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7章
66、無能な働き者
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──バタバタバタッ
レッドたちがライトと出会ったタイミングで受付嬢や元冒険者等のギルド会館スタッフが走り回り、館内が急に慌ただしくなった。
「ん?なんだなんだ?」
怪訝な顔でその様子を観察するレッドたち。忙しなく動くスタッフを何も知らない冒険者たちが目で追っていると、トルメルンのギルドマスターが頼りなさげな顔でちょこちょこと食堂のところに出てきた。大きな熊のような獣人のくせにリスのようなこじんまりとした自信なさげな動きが凄く情けなく見えた。羊皮紙をチラチラ見ながら口を開いた。
「え~、え~、みなさん。大変なことになりました。え~……その、魔族に……いや、魔族が冒険者を2名連れ去る事案が発生した模様です」
ざわざわと騒がしくなる館内。あたふたするギルドマスターのために受付嬢が「すいません。静かに聞いてください」と身振り手振りで冒険者たちの注意を引いた。ギルドマスターは静かになった館内を見渡した後、受付嬢に感謝を述べた。
「ありがとう。……え~、場所は魔導国ロードオブ・ザ・ケインの近くにある”花の宮”と呼ばれるダンジョンだったそうで、え~、連れ去られたのは……え~、名前が、クラウドサインのシルニカさん。それから、え~風花の翡翠のルーシーさん。いずれもチームのリーダーが連れて行かれたとのことです。え~、魔導国にいる冒険者たちが集まって救助隊を発足し、え~、これから救助に向かうと。そういうことだそうでして……」
「そんなもんもう死んでんじゃねえのか?」
「だよな。魔獣が食うために巣に運んだようなもんだろ?その瞬間に救えなかったなら諦めるのが得策だろうよ」
「え~、あのぉ……その、あまりそういった憶測で士気を下げないようにですね、え~、お願いします。え~、ここトルメルンは魔導国から比較的近いので、え~、よければ我々の方でも出来ることがあれば手伝いたいと、こう考えているわけでして……」
ギルドマスターの発言に冒険者たちは難色を示す。
「知るかよ。手前ぇで捕まったんだ。しかもリーダーがだぞ?情けねぇ。自分たちでなんとかしろってんだよ」
「他人事だからって好き放題だな。一理あるが……」
「だいたい、冒険者ってのはチームメイト以外は敵だぜ?いつ仕事が取られるか分かんねぇのにライバルの心配なんてしてらんねぇよ」
「そりゃそうだ。ライバルが勝手に潰れるならそれに越したことはねぇぜ。はい、傍観確定」
「え~、その……ちょっとはっきり言いますが、人でなしが過ぎるのではないでしょうか?困った時はお互い様と言いますし、え~……」
「はぁ?シルニカ嬢は知らねぇけど、ルーシーの方は言わずと知れた横取り魔だぜ?ちょっと強いからっていい気になりすぎなんだよ。そんなんだから捕まるんだ自業自得ってやつだろ?」
「あのぉ、自分ではないからとそういう言い方をしてはいけません。え~、もう少しこう、広い心と視野を持って……」
自分の命が可愛いために救助など行きたくない冒険者と、救助支援をして株を上げたいギルドマスターとで口喧嘩が始まった。おどおどしているが、ギルドマスターは意外にメンタルは強いので引き下がるつもりはない。
「なんか……えらいことになっちゃってるなぁ」
レッドも対岸の火事といった風だが、ライトは心当たりがあるのか顎を撫でながら虚空を見つめている。
「これはもしやニールの言っていた今後の戦いという奴ではないだろうか……」
「え?あ、あの、ニールが何か……」
レッドが目を離したその時、受付嬢が急いで羊皮紙をギルドマスターに渡した。口喧嘩中に言い返せなくなる隙を与えるのは癪だが、急ぎの連絡を無視出来るはずもなく、斜め読みでサッと目を通す。その内容ですっかり口喧嘩のことを忘れて声を上げた。
「ん?……レッド?……レッド=カーマインは今ここにいますか!?」
「え?あ、はい。お、俺です」
急に名指しで呼ばれたことに驚きながら手を挙げる。ギルドマスターは大きな体を駆使して冒険者たちを押しのけながらレッドの元にやって来た。
「君が、え~、剣士のレッド=カーマインくんで間違いないかね?」
「そうですけど、なにか?」
「どうやら君をご指名のようだよ?今すぐに準備して魔導国に向かってくれるね?」
「は?えっ……と、なんで俺が救助部隊に呼ばれるんです?俺なにかしたっけ?」
『皇魔貴族を何体か倒してますし適任では?』
「そういうことか。ようやくレッドの功績が称えられる時が来たんだな」
「皇魔貴族……?」
『んふ?ライトは知らんのか?皇魔貴族というのはのぅ、それはそれは面倒で厄介な連中でのぅ……』
フローラの解説に耳を傾けるライトの傍ら、ギルドマスターは今一度羊皮紙に目を通した。
「え~……いや、救助部隊ではなく、魔族から指名されているとここに……って、えっ?!魔族っ!?本当に何をしたんだいっ?!」
「え……あ、すいません……よく分からないです……」
レッドは面倒な質問が飛んでくることを想定し、すぐさま知らぬ存ぜぬで逃げる。その後ギルドマスターに言われるがまま、さっさと魔導国に向けて出発したのだった。
*
「何のつもりだベルギルツ!」
日を置いて花の宮に到着したグルガンがベルギルツに怒り心頭の表情で詰めていた。ロータスから人質の話を聞かされた時はまさかと思っていたが、牢屋に入れられた2人を見て愕然とした。
「貴公はこの人間との話し合いが何なのか理解していないのか?初手で人質を取るなど敵対行為でしかないではないか!」
「まぁまぁ、グルガン様。そう目くじらを立てずとも良いではないですか。より良い交渉に臨むならこちらが圧倒的に有利な状況でなければならないでしょう?フィニアス様から私に一任されている以上、口出しはしないでいただきたいのですが?」
「何をふざけたことをっ!!貴公は会場の設営を任されたのみで、我がこの和平交渉を任されているのだ!勝手なことをして場を乱しおって!!」
「おお、落ち着いて。その爪をお仕舞いください。……フゥ、ええその通りです。私が委任されたのは会場の設営のみ……ですから、会場を彩る1つとしてあえて人質を取ったのです。まぁ聞いてください。あらゆる交渉ごとに置いて必要なのは誰が主導権を握るかです。ロータス様の報告によればニール=ロンブルスはさほど強い存在ではありません。レッド=カーマインさえ何とか出来れば私たちの将来は安泰。今までやられた分を取り返すならこの時しかありませんよ?」
「黙れベルギルツ!強い人間は何もニール=ロンブルスやレッド=カーマインに留まらんわ!!将来などと軽々しく言うが、貴公にはその展望が見えておるのか?あらゆる事象を想定しての行動とはとても思えん!」
グルガンの怒声が場内に響き渡る。今にもベルギルツを殴りそうな空気だが、グルガンはプルプルと拳を震えさせるだけで何とか耐えている。あと一言でも余計なことを言えば鉄拳が飛びそうな状況にロータスが割り込む。
「……待てグルガン。これは私にも責任がある。人質交渉の件もバトラーを介してすでに人間側に伝えている以上、取り消すことは出来ん……腑に落ちんだろうが、人質を有利に使えるか今からでも考えるべきだ」
「そうそう!まさにロータス様の言う通り!そこで私に考えがあります!将来の展望云々を言えば、そこはまだ未知数の部分が多い。となれば、今すぐに取りかかれるレッド=カーマインの死を手に入れるべきです!1人の犠牲で2人が助かるならあちら側としても願ったり叶ったりではありませんか?」
「貴公はお遊戯でもしているつもりか?命は等価ではない。魔獣2頭の命を救う代わりに貴公の命を差し出せと言っているようなものだ。貴公の企み事その首を飛ばして人質と共に送ってやりたいところだが、そんなことはフィニアスが許すまい」
「何を馬鹿な……冗談もほどほどにしてください。人質を取ったのは私ではなくロータス様です。首を差し出すならロータス様であって私ではありませんよね。あ、悪く思わないでください。これが上下関係というものです」
「……正気か?全て私にお任せくださいと言ったのはお前だろう?」
「はぁ……もう良い」
グルガンは苛立ちながらマントを翻した。
「我が事態を収拾する。貴公らはこれ以上何もするな。これは命令だ」
公爵の権限を振りかざされたベルギルツとロータスはそれ以上の言葉を全て飲み込んだ。ロータスは蔑みの目でベルギルツをチラリと見たが、ベルギルツの方はロータスを意に介さず、グルガンに憎しみの目を向けていた。
「私の方が絶対に良き方向に舵を取れるのに……絶対そうなるのに……これだからバカは困るんですよ……」
ブツブツと呟くベルギルツ。漏れ出す怨嗟にロータスは呆れ返った。
(……最初からグルガンの話だけを聞くべきだな。まさか私が土壇場で裏切られるとは……過信しすぎた結果か……もう少し賢く立ち回るべきだ)
ロータスは遅れてグルガンの元に歩き出した。
レッドたちがライトと出会ったタイミングで受付嬢や元冒険者等のギルド会館スタッフが走り回り、館内が急に慌ただしくなった。
「ん?なんだなんだ?」
怪訝な顔でその様子を観察するレッドたち。忙しなく動くスタッフを何も知らない冒険者たちが目で追っていると、トルメルンのギルドマスターが頼りなさげな顔でちょこちょこと食堂のところに出てきた。大きな熊のような獣人のくせにリスのようなこじんまりとした自信なさげな動きが凄く情けなく見えた。羊皮紙をチラチラ見ながら口を開いた。
「え~、え~、みなさん。大変なことになりました。え~……その、魔族に……いや、魔族が冒険者を2名連れ去る事案が発生した模様です」
ざわざわと騒がしくなる館内。あたふたするギルドマスターのために受付嬢が「すいません。静かに聞いてください」と身振り手振りで冒険者たちの注意を引いた。ギルドマスターは静かになった館内を見渡した後、受付嬢に感謝を述べた。
「ありがとう。……え~、場所は魔導国ロードオブ・ザ・ケインの近くにある”花の宮”と呼ばれるダンジョンだったそうで、え~、連れ去られたのは……え~、名前が、クラウドサインのシルニカさん。それから、え~風花の翡翠のルーシーさん。いずれもチームのリーダーが連れて行かれたとのことです。え~、魔導国にいる冒険者たちが集まって救助隊を発足し、え~、これから救助に向かうと。そういうことだそうでして……」
「そんなもんもう死んでんじゃねえのか?」
「だよな。魔獣が食うために巣に運んだようなもんだろ?その瞬間に救えなかったなら諦めるのが得策だろうよ」
「え~、あのぉ……その、あまりそういった憶測で士気を下げないようにですね、え~、お願いします。え~、ここトルメルンは魔導国から比較的近いので、え~、よければ我々の方でも出来ることがあれば手伝いたいと、こう考えているわけでして……」
ギルドマスターの発言に冒険者たちは難色を示す。
「知るかよ。手前ぇで捕まったんだ。しかもリーダーがだぞ?情けねぇ。自分たちでなんとかしろってんだよ」
「他人事だからって好き放題だな。一理あるが……」
「だいたい、冒険者ってのはチームメイト以外は敵だぜ?いつ仕事が取られるか分かんねぇのにライバルの心配なんてしてらんねぇよ」
「そりゃそうだ。ライバルが勝手に潰れるならそれに越したことはねぇぜ。はい、傍観確定」
「え~、その……ちょっとはっきり言いますが、人でなしが過ぎるのではないでしょうか?困った時はお互い様と言いますし、え~……」
「はぁ?シルニカ嬢は知らねぇけど、ルーシーの方は言わずと知れた横取り魔だぜ?ちょっと強いからっていい気になりすぎなんだよ。そんなんだから捕まるんだ自業自得ってやつだろ?」
「あのぉ、自分ではないからとそういう言い方をしてはいけません。え~、もう少しこう、広い心と視野を持って……」
自分の命が可愛いために救助など行きたくない冒険者と、救助支援をして株を上げたいギルドマスターとで口喧嘩が始まった。おどおどしているが、ギルドマスターは意外にメンタルは強いので引き下がるつもりはない。
「なんか……えらいことになっちゃってるなぁ」
レッドも対岸の火事といった風だが、ライトは心当たりがあるのか顎を撫でながら虚空を見つめている。
「これはもしやニールの言っていた今後の戦いという奴ではないだろうか……」
「え?あ、あの、ニールが何か……」
レッドが目を離したその時、受付嬢が急いで羊皮紙をギルドマスターに渡した。口喧嘩中に言い返せなくなる隙を与えるのは癪だが、急ぎの連絡を無視出来るはずもなく、斜め読みでサッと目を通す。その内容ですっかり口喧嘩のことを忘れて声を上げた。
「ん?……レッド?……レッド=カーマインは今ここにいますか!?」
「え?あ、はい。お、俺です」
急に名指しで呼ばれたことに驚きながら手を挙げる。ギルドマスターは大きな体を駆使して冒険者たちを押しのけながらレッドの元にやって来た。
「君が、え~、剣士のレッド=カーマインくんで間違いないかね?」
「そうですけど、なにか?」
「どうやら君をご指名のようだよ?今すぐに準備して魔導国に向かってくれるね?」
「は?えっ……と、なんで俺が救助部隊に呼ばれるんです?俺なにかしたっけ?」
『皇魔貴族を何体か倒してますし適任では?』
「そういうことか。ようやくレッドの功績が称えられる時が来たんだな」
「皇魔貴族……?」
『んふ?ライトは知らんのか?皇魔貴族というのはのぅ、それはそれは面倒で厄介な連中でのぅ……』
フローラの解説に耳を傾けるライトの傍ら、ギルドマスターは今一度羊皮紙に目を通した。
「え~……いや、救助部隊ではなく、魔族から指名されているとここに……って、えっ?!魔族っ!?本当に何をしたんだいっ?!」
「え……あ、すいません……よく分からないです……」
レッドは面倒な質問が飛んでくることを想定し、すぐさま知らぬ存ぜぬで逃げる。その後ギルドマスターに言われるがまま、さっさと魔導国に向けて出発したのだった。
*
「何のつもりだベルギルツ!」
日を置いて花の宮に到着したグルガンがベルギルツに怒り心頭の表情で詰めていた。ロータスから人質の話を聞かされた時はまさかと思っていたが、牢屋に入れられた2人を見て愕然とした。
「貴公はこの人間との話し合いが何なのか理解していないのか?初手で人質を取るなど敵対行為でしかないではないか!」
「まぁまぁ、グルガン様。そう目くじらを立てずとも良いではないですか。より良い交渉に臨むならこちらが圧倒的に有利な状況でなければならないでしょう?フィニアス様から私に一任されている以上、口出しはしないでいただきたいのですが?」
「何をふざけたことをっ!!貴公は会場の設営を任されたのみで、我がこの和平交渉を任されているのだ!勝手なことをして場を乱しおって!!」
「おお、落ち着いて。その爪をお仕舞いください。……フゥ、ええその通りです。私が委任されたのは会場の設営のみ……ですから、会場を彩る1つとしてあえて人質を取ったのです。まぁ聞いてください。あらゆる交渉ごとに置いて必要なのは誰が主導権を握るかです。ロータス様の報告によればニール=ロンブルスはさほど強い存在ではありません。レッド=カーマインさえ何とか出来れば私たちの将来は安泰。今までやられた分を取り返すならこの時しかありませんよ?」
「黙れベルギルツ!強い人間は何もニール=ロンブルスやレッド=カーマインに留まらんわ!!将来などと軽々しく言うが、貴公にはその展望が見えておるのか?あらゆる事象を想定しての行動とはとても思えん!」
グルガンの怒声が場内に響き渡る。今にもベルギルツを殴りそうな空気だが、グルガンはプルプルと拳を震えさせるだけで何とか耐えている。あと一言でも余計なことを言えば鉄拳が飛びそうな状況にロータスが割り込む。
「……待てグルガン。これは私にも責任がある。人質交渉の件もバトラーを介してすでに人間側に伝えている以上、取り消すことは出来ん……腑に落ちんだろうが、人質を有利に使えるか今からでも考えるべきだ」
「そうそう!まさにロータス様の言う通り!そこで私に考えがあります!将来の展望云々を言えば、そこはまだ未知数の部分が多い。となれば、今すぐに取りかかれるレッド=カーマインの死を手に入れるべきです!1人の犠牲で2人が助かるならあちら側としても願ったり叶ったりではありませんか?」
「貴公はお遊戯でもしているつもりか?命は等価ではない。魔獣2頭の命を救う代わりに貴公の命を差し出せと言っているようなものだ。貴公の企み事その首を飛ばして人質と共に送ってやりたいところだが、そんなことはフィニアスが許すまい」
「何を馬鹿な……冗談もほどほどにしてください。人質を取ったのは私ではなくロータス様です。首を差し出すならロータス様であって私ではありませんよね。あ、悪く思わないでください。これが上下関係というものです」
「……正気か?全て私にお任せくださいと言ったのはお前だろう?」
「はぁ……もう良い」
グルガンは苛立ちながらマントを翻した。
「我が事態を収拾する。貴公らはこれ以上何もするな。これは命令だ」
公爵の権限を振りかざされたベルギルツとロータスはそれ以上の言葉を全て飲み込んだ。ロータスは蔑みの目でベルギルツをチラリと見たが、ベルギルツの方はロータスを意に介さず、グルガンに憎しみの目を向けていた。
「私の方が絶対に良き方向に舵を取れるのに……絶対そうなるのに……これだからバカは困るんですよ……」
ブツブツと呟くベルギルツ。漏れ出す怨嗟にロータスは呆れ返った。
(……最初からグルガンの話だけを聞くべきだな。まさか私が土壇場で裏切られるとは……過信しすぎた結果か……もう少し賢く立ち回るべきだ)
ロータスは遅れてグルガンの元に歩き出した。
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