16 / 132
第16話 奴隷購入①
しおりを挟む
ブリュノが奴隷購入についての流れを説明してくれる。
「まずは、お客様のご要望をお伺いします。見た目、種族、年齢、性別、目的といったものでしょうか。それを聞いた上で私の方でお客様の要望に沿った奴隷をご紹介させて頂きます。奥に部屋が分けれてありますのでそちらで奴隷を確認して頂き、気に入った者がいたら、代金を頂戴いたします。最後に奴隷契約を結ぶ形になります」
ブリュノは丁寧に説明してくれた。
「なるほどな。見た目は良いに越したことは無い。種族は人間かエルフで頼む。年齢は25歳より下で、性別は女、目的はうちの使用人として雇いたい」
「雇うということは賃金を与えるということでよろしいでしょうか?」
「もちろんだ」
「ちなみにいかほど……?」
「一日の労働につき、銀貨で3枚出す」
「え!?」
ブリュノは驚いた顔をした。
「なんだ、少なかったか? ならもっと……」
「い、いや、多すぎでは?」
「そこは別に気にしていない。他の使用人と同じ仕事をしてもらうのに差別するのはおかしな話だろ」
「そ、そうでございますね。では、さっそくご案内させて頂きます」
ブリュノの案内で入った最初の部屋には綺麗な服を着ており、身なりの整った女性たちが居た。
ここで、樹の奴隷に対するイメージは打ち砕かれることになった。
檻の中には居るのだが、皆、椅子に座っており、笑顔を樹に向けてくる。
種族は人族が多いようであった。
「彼女たちは没落貴族の息女などです」
「うーん、なんか違う気がする」
「おや、お気に召しませんでしたか。では、こちらに」
ブリュノの先導の元、次の部屋へと移った。
「こちらには戦闘スキルに長けた者を揃えております」
「ほう、獣人か。他は居ないのか?」
「ここにも居ないとなると次の部屋になりますが、あまりお勧めは出来ませんよ」
「構わん、見せてくれ」
次の部屋に入ると明らかにさっきの雰囲気とは違う感じが漂っていた。
不衛生とまではいかないが、先ほどの部屋よりは衛生面が少し気になる。
奴隷たちもぐったりしている者が多かった。
「ここには、うちに来た時には治らない怪我や病気を抱えた者たちになります。他の奴隷と同じ扱いをしていますが、正直、慈善事業に近い形になります」
国からの許可がないと営業できない奴隷商はこういった者たちが巡ってくることがあっても断らずに受け入れているのだとか。
「なるほどな……」
樹はスキル鑑定を使って一人ひとりのステータスを確認していく。
すると、そこに気になるステータスを持った少女が居た。
「この子は?」
「ああ、彼女は恐らく、人族だと思いますが、両耳、右目が欠損しており、足にも後遺症があります。前の主人に酷い扱いをされたのでしょう。人にステータスを見られるのをひどく嫌がります」
それを聞いて、樹は悪いことをしてしまったと思ったが、樹の決心は決まった。
「この子にする。いくらだ?」
「はい!?」
「だから、この子を買うと言っているんだ」
「ほ、本当によろしいのですか?」
「ああ、もう、決めたからな」
「き、金貨三枚でいかがでしょうか?」
金貨三枚というのが奴隷の中では最安値に近いのだろう。
それでも樹はどうしても彼女のステータスが気になったのだ。
称号:エルフの里長老の娘
この一文に。
「まずは、お客様のご要望をお伺いします。見た目、種族、年齢、性別、目的といったものでしょうか。それを聞いた上で私の方でお客様の要望に沿った奴隷をご紹介させて頂きます。奥に部屋が分けれてありますのでそちらで奴隷を確認して頂き、気に入った者がいたら、代金を頂戴いたします。最後に奴隷契約を結ぶ形になります」
ブリュノは丁寧に説明してくれた。
「なるほどな。見た目は良いに越したことは無い。種族は人間かエルフで頼む。年齢は25歳より下で、性別は女、目的はうちの使用人として雇いたい」
「雇うということは賃金を与えるということでよろしいでしょうか?」
「もちろんだ」
「ちなみにいかほど……?」
「一日の労働につき、銀貨で3枚出す」
「え!?」
ブリュノは驚いた顔をした。
「なんだ、少なかったか? ならもっと……」
「い、いや、多すぎでは?」
「そこは別に気にしていない。他の使用人と同じ仕事をしてもらうのに差別するのはおかしな話だろ」
「そ、そうでございますね。では、さっそくご案内させて頂きます」
ブリュノの案内で入った最初の部屋には綺麗な服を着ており、身なりの整った女性たちが居た。
ここで、樹の奴隷に対するイメージは打ち砕かれることになった。
檻の中には居るのだが、皆、椅子に座っており、笑顔を樹に向けてくる。
種族は人族が多いようであった。
「彼女たちは没落貴族の息女などです」
「うーん、なんか違う気がする」
「おや、お気に召しませんでしたか。では、こちらに」
ブリュノの先導の元、次の部屋へと移った。
「こちらには戦闘スキルに長けた者を揃えております」
「ほう、獣人か。他は居ないのか?」
「ここにも居ないとなると次の部屋になりますが、あまりお勧めは出来ませんよ」
「構わん、見せてくれ」
次の部屋に入ると明らかにさっきの雰囲気とは違う感じが漂っていた。
不衛生とまではいかないが、先ほどの部屋よりは衛生面が少し気になる。
奴隷たちもぐったりしている者が多かった。
「ここには、うちに来た時には治らない怪我や病気を抱えた者たちになります。他の奴隷と同じ扱いをしていますが、正直、慈善事業に近い形になります」
国からの許可がないと営業できない奴隷商はこういった者たちが巡ってくることがあっても断らずに受け入れているのだとか。
「なるほどな……」
樹はスキル鑑定を使って一人ひとりのステータスを確認していく。
すると、そこに気になるステータスを持った少女が居た。
「この子は?」
「ああ、彼女は恐らく、人族だと思いますが、両耳、右目が欠損しており、足にも後遺症があります。前の主人に酷い扱いをされたのでしょう。人にステータスを見られるのをひどく嫌がります」
それを聞いて、樹は悪いことをしてしまったと思ったが、樹の決心は決まった。
「この子にする。いくらだ?」
「はい!?」
「だから、この子を買うと言っているんだ」
「ほ、本当によろしいのですか?」
「ああ、もう、決めたからな」
「き、金貨三枚でいかがでしょうか?」
金貨三枚というのが奴隷の中では最安値に近いのだろう。
それでも樹はどうしても彼女のステータスが気になったのだ。
称号:エルフの里長老の娘
この一文に。
37
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる