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9章
94、厳しい現実
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魔導国ロードオブ・ザ・ケイン。現在ビフレストが拠点にしているこの場所は、ニール=ロンブルスが主体となって出来た冒険者たちの集い"ホープ・アライアンス"の拠点にもなっている。
「待てよアルマ!」
ビフレストの盗賊のジンは同じくビフレストの弓兵アルマを追ってギルド会館から出た。アルマは本日ビフレストからの脱退を決め、手続きを終わらせたばかりである。ジンが丁度2mまで近寄ったところでアルマは振り返った。
「止めるなジン。俺はもう疲れたんだよ。これ以降はお前たちだけで旅を続けろ」
「ずっと張り詰めていたお前に酷なことを言うつもりはないが、急すぎやしないか?脱退したいと言うなら好きにすれば良いが、先に俺たちに話すべきだったろ?そしたら俺たちだって……」
「すまない。確かに期日を設定し、次の弓兵を選定したりすれば良かったかもな。けどな、もう無理なんだよ。俺は……お前も見ただろ?あの超常現象を。レッド=カーマインが俺の目の裏でチラつくんだよ、いつでもどこでも。いつか俺を殺すんじゃないかとビクビクしている。こんなのただの被害妄想で、奴は俺のことなんか眼中にないんだろうが、それでも嫌な想像が溢れ出てくるんだ。いっそ冒険者をやめてしまえば奴との縁を完全に断ち切れるのではないかと考えて決心した。お前たちとの冒険は楽しかったよ。楽しかったが、もう限界だ。俺は……俺は眠れない夜から卒業するんだ」
ほとんど一息で喋ったアルマにジンから言えることなどなかった。捲くし立てるようにベラベラと喋るわりに目をほとんど合わせてくれなかったからだ。今となっては相手の気持ちなど汲み取りたくもないのだろう。
ジンはアルマの背中をただ黙って見送る。少し意外に感じたのはジン以外の仲間がアルマを止めなかったことだ。ニールでさえも。
そのことに憤慨したジンは肩を怒らせながらニールの元まで小走りで戻った。
「行ったか……」
ニールは戻って来たジンを見て寂しそうに呟いた。
「行ったかじゃねーよ。何で止めねぇ?」
「僕だって止めたかったさ、止められるものならね……アルマは限界だった。いつタガが外れてもおかしくない状態で良くぞ付いて来てくれたよ。ホープ・アライアンスの弓兵に弓を教えてくれた時はもしかしたら元のアルマに戻ってくれるかもって期待すらしていた。けど結果は……」
ニールは目を伏せて肩を震わせた。居た堪れなくなったローランドはニールに味方する。
「ジン。ニールの気持ちも考えて見てください。彼は私たちのリーダーなのですよ?仲間のことなら誰よりよく知っていますとも」
「……引き止めるのが無意味だってこともか?」
「意地悪な質問ネ。そんなことは言わずとも知ってるはずヨ?ジンも見たヨ、空が白くなったあの日アルマが恐怖で叫び回ってたのをネ。こっちも限界だったネ」
ワンに指摘されてジンは黙る。レッドを追い出してからずっと上り調子だったビフレストに陰りが見える。それもこれもレッドが凝りもせずにビフレストに近付いてきてからおかしい方に変わってきた。
「……俺たち、ようやくここまで来たんだぜ?地道に1フロアずつダンジョンを攻略して、フロアボスを倒すたびに持ち上げられて……それもこれも全員の力あってこそだ。誰か1人欠けていても頂には立ってねぇ。俺が言いてぇことは分かるよな?」
ジンはどこまでも卑屈に仲間を見渡す。この雰囲気は非常にまずい。チーム解散の危機である。
「ふざけんなっ!」
その会話に乱入したのはリック。ここ数日塞ぎ込んでいたリックが急に姿を現した。突然の状況に驚いて全員の目がそちらに向いた。
