最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷

文字の大きさ
44 / 132

第44話 魔術学院入学式

しおりを挟む
 陛下たちは樹のやったことに唖然としていた。

「こ、これは……」
「僕、何かマズいことしちゃいました?」
「この付与魔法は国宝級だぞ……」
「私も断絶結界を利用した防御障壁など聞いたことありません」

 アリアまでもが驚いた表情をしていた。

「いや、思い付いたとしても出来る者など居ないだろうに、こうもあっさりとやってくれるとはな」

 陛下も公爵様も驚くことに疲れたという様子だった。

「こんな国宝級の物を生徒に着せる訳にはいかんよ。何事かと思われるわい」
「そうですか。それは残念ですが、仕方ありません」
「とにかく、制服の方は少し見直すとしよう」
「はい、そうした方がいいかと。入学者の方は決まっているのですか?」

 樹は陛下に尋ねた。

「ああ、もう既に試験を実施し、合格者は決定しておる。再来週には入学式だ」
「随分、急に僕たちに話が来たんですね」
「すまんな。樹とアリアを学長、副学長にするにあたっての審議に手間取ってな。文句を言ってくる有力貴族も居たが、黙らせといたわい」

 そう言って陛下は豪快に笑った。
本当に大丈夫なのかよ。

 一抹の不安も残る中、二週間が経過した。

「いよいよ今日が入学式かぁ。なんか緊張するな」
「そうですね」

 樹はタキシード姿、アリアは着物姿だった。

「その着物、凄く似合っているな。かわいいぞ」
「そんな、ありがとうございます。樹さまもよくお似合いですよ」
「そうか? こういう堅苦しい服装は苦手なんだけどな」

 そんな会話をしながら、セザールとシャルに見送られ、屋敷を出た。
屋敷から数十分歩いた所に建てられた魔術学院へと向かった。

「学長、副学長、お待ちしておりました。私、事務長を務めます、エドモンと申します」
「おう、よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
「では、控室の方に参りましょう」

 エドモンにより、樹とアリアは控室に案内された。
樹たちは今日の入学式で学長挨拶と副学長挨拶を話すことになっている。

 会場には既に生徒の大半が入っていた。

「ここの学長、あの綾瀬樹さんらしいぜ」
「ああ、副学長はアリアさん出そうじゃないか」
「二人ともこの国ではトップクラスの冒険者だもんな。そんな所に入学できるなんて夢みたいだぜ」
「樹さんたちも授業してくれるのかな?」

 入学式のために集まった生徒さんたちからそんな話し声が聞こえてきた。
樹とアリアがここの学長、副学長だということは既に噂が広がっていたのだ。

 入学式も順調に進んでいき、ついに、樹の挨拶の時間となった。

「えー、まずは皆さん、入学おめでとう。知っている者も多いと思うが、今回こちらの学院で学長を務めさせていただく、綾瀬樹だ。皆さんの授業を担当することは少ないと思うが、出来る限り生徒の皆さんと交流出来たらと思っております」

 挨拶が終わると拍手が返って来た。
樹が授業をしないと聞いて少し残念がる生徒も何人かいたようだが。

 続いて、アリアの挨拶が始まった。
アリアも挨拶が終わると拍手が鳴り響いた。

 こうして、魔術学院の入学式は幕を閉じるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...