3 / 42
第3話 洞窟から空に きっと全て夢だった
しおりを挟む神様からの手紙を読んでから数日が経ち、俺は何故か洞窟の中にいた。
「何だろう、漫画みたいに強いスキルとか望んで無かった訳じゃ無いけど、モブが役割って・・・」
転生して突きつけられた現実にどうしても納得が出来なかった俺は、色々と考えていた。今の俺はまだ子供だがモブという説明があった俺は成長していた。つまり、これからの努力次第ではモブという運命を変える事が出来るかもしれない。
「自分が主人公キャラじゃない事は自覚しているけれど、いざお前はモブだと言われると言葉では言い表せない何かがあるな」
とはいえ、何をどうすればモブキャラでは無くなるのか皆目見当も付かない。俺が通うかもしれない学園だって、貴族や王族のような金持ちが行くような場所の筈・・・。運良くとは書いてあったが、入学試験とかもありそうな感じはする。
「う~ん、やっぱり勉強するべきかな~。昔から勉強は嫌いなんだよな。かと言って運動とかも得意では・・・」
悩んだ末にお父さんに頼んで鍛えて貰おうと考えた。頭を使うより体を動かす方がまだマシだと思ったからだ。
「確か、今日は家に居たよな?」
部屋を出てからお母さんの所に行き、お父さんが何処にいるのかを聞いた。
「お母様、お父様は今何処に居られますか?」
「お父さん? そうね、確か山の方に行って山菜とかを採ってくるとか言ってたけど・・・」
「分かりました、ありがとうございます!」
「お父さんの所に行くの? お父さん、危ない所に居るかもしれないから気を付けてね。近くにいないようならすぐに帰ってくるのよ?」
「はい」
お母さんは、心配しているが行ってはダメとは言わなかった。俺としては、正直助かる。危険な所に入るつもりは無いけれど、十分に注意しておこう。
そんなこんなで、お父さんがいる山まで行き、山に入る手前でお父さんが居ないか確認していたその時、地面が急に崩れてそのまま俺は滑り落ちていった。
何処まで落ちたのか分からないが奇跡的に怪我は無かった。気付けば洞窟の中にいて、上を見て落ちてきた所を確認出来たが外の光は差し込んでいなかった。落ちてきた穴を確認出来る程に明るい事を不思議に思った俺は、周りを見ると大きな扉があった。
扉は青く光っていて、この辺りはこの扉の光によって明るい事が分かった。体が動くことを確認して進み、扉の前に立ってみた。
怖いという感情は無く、扉の先に何があるのかという好奇心が勝ち、そっと扉に手を伸ばし触れてみた。
すると、扉は一層輝き始め、声が聞こえてきた。
「ダンジョン攻略を確認―― ダンジョン攻略により所有権を全て譲渡―― マスターの情報をインプットします」
「な、何!? 何が起きているんだ!?」
「インプット完了、レイン・ローズヴェルクをマスターとして認めます」
何が起きているのか分からないまま、俺は光に包まれていった。
すぐに、光は収まり目を徐々に開けて行く。
「なっ!?」
驚きのあまり言葉を失った。さっきまで洞窟にいた筈なのに、青い空と白い雲が見える。外に出た訳では無いことはすぐに分かり、空を飛んでいる状態ということも分かった。もちろん、俺が飛んでいる訳では無く、何かに乗っている。
「これって、もしかして飛行機に乗っている?」
「確かに空を飛びますが、飛行機とは違いますよ? マスター」
すでに、理解が追いついて無いような状態で更に追い打ちを掛けるような存在が横に現れた。
「初めまして、マスター。私の個体名はアルファですが、好きにお呼びになって下さい」
宙に浮いている丸い球体、そして赤いレンズが俺の方を見て確かに声を掛けて来ていた。
「しかし、まさかダンジョンを攻略したのがこのような幼い子供だとはとても驚きです。あ、マスターを馬鹿にしている訳ではありませんよ。表情などはありませんが、結構驚いたもので」
驚いたと言われているけど、正直俺の方が驚いている訳で、そもそもここは一体何処なのか、洞窟にいたのにどうして空の上にいるのか、ダンジョンって一体の何のことなのか、アルって呼んでも良いのかとか、多くの事を質問しようとしたが、頭がパンクしてしまいそのまま眠りについてしまう俺なのであった。
35
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる