最強賢者の最強メイド～主人もメイドもこの世界に敵がいないようです～

第24話 エリーヌの祖父母

　リビングでクリストフ夫妻と向かい合う形で座っていた。

「そうか。ここに来る途中で刺客に襲われたのか。エリーヌを守ってくれてありがとう。感謝する」

　そう言ってクリストフさんは頭を下げた。

「いえ、頭を上げてください。僕らは任務を全うしただけですから」
「若いのに人間ができておるの。色々と神経を使って疲れたじゃろう。夕食まで部屋で休むといいぞ。おい、案内してやってくれ」

　クリストフさんは近くに居たメイドさんに頼んだ。

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

　メイドさんにの案内により二階に上がった樹たちはそれぞれ部屋に通された。

「どうぞごゆっくりおやすみになられて下さい」
「うん、ありがとう」
「ありがとうございます」
「夕食の時間になりましたら呼びに参ります」

　そう言うとメイドさんは仕事に戻る様子だった。

「こりゃ、また広い部屋だことな」

　そう呟いた樹はそのままベッドに倒れ込んだ。

「疲れたぁ」

　樹は自分の思っていた以上に疲労が溜まっていたようだった。

「調子のって魔力使い過ぎたかな」

　そんなことをぼんやり考えていた樹だったが、気がついたら意識を手放した。

　しばらくして、ドアをノックする音で目が覚めた。

「寝ちゃったのか……」
「樹さま、夕食のご用意ができました」

　樹たちを案内してくれた時と同じメイドさんが呼びに来てくれた。

「分かりました。今行きます」

　樹は脱いでいたジャケットに袖を通すと一階に降りた。
リビングに入るとそこにはクリストフさん、カミーユさん、エリーヌにアリアが待っていた。

「お待たせしてしまったみたいですみません」

　樹は恐縮しながらもアリアの隣の席についた。

「いや、構わんよ。樹くんもお疲れじゃろう。さあ、頂くとしようか」

　目の前には料理が並べられていた。
焼き魚にお味噌汁、白米だった。

「おお、和食だ！」

　久しぶりに見る和食に興奮する樹だった。

「樹くんは和食が好きなのかね？」
「ええ、好きです。久しぶりに食べますが」

　そういえば、この世界に来てから和食というものとは縁の無い生活を送っていた。

「やっぱ、和食はいいよな」

　そんなことを思いながら、樹たちは久々の和食に舌鼓をうった。

「ところで、樹くんたちはいつ王都に戻るんだね？」

夕食を食べ終えた頃にクリストフさんに尋ねられた。

「はい、エリーヌ様が帰る時に私たちも戻ります」
「じゃあ、明後日かね。明日はなにか予定はあるのかね？」
「ええ、この街は初めてなので、ちょっと二人で観光でもしようかと思っています」
「そうかそうか、この街は美味いもんも多いし、街並みも楽しめると思うぞ」

　そう言ってクリストフさんは優しく微笑んだ。

「そうなんですね。明日はのんびり観光してみようと思いいます」

　その後、部屋に戻ると早々に眠りに就いた。