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4章:これは、私の恋物語
恋をすると…… 3話
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「ローレン?」
ハンカチを取り出して、涙を拭うローレンは、喉を震わせながら言葉を紡ぐ。
「お嬢さまが、心から好きになれる人がいて、よかったです」
――ローレンは私よりも年上だ。王妃教育でぐったりしているところを、よく助けてもらっていた。
きっと、ずっと気にかけてくれていたのだろう。
王妃教育と学園、さらにアレクシス殿下とフローラのことで、『私』はいろいろと追い詰められてしまった。
それでもがんばれていたのは、支えてくれていた彼女たちがいたから。
……ただ、その恩恵に気づけたのは、心のゆとりができてからなのよね。
「……二人とも、いつもありがとう」
「お嬢さま……」
うるうると涙をにじませて、チェルシーはハンカチを取り出し、自身の涙を拭いてからにっこりと笑顔を浮かべる。
「お嬢さまが幸せだと、私たちはとっても安心できます!」
ハンカチをぎゅっと握りしめて、チェルシーが断言すると、ローレンは「そうですよ」と同意してから胸元に手を添えた。
「今のお嬢さま、とてもよい顔をしています」
思わず、目を丸くしてしまった。いったい彼女たちには、今の私はどう映っているのかしら?
「アレクシス殿下と一緒のときよりも、輝いているように見えます! 笑顔も自然ですし!」
力説するチェルシーに、過去のことを思い浮かべる。
そういえば……私があの誰にも悟らせない笑顔を、顔に貼りつけるようになったのはいつからだった?
アレクシス殿下とも、昔はもう少し素で話せていたような気がする。
ただ、王妃教育が難しくなるにつれて、アレクシス殿下は私に近づかなくなった。マダム・カステルのことが苦手、というのもあるのかもしれないけれど……
昔みたいに話せなくなってしまい、寂しく思うことはあったけれど、その寂しさを紛らわせるために無我夢中で学んでいた……ような気もする。
結局、私も悪かったのよね。忙しかったから、という理由で向き合うことをしなかった。
「表情が曇りましたが、どうしました?」
心配そうなローレンの顔を見て、緩やかに首を左右に振る。
「なんでもないの。……私、この国で絶対、幸せになってみせるわ」
「その意気です、お嬢さま! チェルシーはずっと、お嬢さまを応援しますよ!」
「チェルシーったら、もう。ですが、このローレンもお嬢さまのことをずっと応援しますし、支えますわ」
今でも充分、支えてもらっているわ。
その言葉を呑み込んで、私は二人に最高の笑顔を浮かべてみせる。
「あなたたちが私の侍女で、本当によかった。これからもよろしくね?」
「はい!」
「もちろんです!」
二人の返事に満足して笑みを深めると、二人ともにこにこと上機嫌そうに笑っていた。
サクリアナ王国でできなかった、人と向かい合うこと。
この国では、きっとできると思うの。だって、私にはこんなに多くの味方がいてくれると、改めて確認できたから。
大切な人たちのために、私――いろんなことをがんばりたい。
「……それじゃあ、まずは、婚約式までにもっときれいになれるよう、二人にも協力してもらおうかしら」
「婚約式! とっても綺麗な姿でしましょうね!」
「フローレンス公爵と小公爵もいらっしゃるのですよね?」
「その予定よ。だから、とびきりきれいになりたいの」
二人はパッと表情を明るくして、「お任せください」と胸をドンと叩いた。
ハンカチを取り出して、涙を拭うローレンは、喉を震わせながら言葉を紡ぐ。
「お嬢さまが、心から好きになれる人がいて、よかったです」
――ローレンは私よりも年上だ。王妃教育でぐったりしているところを、よく助けてもらっていた。
きっと、ずっと気にかけてくれていたのだろう。
王妃教育と学園、さらにアレクシス殿下とフローラのことで、『私』はいろいろと追い詰められてしまった。
それでもがんばれていたのは、支えてくれていた彼女たちがいたから。
……ただ、その恩恵に気づけたのは、心のゆとりができてからなのよね。
「……二人とも、いつもありがとう」
「お嬢さま……」
うるうると涙をにじませて、チェルシーはハンカチを取り出し、自身の涙を拭いてからにっこりと笑顔を浮かべる。
「お嬢さまが幸せだと、私たちはとっても安心できます!」
ハンカチをぎゅっと握りしめて、チェルシーが断言すると、ローレンは「そうですよ」と同意してから胸元に手を添えた。
「今のお嬢さま、とてもよい顔をしています」
思わず、目を丸くしてしまった。いったい彼女たちには、今の私はどう映っているのかしら?
「アレクシス殿下と一緒のときよりも、輝いているように見えます! 笑顔も自然ですし!」
力説するチェルシーに、過去のことを思い浮かべる。
そういえば……私があの誰にも悟らせない笑顔を、顔に貼りつけるようになったのはいつからだった?
アレクシス殿下とも、昔はもう少し素で話せていたような気がする。
ただ、王妃教育が難しくなるにつれて、アレクシス殿下は私に近づかなくなった。マダム・カステルのことが苦手、というのもあるのかもしれないけれど……
昔みたいに話せなくなってしまい、寂しく思うことはあったけれど、その寂しさを紛らわせるために無我夢中で学んでいた……ような気もする。
結局、私も悪かったのよね。忙しかったから、という理由で向き合うことをしなかった。
「表情が曇りましたが、どうしました?」
心配そうなローレンの顔を見て、緩やかに首を左右に振る。
「なんでもないの。……私、この国で絶対、幸せになってみせるわ」
「その意気です、お嬢さま! チェルシーはずっと、お嬢さまを応援しますよ!」
「チェルシーったら、もう。ですが、このローレンもお嬢さまのことをずっと応援しますし、支えますわ」
今でも充分、支えてもらっているわ。
その言葉を呑み込んで、私は二人に最高の笑顔を浮かべてみせる。
「あなたたちが私の侍女で、本当によかった。これからもよろしくね?」
「はい!」
「もちろんです!」
二人の返事に満足して笑みを深めると、二人ともにこにこと上機嫌そうに笑っていた。
サクリアナ王国でできなかった、人と向かい合うこと。
この国では、きっとできると思うの。だって、私にはこんなに多くの味方がいてくれると、改めて確認できたから。
大切な人たちのために、私――いろんなことをがんばりたい。
「……それじゃあ、まずは、婚約式までにもっときれいになれるよう、二人にも協力してもらおうかしら」
「婚約式! とっても綺麗な姿でしましょうね!」
「フローレンス公爵と小公爵もいらっしゃるのですよね?」
「その予定よ。だから、とびきりきれいになりたいの」
二人はパッと表情を明るくして、「お任せください」と胸をドンと叩いた。
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