最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

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第34話 組織の解体

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 樹とアリアはやっとの思いで粉塵爆発から逃れた。

「アリア、怪我はないか?」
「はい、樹さまの物理結界のおかげで助かりました」
「そうか、それはよかった。にしても、凄い威力の爆発だったな」
「恐らくですが、あれはただの粉塵爆発ではありません。魔力で爆発威力を増幅していました」
「そんなこと分かるのか?」
「ええ、私は少し目がいいので」

 樹たちは後ろを振り返って洞窟の方を見た。

「組織の連中はあの下敷きだよな」
「ええ、恐らくあれに巻き込まれたらもう、助からないかと。ボスは自滅する予定だったんでしょうか?」
「いや、あいつはそんな奴じゃない。ヤツは生きている」

 樹にはそう思えてならなかった。

「ふっ、断絶結界が使えるのがお前だけだと思うなよ」

 組織のボスはスーツに付いた砂埃を払いながら言った。

「またしても、私の邪魔をしてくれたな」

 樹の予想は当たっていた。
ボスは自滅する気など最初から無かったのだ。
断絶結界を利用し、組織のボスは生き延びていた。

「でも、とりあえず、組織の解体は出来たんじゃないでしょうか?」
「まあ、そうだな。あのボス、相当な手練れだな」

 この組織のボスはこれからも樹たちの前に立ちはだかることになるのだが、それはまた別のお話。

「王都に帰るとするか」
「はい、そうしましょう」

 樹は馬車をストレージに仕舞った。

「樹さまのストレージの容量はどうなっているんです!?」

 樹が普通にストレージに馬車を仕舞うとアリアは驚いた表情した。

「まあ、このくらいはなんてことないかな。帰りは転移魔法で帰ろうと思ってな」
「それは、賛成ですが」

『転移』

 樹は転移魔法を展開した。
紫色に光る魔法陣の上に乗ると一瞬で王都の城壁の近くへと移動した。
さすがに、白昼堂々王都の真ん中にあるギルドへ転移するわけにもいかない。
転移すると王都に入るための検問の列に並んだ。

「あ、樹さんたちじゃないすか。依頼ですか? 通っていいですよ」
「ああ、そんなところだよ。お疲れさん」

 樹たちのようなSランク冒険者にもなれば顔は覚えられているため、顔パスで通ることが可能だ。

「樹さんたちなら貴族用の門から入ってもらって構いませんのですよ」

 ベテラン衛兵で検問所のトップのオリバーが言った。

「え、そうなんですか?」
「徒歩だと貴族っぽく無いので駄目かと思っていました」
「メイドを冒険にまで連れていくのは樹さんくらいですよ。十分貴族っぽいじゃないですか」

 そう言うとオリバーは豪快に笑った。

「まあ、それもそうですよね」

 樹は苦笑いした。
そんなこんなで王都の検問を通るとその足でギルドへと向かった。

 ギルドへ入ると、樹たちに気づいたメラニさんが声をかけてきた。

「樹さん、アリアさん、お疲れ様です。ギルマスですか?」
「ああ、そうなんだが、今から会えるか?」
「はい、樹さんたちが来たらすぐに案内するように言われいますから大丈夫ですよ」

 そう言うとメラニさんがギルドマスター室へと案内してくれた。
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