【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

秋月一花

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4章:これは、私の恋物語

お茶会 5話

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 ルーシーさまは顔を赤らめて、こくりとうなずく。

 自身のマシンガントークに気づいたのかもしれないわね……

「ソニアさま、エリノーラさま、メレディスさま。よければ私の友人になってくださいませ」

 三人とも、一瞬びっくりしたように目を見開いたけれど、すぐに首を縦に振ってくれた。

「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」

 ……友人が一気に四人もできちゃった。サクリアナ王国ではできなかったことを、自分から積極的にできたことに私自身驚いたわ。

 でも、この国には『リディア・フローレンス』という人物を知る人はいない。

 フィリベルトさまの話は国中に広がっているみたいだけど、それが私だとはまだそんなには広がっていないと思うから、『私自身』を知ってもらうにはちょうどいいタイミングよね、このお茶会。

 きっとエステルさまは、そのつもりで私を連れてきてくれたのだと思う。

 ちらりと彼女の姿を探すと、ぱちりと視線が交わった。

 そして、花がほころぶようににこりと微笑む姿を見て、そっと首元のネックレスに触れる。

「素敵ですわね、そのネックレス」
「ありがとうございます、母の形見ですの」

 メレディスさまに褒められて、するりと言葉が口からこぼれ落ちた。

「……そうでしたの……」

 しんみりとした空気にしてしまった、と慌てていたら、ソニアさまが私に――いえ、私のネックレスに向けて、頭を下げる。

「私たちがリディアさまを支えます。ご安心くださいね」

 ――とても、柔らかい口調だった。

「こんなに美しい人を、私は初めて見ました」

 ぽつり、とソニアさまは言葉を続ける。

 挨拶のときに睨まれた、と思っていたけれど……もしかしたら、魅入みいってくれていたのかもしれない。

「しっかりと、お守りしないといけませんわね」
「ええ。わたくしたちでリディアさまを守りますわ」

 素直に、嬉しい言葉だと思う。でも、どうしてそんなに……? と疑問を抱いていると、ソニアさまがゆっくりと深呼吸をして、自身の胸元に手を添えた。

「せっかく友人になれたんですもの。サクリアナ王国のこともお聞きしたいし、他の話もたくさん教えていただきたいですわ」
「私でよければ、ぜひ」
「それに、リディアさまはフィリベルトさまの婚約者。スターリング公爵家が後ろ盾になっているとしても、知っている人がいない留学は大変でしょう?」

 サクリアナ王国からユミルトゥスに留学した学生は、私だけ。

 だから、ルーシーさまの言う通り、学友はいない。

 ……ああ、そうか。エステルさまは、私が新しい環境で孤立しないように、ウェットン伯爵家のお茶会に誘ってくださったのかも。

 楽しい学園生活をできるように、友人を作るチャンスをくださったんだわ。
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