「アルマが辞めたくらいでなんだよ。あんたらはレッド=カーマインを追い出したんだぞ?あんたらが認める最強の男をあんたらの手で追い出して、それで今や冒険者チームでその名を知らぬ者が居ないくらい有名になった俺たちだぞ。これをまた1からやろうってのか?……冗談じゃない!」
首を振りながら吐き捨てるように否定する。憤懣やるかたないリックはギロリとニールを睨みつける。
「あんたもあんただ。ホープ・アライアンスなんて立ち上げてさ。いったい何がしたかったんだよ。全員で力を合わせればハウザーに勝てるだって?あんなままごとでどうやって勝つつもりだったんだよ!!」
これにはニールも黙っていられない。スッと立ち上がってリックに向き直った。
「……ままごとだって?僕は出来ることを精一杯やって来たつもりだ。彼らには経験が足りなかった。だからこそまずは一律に強くなる道を拓いたまでのことだ。君だって分かっているはずだよ。何故ならその口で今、ビフレストの有名になった事実に触れたんだからさ」
「あいつらの経験が足りないのは真面目に打ち込んでない証拠だろ!そんな奴らを囲って悦に浸ってんのを精一杯やったなんて言って欲しくないね!」
「リック!あなたは言って良いことと悪いことの区別もつかないのですか!!」
この失礼な発言はローランドも見過ごせない。椅子から勢いよく立ち上がってリックの胸ぐらを掴み上げた。だが覚悟の決まったリックにはローランドの怒りなど屁でもない。
「……はっ!違うのかよ?」
ローランドが覗き込んだリックの眼に映るのは失望。ちょっとやそっとで生み出されるような負の感情ではない。信じていたものに裏切られた時に見せるような瞳だった。
「ローランド。離してやれ」
ジンは悟ったようにローランドに言う。ローランドもバツが悪そうに手を離した。
「……違いませんよリック。概ねあなたの言う通りでしょう」
ローランドの諦め切った口調にニールは怒りのままに口を開きかけるが、思慮のない短絡的な反論では反発しか買わないと瞬時に悟り、頭を振って冷静さを取り戻す。そうして気持ちを落ち着かせたニールはゆっくりと話し始めた。
「ホープ・アライアンスは冒険者ギルドや評議国の考える古い規則やダメな慣習の改善を目的とした集まりだ。そして万が一に備えて精鋭部隊を作る機関にもなり得る組織のつもりだった。だがリックの言う通り、確かに真面目にダンジョンに潜らなかったのは彼らだ。新参チームの僕らよりベテランのはずの彼らが経験がないなんてどうかしている。彼らとの攻略は不毛であったと我ながら痛感し、今ようやく反省したよ」
「いや、ニール。彼らに非はないでしょう。問題は我々の傲慢な考え方と報酬は山分けという甘い言葉で誘った不純にこそあったと考えるべきです」
「何?ならば……ならば他にどうしたら良かった?僕は何とか一致団結出来るように考えて……」
「はぁ?1人で何でも考える必要なくない?」
今まで黙っていたプリシラが口を出す。「何のためのチームよ……」と一言呟いたところでニールもハッとした。ここでようやく自分がやってきたことが間違いだったと気付く。仲間たちを無視してのぼせ上がった自分の暴走を止められなかった不甲斐なさを感じて、力なく椅子に座った。
「すまない……ようやく追いついたよ。ハウザーの件から何も学べていなかったようだ。何とかしなければとの思いが強すぎて、周りが見えず独断専行が過ぎた。ふっ……まさか反省する内容すら間違えるとは、僕は大馬鹿者だね」
ニールの心からの反省はみんなの心に響き、リック以外の仲間たちは小さく頷いた。
「……ホープ・アライアンスは解散しよう。実際、クラウドサインを筆頭とした何チームかはすでにこの国を出ている。理由は言わずもがな、女神復活と討伐に関することだ。みんなあの天変地異に萎縮して戦いを避けつつある。僕の考えた組織作りは破綻したと言って過言じゃない」
「おいおい、それもこれもレッドのせいってか?」
