことは、名前で呼んでください」

 メレディスさまがこちらに顔を向けて、声をかけようとしたのを止めて、自身の願いを口にする。四人は驚愕したように目を大きく見開いた。

 ……そんなに驚くことでは、ないと思うのだけど……

「……ですが、サクリアナ王国の公爵令嬢を名前で、なんて……」

 失礼では? と不安そうなメレディスさまに、私はにっこりと微笑みを浮かべた。

「私は夏期休暇が終われば、みなさまと『学友』になりますわ。ユミルトゥスに留学すると決めたとき、ずっと願っていたことがあるのです」
「願っていたこと……?」

 不思議そうな表情を浮かべる彼女たちに、私は一度視線を落としてから、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「恥ずかしながら、サクリアナ王国では『友人』と呼べる人がいませんでした。ですから、ユミルトゥスでは、『友人』がほしいと……ずっと願っていたのです」

 言いながら、恥ずかしくなってしまって両指を合わせた。

「そうでしたの……」

 エリノーラさまがぽつりとこぼし、ルーシーさまが私に手を伸ばしてぎゅっと握り込む。

「そのお気持ち、とってもよくわかりますわ!」
「え、ええ?」
「わたくし、侯爵家の末っ子と言ったでしょう? わたくしに近づくのは大体『利用してやる』と下心満載の方々でしたのっ! ですが、いまではこうしていろんな物語の感想を言い合える友人ができましたわ。だから、絶対に気の合う友人はできます、リディアさまにも絶対! むしろわたくし、立候補したいくらいですわ!」

 あまりにも勢いよく……マシンガントークをするルーシーさまに、ポカンとしてしまった。

 でも、彼女の言葉は私の心を温かくしてくれた。友人に立候補してくれたのは、きっと本心だろう。

「ありがとうございます。ぜひ、友人になってください」
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