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4章:これは、私の恋物語
恋をすると…… 2話
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どんな招待状にしようかと話し合っていると、あっという間に部屋についてしまった。
なんだか名残惜しい。でも、この幸せな気持ちの余韻にも浸かっていたい気もする。
そんな私を見て、なにを思ったのか、フィリベルトさまはそっと私の手を離すと肩に手を置いた。
「フィリベルトさま?」
「今日はゆっくり休んで。お茶会の準備で忙しかっただろう?」
ちゅ、と額に唇を落とされて、頬に熱が集まる。フィリベルトさまは満足そうに笑みを深めて、その場から去っていった。……頬が……いいえ、顔が熱いわ。
部屋に入って扉を閉め、そのままずるずるとしゃがみ込んでしまう。
胸が高鳴って、鼓動の音が大きく聞こえる。……どうしようもなく、フィリベルトさまのことが好きなのだと、改めて感じた。
すくっと立ち上がって、ベッドに座り、そのままごろんと寝転ぶ。
枕を手にして、ぎゅっと抱きしめて目を閉じた。
――フィリベルトさまが、好き。
そう想えることが、こんなにも嬉しいことなんて、知らなかった。
ありのままの『私』を見てくれる、大切な人。
「……ふわふわしちゃうわね」
気持ちが。
まるで雲の上に立っているかのよう。
唇を落とされた額に、そっと手を乗せる。
ユミルトゥスで初めての友人ができて、私のことを支えてくれると言ってくれた。
私って、人に恵まれている。
……どうしてゲームのリディアは、悪役令嬢になったのだろうと疑問を抱くくらいには、恵まれた環境だ。
自分を愛してくれる家族、支えてくれる侍女。さらに公爵令嬢という身分。
もうゲームのリディアのことはおぼろげにしか思い出せないけれど……そもそも、悪役令嬢として活躍するルートをプレイしていないから、なんとも言えない。
他の人のルートでもちょこちょこ出てきて、主人公に忠告するくらいだった。
『婚約者のいる方の傍に近寄るのは、おやめなさい』
『その程度の実力で、本当にあの方の力になれるとお思いで?』
『もう少し、淑女としての知識を身につけ、わきまえなさい』
覚えている範囲では、こんなことを言っていた……はず。
口調も厳しめだったけれど、彼女の言っていることは間違っていないとも思って、印象に残っていたのよね。
「さて、と……」
むくりと起き上がって、サイドテーブルに置いてある鈴を鳴らす。
すぐにローレンとチェルシーが来てくれて、服を着替えたりお茶を頼んだり、彼女たちと一緒に会話を楽しんだりと、穏やかな時間を過ごした。
「……お嬢さま、どんどんと綺麗になりますね」
「えっ?」
お茶を飲んでいた私の顔をじっと見つめていたローレンが、頬に手を添えてしみじみとつぶやいた。チェルシーもこくこくと首を縦に振っていたので、「そうかしら?」と首をかしげる。
「そうですね! スターリング領にきてから、ますますお美しくなりました!」
「あ、ありがとう……」
面と向かって褒められると、心がむずむずとしちゃうわ。
「恋をすると綺麗になる、と言いますものね」
ローレンが微笑みながら、ほろりと涙をこぼした。
なんだか名残惜しい。でも、この幸せな気持ちの余韻にも浸かっていたい気もする。
そんな私を見て、なにを思ったのか、フィリベルトさまはそっと私の手を離すと肩に手を置いた。
「フィリベルトさま?」
「今日はゆっくり休んで。お茶会の準備で忙しかっただろう?」
ちゅ、と額に唇を落とされて、頬に熱が集まる。フィリベルトさまは満足そうに笑みを深めて、その場から去っていった。……頬が……いいえ、顔が熱いわ。
部屋に入って扉を閉め、そのままずるずるとしゃがみ込んでしまう。
胸が高鳴って、鼓動の音が大きく聞こえる。……どうしようもなく、フィリベルトさまのことが好きなのだと、改めて感じた。
すくっと立ち上がって、ベッドに座り、そのままごろんと寝転ぶ。
枕を手にして、ぎゅっと抱きしめて目を閉じた。
――フィリベルトさまが、好き。
そう想えることが、こんなにも嬉しいことなんて、知らなかった。
ありのままの『私』を見てくれる、大切な人。
「……ふわふわしちゃうわね」
気持ちが。
まるで雲の上に立っているかのよう。
唇を落とされた額に、そっと手を乗せる。
ユミルトゥスで初めての友人ができて、私のことを支えてくれると言ってくれた。
私って、人に恵まれている。
……どうしてゲームのリディアは、悪役令嬢になったのだろうと疑問を抱くくらいには、恵まれた環境だ。
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もうゲームのリディアのことはおぼろげにしか思い出せないけれど……そもそも、悪役令嬢として活躍するルートをプレイしていないから、なんとも言えない。
他の人のルートでもちょこちょこ出てきて、主人公に忠告するくらいだった。
『婚約者のいる方の傍に近寄るのは、おやめなさい』
『その程度の実力で、本当にあの方の力になれるとお思いで?』
『もう少し、淑女としての知識を身につけ、わきまえなさい』
覚えている範囲では、こんなことを言っていた……はず。
口調も厳しめだったけれど、彼女の言っていることは間違っていないとも思って、印象に残っていたのよね。
「さて、と……」
むくりと起き上がって、サイドテーブルに置いてある鈴を鳴らす。
すぐにローレンとチェルシーが来てくれて、服を着替えたりお茶を頼んだり、彼女たちと一緒に会話を楽しんだりと、穏やかな時間を過ごした。
「……お嬢さま、どんどんと綺麗になりますね」
「えっ?」
お茶を飲んでいた私の顔をじっと見つめていたローレンが、頬に手を添えてしみじみとつぶやいた。チェルシーもこくこくと首を縦に振っていたので、「そうかしら?」と首をかしげる。
「そうですね! スターリング領にきてから、ますますお美しくなりました!」
「あ、ありがとう……」
面と向かって褒められると、心がむずむずとしちゃうわ。
「恋をすると綺麗になる、と言いますものね」
ローレンが微笑みながら、ほろりと涙をこぼした。
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