一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
421 / 718
第十一章 復讐

第二十二話 再会の挨拶

しおりを挟む
 魔を断つと書いて"魔断"。白の騎士団で最強と謳われる男の字名あざなである。

「ほぅ、大体の戦力分析は終わったと見るべきですかな?ゼアル様」

 ジョーは剣の柄に手を置いて、いつでも抜けるように準備は怠らない。彼がここに残ったのは主に二つの理由がある。
 一つは単純明快、戦闘に参加出来るレベルではないと悟ったことだ。どう見繕っても次元が違う。自分が出ていっても足手まといにしかならないとこの目で理解したため、悔しさこそあったが残ることに決めた。
 二つ目はルカとアリーチェの警護のため。後方で待機するならせめて警護だけでもということだ。美咲が戦闘に参加しなかったので、アリーチェは美咲に任せることになり、結局ルカ一人の警護となった。
 とはいえ万が一連中がこちらに来るなら命をして戦う覚悟だ。それをジョーの言動から察したゼアルは、静かに一つ頷いた。

「ああ、ここを頼むぞ爺や」

「……お任せ下さい」

 彼は嫌味もなくスッと頭を下げた。ゼアルはマントを翻し、魔剣イビルスレイヤーに手を掛ける。
 魔族を滅ぼすために造られた魔法が付与された剣。この付与された魔法は特別な術式が組まれており、他の魔法で打ち消すことは出来ないとされている。この魔法のことを、生まれ持った才能に技術を上乗せするという意味を込めて"スキル"と呼んだ。

 イビルスレイヤーの第一スキル"魔族特攻"。
 攻撃、防御等に使用される魔力を遮断し、この剣に斬られた時に魔力を少量吸収する効果がある。この効果は魔族のみに適用される。魔族の判別方法はこの世界に元々居なかった生物である。因みにゼアルは判別方法を知らないため、魔族だと認識した敵に剣を振るっている。

 第二スキル"切れ味向上"。
 魔族から吸収した魔力を刃に付与し、切れ味を倍増させるスキル。持ち主が付与することも可能。

 そして第三スキル"速度超過クイックアップ"。
 一定時間だけだが、音を置き去りにする速さを獲得する。使用後はクールタイムが必要で、五感に影響が出る。感覚が戻るまでに時間がかかるため、多人数での戦闘では使用できないが、一対一なら無敵の性能を誇る。

 人類最強の所以はこの魔剣にこそあった。
 戦果を上げればキリがないが、直近の活躍を見ても第七魔王”銀爪”は親子共々この剣の錆となり、カサブリア王国キングダムの崩壊を招くきっかけとなった例がある。白の騎士団が救世主などと持て囃されるのは、ゼアルの存在あってこそ。
 その上さらに強化されるイベントが発生。
 マクマイン公爵の元に現れた豊穣神アシュタロト。その神から賜った絶大な力。一体どれほどのものなのかとゼアルは考えていた。童心に帰り、新しいおもちゃで遊ぶようなワクワク感が胸から零れるようだった。

 今こそ解放の時。

 そんな中、ふと違和感を感じて振り向く。誰もがゼアルの無双を幻視していた中での不可解な行動に目を丸くする。

「……如何致しましたか?」

 ジョーは率先して声をかける。

「……いや、トウドウの姿が見えんが……奴はどこに?」



 ——ザッ

 ロングマンは即座に臨戦態勢に入った。袖の中にあった手は、いつの間にか刀の柄を握り締め、今か今かと鋼の輝きを待つ。いつもはおっとりとしているパルスも背中に背負った大剣に手を掛ける。

「まーまー。そんな怖い顔をしなさんな」

 どうやってここまで来たのか、藤堂は鎖をチャラチャラさせながら両手で二人の敵意を制す。

『……こ、この人が?』

 今まで見てきた八大地獄の敵の中では一番弱そうだ。服はボロボロでみすぼらしいし、小柄な上に何も食べてないようなガリガリの体。ずいぶん年季の入った顔にはシワが刻まれ、ボサボサの髪と無精髭が汚らしさを強調する。
 オリビアは内心拍子抜けだった。正直な感想としては「結局出会わなかっただけだったんだ。彼らの目的はすぐに完遂されるだろう」というものだ。

「まさか自ら近づいてくるとはな……これも何らかの策か?」

「そんなもんは無いさ。ただ懐かしい友の顔を拝んでおこうと思ってな?」

かせ。どの口が友を語るか」

 握り締めた刀を遠慮なく抜く。スラッと伸びる刀身は美しく光る。

「この口だが?」

 ヒュンッ

 藤堂が返答した次の瞬間、火花の如き一瞬のきらめきがロングマンの手元で光った。藤堂との距離は6~7m離れているのに対し、刀をその場で振り抜く。これには藤堂も何をしているのか疑問符が浮かんだが、すぐにこの行動の意味が現れる。

「……火喰い鳥」

 ポツリと呟いた次の瞬間、藤堂の口がパックリと割れる。切れ目はそのままゆっくりと後頭部へと侵攻し、藤堂の上顎から上はズルッと前にズレた。

「はががっ……!」

 藤堂は頭を元の位置に戻すために頭を掴んだ。

「この技は我が手によりこの世を去ったドワーフなる種族からの頂き物でな、少し改良を加えて使いやすくしたのだ。我が秘剣に比べれば威力こそ落ちるが、お前程度ならこれで十分よ。あの時、こうしてすぐにも殺してやればここまで面倒なことにならずに済んだものを……」

 鞘に刀を仕舞う。オリビアの考えは的を射ていた。八大地獄が復活した直後に、ピクシーたちではなく藤堂がいてくれたら、一角人ホーンもオークも死なずに済んでいただろう。後者は人類にとっては功績なので何とも言い難いが、奪われず済んだ命の方がきっと多いに違いない。

「……まだ」

 パルスは大剣を振るう。あまりの威力に地面にも亀裂が入り、藤堂の体は何の抵抗も無く真っ二つになった。ここまでしてようやく気付く。

「……何故死なん?」

 藤堂は体を再生させて二人の反応を眺める。その顔は諦めたような途方に暮れる顔だった。

「知ってんだろ?神を名乗る不届きな連中の仕業さ……」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...