「全てを彼に押し付ける気なんて毛頭ないさ。でも復活まで持って行ったのは彼だよ。それは女神の欠片を持っていたことから明らかだ。他人のことなんて何も考えずに復活させ、思ったよりも不味い状況だったから倒した。こう考えるのが普通だし、復活の余波で起こったアルマの脱退は覆しようのない事実。……僕に責任があるとすれば、冒険者チームを纏め上げられなかったことと、あれだけの冒険者チームが集まれば何とかなるだろうという予想が外れたことだ。つまりは僕の理想が高過ぎた。それだけのこと……」
ニールは顔を上げ、ゆっくりと仲間たちを見渡す。
「冒険者としてダンジョンを攻略し、各地に散らばる最強の魔道具を手に入れられれば魔族だって簡単に倒せるようになる。考えるべきは僕ら自身の戦力向上だったんだ。先頭を走っていれば、いずれ僕らに憧れる冒険者たちが力を求めて戦力増強をしてくるだろうさ」
ニールは自分の持つ魔剣をかざす。その魔剣がどれほどの力を持っているのかは分からないものの、相当な自信だ。魔道具のステータス向上はリックたちだってよく分かっている。だからこそ冒険者は本物の魔道具が取引される時、目の色を変えて魔道具を買い漁るわけだが、数字化してもステータスの向上は精々100が105になる程度。噂にある最上級の魔道具なら2、30の向上が見込めるかもしれないが、人間のステータスを向上させたところで高が知れている。
それにニールは全く反省していなかった。ローランドが指摘した傲慢さをそのままに自信だけが肥大化している。魔族に一瞬の内に気絶させられたことなどもう忘れているかのようだった。呆れ返りおし黙る仲間たちを余所に、ニールはみんな納得したものと捉えて口を開いた。
「とにかくまずはホープ・アライアンスを解散するために書状を各所に回す。ヘクターはあの宿に泊まっていたかな?」
「あ、ああ。確かな……」
ニールに振り回されるビフレストのメンバー。今までの義理と人情、そして功績から解散だけは免れている状態だった。そんな中にあってリックは別のことを考えていた。
(ニールの魔剣……あんなに自信があるってことは相当強くなんのか?一時レッドに対してあった怯えが消えているように思うぜ。気になるな……)
魔道具は所有者を選ぶ。魔剣がニールを選んだことは分かっているが、もし自分が持った時、ステータスの向上が認められたらと思うと興味が出る。リックの目には魔剣レガリアしか映っていなかった。
「待てよアルマ!」
ビフレストの盗賊のジンは同じくビフレストの弓兵アルマを追ってギルド会館から出た。アルマは本日ビフレストからの脱退を決め、手続きを終わらせたばかりである。ジンが丁度2mまで近寄ったところでアルマは振り返った。
「止めるなジン。俺はもう疲れたんだよ。これ以降はお前たちだけで旅を続けろ」
「ずっと張り詰めていたお前に酷なことを言うつもりはないが、急すぎやしないか?脱退したいと言うなら好きにすれば良いが、先に俺たちに話すべきだったろ?そしたら俺たちだって……」
「すまない。確かに期日を設定し、次の弓兵を選定したりすれば良かったかもな。けどな、もう無理なんだよ。俺は……お前も見ただろ?あの超常現象を。レッド=カーマインが俺の目の裏でチラつくんだよ、いつでもどこでも。いつか俺を殺すんじゃないかとビクビクしている。こんなのただの被害妄想で、奴は俺のことなんか眼中にないんだろうが、それでも嫌な想像が溢れ出てくるんだ。いっそ冒険者をやめてしまえば奴との縁を完全に断ち切れるのではないかと考えて決心した。お前たちとの冒険は楽しかったよ。楽しかったが、もう限界だ。俺は……俺は眠れない夜から卒業するんだ」
ほとんど一息で喋ったアルマにジンから言えることなどなかった。捲くし立てるようにベラベラと喋るわりに目をほとんど合わせてくれなかったからだ。今となっては相手の気持ちなど汲み取りたくもないのだろう。
ジンはアルマの背中をただ黙って見送る。少し意外に感じたのはジン以外の仲間がアルマを止めなかったことだ。ニールでさえも。
そのことに憤慨したジンは肩を怒らせながらニールの元まで小走りで戻った。
「行ったか……」
ニールは戻って来たジンを見て寂しそうに呟いた。
「行ったかじゃねーよ。何で止めねぇ?」
「僕だって止めたかったさ、止められるものならね……アルマは限界だった。いつタガが外れてもおかしくない状態で良くぞ付いて来てくれたよ。ホープ・アライアンスの弓兵に弓を教えてくれた時はもしかしたら元のアルマに戻ってくれるかもって期待すらしていた。けど結果は……」
ニールは目を伏せて肩を震わせた。居た堪れなくなったローランドはニールに味方する。
「ジン。ニールの気持ちも考えて見てください。彼は私たちのリーダーなのですよ?仲間のことなら誰よりよく知っていますとも」
「……引き止めるのが無意味だってこともか?」
「意地悪な質問ネ。そんなことは言わずとも知ってるはずヨ?ジンも見たヨ、空が白くなったあの日アルマが恐怖で叫び回ってたのをネ。こっちも限界だったネ」
ワンに指摘されてジンは黙る。レッドを追い出してからずっと上り調子だったビフレストに陰りが見える。それもこれもレッドが凝りもせずにビフレストに近付いてきてからおかしい方に変わってきた。
「……俺たち、ようやくここまで来たんだぜ?地道に1フロアずつダンジョンを攻略して、フロアボスを倒すたびに持ち上げられて……それもこれも全員の力あってこそだ。誰か1人欠けていても頂には立ってねぇ。俺が言いてぇことは分かるよな?」
ジンはどこまでも卑屈に仲間を見渡す。この雰囲気は非常にまずい。チーム解散の危機である。
「ふざけんなっ!」
その会話に乱入したのはリック。ここ数日塞ぎ込んでいたリックが急に姿を現した。突然の状況に驚いて全員の目がそちらに向いた。
「アルマが辞めたくらいでなんだよ。あんたらはレッド=カーマインを追い出したんだぞ?あんたらが認める最強の男をあんたらの手で追い出して、それで今や冒険者チームでその名を知らぬ者が居ないくらい有名になった俺たちだぞ。これをまた1からやろうってのか?……冗談じゃない!」
首を振りながら吐き捨てるように否定する。憤懣やるかたないリックはギロリとニールを睨みつける。
「あんたもあんただ。ホープ・アライアンスなんて立ち上げてさ。いったい何がしたかったんだよ。全員で力を合わせればハウザーに勝てるだって?あんなままごとでどうやって勝つつもりだったんだよ!!」
これにはニールも黙っていられない。スッと立ち上がってリックに向き直った。
「……ままごとだって?僕は出来ることを精一杯やって来たつもりだ。彼らには経験が足りなかった。だからこそまずは一律に強くなる道を拓いたまでのことだ。君だって分かっているはずだよ。何故ならその口で今、ビフレストの有名になった事実に触れたんだからさ」
「あいつらの経験が足りないのは真面目に打ち込んでない証拠だろ!そんな奴らを囲って悦に浸ってんのを精一杯やったなんて言って欲しくないね!」
「リック!あなたは言って良いことと悪いことの区別もつかないのですか!!」
この失礼な発言はローランドも見過ごせない。椅子から勢いよく立ち上がってリックの胸ぐらを掴み上げた。だが覚悟の決まったリックにはローランドの怒りなど屁でもない。
「……はっ!違うのかよ?」
ローランドが覗き込んだリックの眼に映るのは失望。ちょっとやそっとで生み出されるような負の感情ではない。信じていたものに裏切られた時に見せるような瞳だった。
「ローランド。離してやれ」
ジンは悟ったようにローランドに言う。ローランドもバツが悪そうに手を離した。
「……違いませんよリック。概ねあなたの言う通りでしょう」
ローランドの諦め切った口調にニールは怒りのままに口を開きかけるが、思慮のない短絡的な反論では反発しか買わないと瞬時に悟り、頭を振って冷静さを取り戻す。そうして気持ちを落ち着かせたニールはゆっくりと話し始めた。
「ホープ・アライアンスは冒険者ギルドや評議国の考える古い規則やダメな慣習の改善を目的とした集まりだ。そして万が一に備えて精鋭部隊を作る機関にもなり得る組織のつもりだった。だがリックの言う通り、確かに真面目にダンジョンに潜らなかったのは彼らだ。新参チームの僕らよりベテランのはずの彼らが経験がないなんてどうかしている。彼らとの攻略は不毛であったと我ながら痛感し、今ようやく反省したよ」
「いや、ニール。彼らに非はないでしょう。問題は我々の傲慢な考え方と報酬は山分けという甘い言葉で誘った不純にこそあったと考えるべきです」
「何?ならば……ならば他にどうしたら良かった?僕は何とか一致団結出来るように考えて……」
「はぁ?1人で何でも考える必要なくない?」
今まで黙っていたプリシラが口を出す。「何のためのチームよ……」と一言呟いたところでニールもハッとした。ここでようやく自分がやってきたことが間違いだったと気付く。仲間たちを無視してのぼせ上がった自分の暴走を止められなかった不甲斐なさを感じて、力なく椅子に座った。
「すまない……ようやく追いついたよ。ハウザーの件から何も学べていなかったようだ。何とかしなければとの思いが強すぎて、周りが見えず独断専行が過ぎた。ふっ……まさか反省する内容すら間違えるとは、僕は大馬鹿者だね」
ニールの心からの反省はみんなの心に響き、リック以外の仲間たちは小さく頷いた。
「……ホープ・アライアンスは解散しよう。実際、クラウドサインを筆頭とした何チームかはすでにこの国を出ている。理由は言わずもがな、女神復活と討伐に関することだ。みんなあの天変地異に萎縮して戦いを避けつつある。僕の考えた組織作りは破綻したと言って過言じゃない」
「おいおい、それもこれもレッドのせいってか?」
「全てを彼に押し付ける気なんて毛頭ないさ。でも復活まで持って行ったのは彼だよ。それは女神の欠片を持っていたことから明らかだ。他人のことなんて何も考えずに復活させ、思ったよりも不味い状況だったから倒した。こう考えるのが普通だし、復活の余波で起こったアルマの脱退は覆しようのない事実。……僕に責任があるとすれば、冒険者チームを纏め上げられなかったことと、あれだけの冒険者チームが集まれば何とかなるだろうという予想が外れたことだ。つまりは僕の理想が高過ぎた。それだけのこと……」
ニールは顔を上げ、ゆっくりと仲間たちを見渡す。
「冒険者としてダンジョンを攻略し、各地に散らばる最強の魔道具を手に入れられれば魔族だって簡単に倒せるようになる。考えるべきは僕ら自身の戦力向上だったんだ。先頭を走っていれば、いずれ僕らに憧れる冒険者たちが力を求めて戦力増強をしてくるだろうさ」
ニールは自分の持つ魔剣をかざす。その魔剣がどれほどの力を持っているのかは分からないものの、相当な自信だ。魔道具のステータス向上はリックたちだってよく分かっている。だからこそ冒険者は本物の魔道具が取引される時、目の色を変えて魔道具を買い漁るわけだが、数字化してもステータスの向上は精々100が105になる程度。噂にある最上級の魔道具なら2、30の向上が見込めるかもしれないが、人間のステータスを向上させたところで高が知れている。
それにニールは全く反省していなかった。ローランドが指摘した傲慢さをそのままに自信だけが肥大化している。魔族に一瞬の内に気絶させられたことなどもう忘れているかのようだった。呆れ返りおし黙る仲間たちを余所に、ニールはみんな納得したものと捉えて口を開いた。
「とにかくまずはホープ・アライアンスを解散するために書状を各所に回す。ヘクターはあの宿に泊まっていたかな?」
「あ、ああ。確かな……」
ニールに振り回されるビフレストのメンバー。今までの義理と人情、そして功績から解散だけは免れている状態だった。そんな中にあってリックは別のことを考えていた。
(ニールの魔剣……あんなに自信があるってことは相当強くなんのか?一時レッドに対してあった怯えが消えているように思うぜ。気になるな……)
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