転生先の説明書を見るとどうやら俺はモブキャラらしい

夢見望

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第4話 両親の優しさが心に染みました

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「おっ、目が覚めたか」
「あれ? お父さん?」
 目を覚ますと俺は、父の背中に乗っていた。しっかりとした背中だったがとても温かく心地良かった。あまり揺れないようにゆっくりと歩みを進めてくれている。
「ビックリしたぞ、山を下りて家に帰ろうとしていたらお前が倒れていたのを見つけてな。慌ててお前の状態を確かめてみたけど、服が汚れていただけで特に怪我は無かったから安心したよ」
「ごめんなさい、心配掛けて」
「今度からは気を付けないとダメだぞ。でも、無事で良かった」
「うん、ありがとう、お父さん」
 怒られても仕方ない事をしていたが、お父さんは怒らずに優しく接してくれた。その優しさがとても嬉しかった。
「それにしても、最近は丁寧な口調でお父様とか呼んでいたけど、前の呼び方に戻ったんだな」
「あっ、すみません、お父様」
「はっはっは、気にするな、お前の好きに呼べば良い。でも、うちは貴族でも何でも無いからやっぱりお父さん呼ばれる方が良いかな」
「うん、分かった、お父さん」
 家に帰り付くと、俺の格好を見て今度はお母さんが心配して丁寧に俺の体を調べていた。何事も無い事を確認すると、安心して少し涙を流しているお母さんを見て、少し申し訳ないと思った。
 今夜は、夕飯を食べた後、両親にお願いして一緒に寝て貰った。とても温かい気持ちになりながらぐっすりと眠った。

 翌朝、目を覚ますとすでにお父さんは出掛けていていなかった。朝早くから冒険者としての依頼が入っていたらしい。
 残念に思いながら顔を洗っていると、ふと思い出した。昨日起こった出来事は、結局夢だったのかと。家に帰り付いてから特別変わった様子も無い。顔を拭いて、朝食を食べに行こうとしていると、目の前に昨日の丸い物体が現れた。
「おはようございます、マスター。昨日は、いきなり倒れられたので驚きましたよ。しかし、良い睡眠が取れたようですね。顔の血色がとても健康的です」
「うわっーーーーーーー!!!」
 思わず大声で叫んでしまった俺の声を聞き、お母さんが慌てて駆けつけてくれた。
「どうしたのっ!? レイン。大丈夫?」
 駆けつけてくれたお母さんに飛びついた俺をお母さんは優しく抱きしめ頭を撫でてくれた。
「どうしたの? 何かあったの?」
「へ、変なのが、あ、あそこに」
 俺は、顔をお母さんに埋めたまま丸い物体が居た場所を指差す。しかし、お母さんからは意外な返答が返ってきた。
「何かいるの?」
「えっ? そこに何かいない?」
「ごめんね、お母さんには見えないわ」
 俺は、不思議に思いもう一度同じ所を見てみる。俺の気のせいかもしれないと思ったが確かにそいつはいた。
「マスター以外に私を認識出来ないようにしています。もちろん、声も聞こえません」
 そんな都合の良いことがあるのかと思ってしまったが、これ以上お母さんを心配させる訳にはいかないので、深呼吸をしてお母さんに話しかけた。
「ごめんなさい、お母さん。僕の気のせいだったみたい」
「良いのよ、きっと怖い夢でも見て勘違いしちゃったのね。大丈夫、お母さんが一緒にいるからね」
「うん」
「さあ、一緒に朝ご飯を食べましょう」
 何とか落ち着き、お母さんと一緒に朝ご飯を食べにいった。

 朝食を食べ終え、自分の部屋に戻る。そしたら、やることはただ1つ。ずっと、俺の後ろを付いてきていた丸い物体について調べることだ。
「それで、お前は一体何なんだよ」
「私はアルファです。マスターがダンジョンを攻略したことにより、主従の契約を結んだものですよ」
「そんなことした覚え無いんだけど」
「マスターにそんな気は無かったとしても、すでに決まってしまったことなので」
「う~ん、それじゃあお前は俺の命令は何でも聞くわけ?」
「はい、世界を滅亡させろと命令して下されば、全力でお応えしましょう」
「止めて、ていうかしないからそんな命令。アルファって、どのくらい凄いんだ?」
「曖昧な質問ですね。戦力という意味でしたら、国家を1つ簡単に消し飛ばせるくらいの戦力はありますよ」
「お前は、どうしてそんな怖い例え方をするんだよ」
「失礼しました」
「他に出来る事ってある?」
「そうですね、機会をいじるのは得意ですよ。こう見えて家事なんかも出来ます」
「へぇ~、確かに以外だな」
「知らないことでも1度教えて貰えれば完全に記憶しますよ」
「まじか、実質出来ない事無いじゃん」
「そうですね」
 何だろう、顔が無いから表情とか読めないはずなのに今はドヤ顔している気がする。
「しかし、マスターはどうしてあのような場所に?」
「ん? ああ、洞窟に落ちたのは偶然だったんだけど、お父さんに強くなるための修行をして貰おうと思っていたのさ」
「どうしてそのような事を?」
 俺は、アルファに数年後自分がどういった状態にあるのかを説明した。もちろん、神様から貰った説明書も使って。
「ふむ、正直神という存在については私はあまり信用をしていないのですが」
「俺からしたらお前の存在もまだ受け入れられていないけどな」
「私のマスターがぞんざいに扱われるのは我慢出来ません。ここは、私にお任せ下さい」
「何か良い方法でも思いついたのか?」
「はい、期待をしていて下さい。マスター望む未来を私が与えてみせます」
 何処かスイッチが入ってしまったようなアルファを見て嫌な予感をして、的中してしまう訳だがこの時の俺はまだ知らなかった。

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