45 / 132
第45話 魔術学院の始動
しおりを挟む
入学式が終わると樹たちは学長室へと案内された。
「ここが、学長室になります。隣はアリアさんの副学長室がありますので、ご自由にお使いになられてください」
事務長のエドモンさんがそう説明してくれた。
「ありがとうございます」
「ありがたく使わせて頂きます」
学長室の机の上には『学長 綾瀬樹』と書かれたプレートが置かれていた。
他にも魔術関連の文献や絵画、未決済とされている書類が山積みになっていた。
「ひとまず、この書類を処理しないとだよな」
「はい。急ぎの書類ではないので今日やらなくても大丈夫ですよ」
エドモンさんが言った。
「いや、こういうのは早めにやっちまうに限る」
樹は燕尾服を脱ぎ、胸ポケットから万年筆を抜いて決済書類に目を通してはサインを書いていく。
「「早い……」」
アリアもエドモンも驚いていた。
「樹さま、ちゃんと読んでます?」
「おう、全部読んでるぞ」
サインしながらそう答えた。
「終わったー!」
ほんの数分で山積みだった未決済の書類は片付いていた。
「お疲れ様です。流石は公爵様方が見込んだお方だ。納得い致しました」
エドモンは感心していた。
「授業は明後日から始まります。学長たちは冒険者としての依頼が優先されますので、自由出勤で構いませんよ。緊急時にはこちらから連絡致しますので」
「分かりました」
「承知致しました」
公爵様が言っていた通り、樹たちは自由出勤でいいそうだ。
「では、今日の所はこれで失礼します」
そう言って樹とアリアは学院を後にした。
「この服、疲れるよなぁ」
「はい、私も着物なんて久々に着ましたよ」
そんな事をしているうちに一日に幕が降ろされようとしていた。
二日後、魔術学院の授業開始日となった。
樹とアリアも初日くらいは授業を見ておこうということになり、魔術学院へと向かった。
「「おはようございます」」
二人は学院に着くと事務長のエドモンに話しかけた。
「学長方、おはようございます。今日はご出勤なされなくてもよかったのですよ」
「いや、せっかくの授業開始日なので授業の方を見ておこうかと思いましてね」
「そうでしたか。そういうことでしたら、ご案内いたしますよ」
「ありがとうございます」
二人はエドモンの案内で学院内を歩いていた。
そこで、樹が目にしたのはごく普通の座学だった。
「これは、何の授業何ですか?」
樹がエドモンに尋ねた。
「魔術式の詠唱文の授業ですよ。魔術を起動させるには詠唱しなくてはいけませんからね」
「そんな、面倒なことよくしますよね」
「はい??」
「魔術なんて無詠唱で打てるじゃないですか」
その言葉にエドモンは目を丸くした。
「そんなこと普通は出来ないですよ。出来るのはこの国にもそうは居ないでしょう」
「あ、そうなんですね」
樹はあまりにも簡単に無詠唱を取得しているため、普通のことかとすら思っていた。
「ここでは実技の授業を行っています。この実演場はかなり頑丈に作られていますので、そう簡単には
壊れません」
「じゃあ、俺も試してみようかな」
「それは、ご遠慮いただきたく。いくら頑丈とはいえ、学長の魔術に耐えられるかどうかは定かではありませんので」
エドモンが言った。
全く、人を何だと思っているのか。
「ここが、学長室になります。隣はアリアさんの副学長室がありますので、ご自由にお使いになられてください」
事務長のエドモンさんがそう説明してくれた。
「ありがとうございます」
「ありがたく使わせて頂きます」
学長室の机の上には『学長 綾瀬樹』と書かれたプレートが置かれていた。
他にも魔術関連の文献や絵画、未決済とされている書類が山積みになっていた。
「ひとまず、この書類を処理しないとだよな」
「はい。急ぎの書類ではないので今日やらなくても大丈夫ですよ」
エドモンさんが言った。
「いや、こういうのは早めにやっちまうに限る」
樹は燕尾服を脱ぎ、胸ポケットから万年筆を抜いて決済書類に目を通してはサインを書いていく。
「「早い……」」
アリアもエドモンも驚いていた。
「樹さま、ちゃんと読んでます?」
「おう、全部読んでるぞ」
サインしながらそう答えた。
「終わったー!」
ほんの数分で山積みだった未決済の書類は片付いていた。
「お疲れ様です。流石は公爵様方が見込んだお方だ。納得い致しました」
エドモンは感心していた。
「授業は明後日から始まります。学長たちは冒険者としての依頼が優先されますので、自由出勤で構いませんよ。緊急時にはこちらから連絡致しますので」
「分かりました」
「承知致しました」
公爵様が言っていた通り、樹たちは自由出勤でいいそうだ。
「では、今日の所はこれで失礼します」
そう言って樹とアリアは学院を後にした。
「この服、疲れるよなぁ」
「はい、私も着物なんて久々に着ましたよ」
そんな事をしているうちに一日に幕が降ろされようとしていた。
二日後、魔術学院の授業開始日となった。
樹とアリアも初日くらいは授業を見ておこうということになり、魔術学院へと向かった。
「「おはようございます」」
二人は学院に着くと事務長のエドモンに話しかけた。
「学長方、おはようございます。今日はご出勤なされなくてもよかったのですよ」
「いや、せっかくの授業開始日なので授業の方を見ておこうかと思いましてね」
「そうでしたか。そういうことでしたら、ご案内いたしますよ」
「ありがとうございます」
二人はエドモンの案内で学院内を歩いていた。
そこで、樹が目にしたのはごく普通の座学だった。
「これは、何の授業何ですか?」
樹がエドモンに尋ねた。
「魔術式の詠唱文の授業ですよ。魔術を起動させるには詠唱しなくてはいけませんからね」
「そんな、面倒なことよくしますよね」
「はい??」
「魔術なんて無詠唱で打てるじゃないですか」
その言葉にエドモンは目を丸くした。
「そんなこと普通は出来ないですよ。出来るのはこの国にもそうは居ないでしょう」
「あ、そうなんですね」
樹はあまりにも簡単に無詠唱を取得しているため、普通のことかとすら思っていた。
「ここでは実技の授業を行っています。この実演場はかなり頑丈に作られていますので、そう簡単には
壊れません」
「じゃあ、俺も試してみようかな」
「それは、ご遠慮いただきたく。いくら頑丈とはいえ、学長の魔術に耐えられるかどうかは定かではありませんので」
エドモンが言った。
全く、人を何だと思っているのか。
14
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる