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4章:これは、私の恋物語
これは、私の恋物語 1話
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――それからは、婚約式に向けていろいろと努力をした。
ドレスを選んだり、アクセサリーを選んだり、食べ物や飲み物にもこだわって、史上最高の『リディア・フローレンス』を目指したの。
すべての準備を終え、ついに今日、神殿で婚約式をする。
神殿までは、竜に乗って向かった。いろいろなものも運ばないといけないから、という理由だったけれど、たぶん、私のためだ。
フィリベルトさまの竜――ムーンにまた乗りたいと、彼に話したことがあったから。
ムーンに乗って空の旅路を楽しみながら、神殿に向かう。
神殿の裏に、竜が降りるスペースがあるみたいで、そこに着地した。
「では、今からお嬢さまを、とびきり綺麗にしますね!」
竜に乗るのはちょっと……と言っていたローレンとチェルシーは、先に馬車で神殿に向かっていたため、私たちに気づくと大きく手を振って迎えてくれた。すぐにこちらに近づいて、私の手を取るとフィリベルトさまに満面の笑みをみせる。
「楽しみにしている。どんなに綺麗になるのか」
「ふふ、私も自分がどれだけ綺麗になるのか楽しみですわ」
神殿の一室を借りて、さっそく婚約式の準備を始めた。
ドレスは純白、ネックレスはお母様の形見。指輪はフィリベルトさまが用意してくださったもの。
髪をまとめあげ、化粧を終えた自分の姿を鏡で確認する。
「……二人の手腕には、本当に感心するわ……」
鏡の中の私は、私ではないみたいに美しかった。
少しきつい印象を残しやすい目は、垂れ目、まではいかないけれど柔らかな印象に。
薄くチークが入り、血色よく。ローズピンクの口紅で、なんだかとても『愛らしい』と自分で思える姿だ。
部屋の扉をノックする音が聞こえ、返事をするとお父さまとお兄さまがひょっこりと顔を覗かせた。二人とも、私のことを見ると、大きく目を見開き、それからすぐに表情を朗らかにする。
「とても綺麗だよ、リディア」
「ああ。もうこんなに……大人の女性になったんだな……」
お兄さまはしみじみと、お父さまは感慨深そうに言葉をこぼす。
「ありがとうございます。キースお兄さま、お父さま。二人とも、忙しかったのでは……?」
「リディアのためなら、いつでも都合を合わせるよ」
「竜にも乗ってみたかったからな」
どうやら、スターリング家の竜で迎えにいき、ここまで竜に乗ってきたらしい。子どものように目をキラキラと輝かせている二人を見て、くすりと口角を上げた。
「どうでした、空の旅は?」
「とてもスリルがあったよ。でも、風を切る感覚、というか……とてもワクワクした」
「ユミルトゥスが竜の国と呼ばれている意味が、よく理解できた気がする」
私もムーンに乗ってきたから、二人の言葉はよくわかる。やっぱり、竜に乗って移動するのって、サクリアナ王国ではなかったことだから新鮮なのよね。
二人とも酔わなかったみたいだから、帰りもきっと竜に乗っていくんだろうな。
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