【完結】婚約破棄された悪役令嬢は、一途な愛を注ぎこまれています。

秋月一花

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4章:これは、私の恋物語

恋をすると…… 1話

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 だって、気づいてしまったの。

 私、一人でしゃんと立ち、前に進むことが強さだと思っていた。

 でも――……人は誰かに支えてもらうことで、もっと強くなれるって。

 支えてくれた大切な人を、今度は私が支えたい。

「フィリベルトさま。あの日、私に声をかけてくださって、ありがとうございます」

 彼の心に、少しでも届けばいいな。あの日、あのタイミングで声をかけてくれたことで、私が救われたこと――……

「……いろいろ吹っ切れた顔をしているね、リディア」
「ええ。私を支えてくれるみんながいるからですわ」

 誰かに頼ることは、しちゃいけないと思い込んでいた。

 アレクシス殿下を支える側、だと考えていたから……思い込みって怖いわね。

「きっとこれからも、たくさんのことが私たちを待っているでしょう。ですが、貴方となら乗り越えられる気がします」

 エステルさまとアーノルドさまのように、なんて……おこがましいかしら?

 互いを支え合える関係になりたい。そのためにも、この世界のことをもっと知りたいわ。

「リディアが傍にいてくれるなら、どんなことでも乗り越えられるよ、絶対ね」

 言い切ったフィリベルトさまに、目をぱちくりとまたたかせてしまう。

 だけど、その言葉に、胸がじんわりと温かくなる。

「私も、そう信じています」

 そう言ったときの、フィリベルトさまの表情が、とても優しくて……この人は本当に私のことを好いているのだと実感がわいてきた。

「夏季休暇中に神殿にも行くので、いろいろ準備を進めないとね」
「婚約式……ですわね?」

 フィリベルトさまは再び歩き出した。歩きながら、会話を続けると、彼はこくりとうなずく。

「そうだよ。リディアのご家族も呼ぶから、いろいろスケジュールを調整しないと」

 サクリアナ王国で、お父さまとお兄さまはどんな生活をしているのかしら。

 残してきた二人を思って、きゅっと自分の胸元を握ると、フィリベルトさまがふわりと微笑んだ。

「大丈夫だよ」

 あまりにも自信に満ちた声だったので、疑問を抱いて彼を見上げる。

「実は、手紙のやりとりをしているんだ。リディアが幸せに暮らしているのなら、それでいいって」
「文通を……?」
「リディアからの手紙を心待ちにしているみたいだよ」

 落ち着いたら手紙を送ろうと思っていたけれど、バタバタして後回しになってしまった。

 婚約式までに手紙を出したいわ。私は元気に過ごしているから、心配しないでって伝えたい。

「婚約式の招待状、書かないといけませんわね」
「すっごく豪華な装飾の封筒とメッセージカードを用意しようか」

 楽しそうなフィリベルトさまの表情を見ていると、こちらまでなんだかワクワクしてきた。

 あまりにもきらびやかな招待状だと、ビックリさせちゃうかな?
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