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第23話 小さい体からとてつもないプレッシャーを感じるのは俺だけです
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「ミリアーデさん!」
光が収まった後、俺はすぐにリーゼの傍に駆け寄った。
「何かめちゃくちゃ光ってたけど、大丈夫!?」
「レインさん、はい、多分大丈夫だと思います。急な光に驚きはしましたけど、怪我もしてないですし、体調が悪いとかもないです」
「そっか、それなら良かった~~~」
リーゼは、軽く自分の体を確認した後に優しい笑顔で答えてくれた。
確かに顔や体に傷は付いていない。制服が乱れている訳でも無い。
体調も特に問題無いように見える。
「グラン先生は、大丈夫でしたか?」
「え、ええ、大丈夫よ。まだ、少し上手く目を開けられないけれど」
そう言ったグラン先生は、目を細めながら俺とリーゼの無事を確認していた。
「凄い光で何が起きたか分からなかったけれど、2人とも大丈夫だった?」
「いきなりだったので驚きはしましたけど、体に痛みとかは感じないので大丈夫だと思います」
「俺も特に問題は無いです」
「そう、なら良かったわ」
俺とリーゼの答えを聞いて、グラン先生はホッとした表情を見せた。
俺もリーゼと先生が無事でひとまず安心出来た。
「それでさっきの光の原因って・・・」
「恐らくミリアーデさんが召喚したその子が原因だとは思いますが・・・」
「この子ですか?」
先に2人の安全を確認したかったから触れていなかったが、リーゼの目の前に何かがいる。
「先生、この子は一体・・・」
「そうですね、恐らく妖精の一種だとは思いますが・・・」
「妖精ですか?」
「ええ、Cランクのモンスターですが召喚で出て来るのは珍しいモンスターですよ」
「えっ!? こんなに可愛い見た目をしているのにモンスターなんですか?」
「ミリアーデさん、見た目で判断しては行けませんよ。確かに体は人間の手の平サイズ程の大きさですが、魔力を多く含んでいる為、強力な魔法攻撃を放つことも出来るの」
「そ、そうなんですね」
「妖精によって得意な魔法が違うのですが、妖精の髪の色で見分けること出来ます。炎魔法が得意なら赤色の髪、水魔法が得意なら青色の髪、風魔法が得意なら緑色の髪といった風にね」
「なるほど、じゃあこの子の髪の色は金色だから・・・えっと、この子の得意な魔法は何なのでしょうか?」
「う~ん、それが私にも分からなくて、前に雷魔法が得意な妖精を召喚した生徒がいたのだけれど、その時の妖精の髪の色は黄色だったのよ」
リーゼが召喚した妖精は、今はリーゼの両手の平の上に収まっている。
金色の髪を持つ妖精。先生の反応を見るに、普通ではないのだろう。
先生とリーゼの会話を聞きながらも、俺はリーゼが召喚したとされる妖精に注意していた。
今は、かなり抑えられているが先程までリーゼの近くにいた存在と同じ魔力を感じる。
(リーゼの主人公補正で引き寄せられた希少な妖精だったりするのか? もしそうなら特別警戒する必要はないかもしれないけど、もしもがあったら怖いからな)
妖精がリーゼに危害を加えないという保証が無いから、どうしても警戒してしまう。
チラッと妖精の方に目をやると、妖精も何故か俺の方に顔を向けており、目があってしまった。
(やばっ、目があった。ま、まあ、このまますぐ目を逸らせば特に問題は・・・)
すぐに妖精から目を離そうとした時、妖精はニコッと笑った。
妖精の見た目は、人間の女性と変わらない。体は小さいが、顔も整っており、その辺の男なら今の笑顔でコロッと恋に落ちていたかもしれない。
そう、それだけ綺麗な容姿をしているのだ。
にも関わらず、妖精の笑った顔を見た俺は背筋がゾッとしてしまった。
(何でそんな笑顔でプレッシャー掛けて来るんだよ。Cランクのモンスターが放って良いものじゃねぇだろ!)
グラン先生が、妖精はCランクのモンスターだと言っていた。
だけど、目の前にいるのはCランクのモンスターなんかじゃない。そもそも妖精じゃない可能性がある。
(力だけ見るならこれ以上ない程の頼りになる存在だと思うが、それ以外が何も分からなすぎる。リーゼと契約させるには危険な気がする)
こういう時、いつもならアルファに話しかけていた筈なのに、プレッシャーで冷静な判断が出来なくなっていたのかもしれない。
俺は、すぐにリーゼに契約をしないように言おうとしたのだが
「私、この子と契約します」
すでにリーゼが答えを決めてしまった後だった。
「ミリアーデさん、良いんですか? この妖精は他の妖精とは違うようですし、不可解なところが多いですが」
「そ、そうだよ、ミリアーデさん。無理に契約する必要は無いよ。何ならまた召喚魔法をやってみても良いし」
「レインさん・・・心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫です。上手く言葉では言えないんですけど、何となく私の事を守ってくれそうな気がしたんです」
「み、ミリアーデさん」
主人公にしか感じ取れない何かがあるのだろうか。
俺はプレッシャーを感じていたが、リーゼは別の何かを感じ取ったのだろうか。
「先生、私この子と契約したいです。・・・ダメでしょうか?」
「いいえ、ミリアーデさんが自分で決めたことですから先生は何も言いません」
ふふふっ、と笑いながら先生はリーゼに答えていた。
「何かあった時は先生が何とかしてみせますから安心してください」
「はい、ありがとうございます!」
(あれ? 俺の時はそんな事言われなかったな・・・まあ、別に良いけど)
「それでは、ミリアーデさん、その子に名前を付けてあげて下さい」
「はい、分かりました」
リーゼは、一度深呼吸をしてから妖精と目を合わせた。
妖精の方もジッとリーゼを見つめ返す。
「貴方の名前は『リリィ』、どう・・・かな?」
妖精はニコッと笑うと、俺がシロに名前を付けた時のように光に包まれた。
また、校舎を覆うほどの光に包まれるかと思ったが、そんなことは無く妖精の体だけが光っていた。
光が収まると、妖精はリーゼの顔の近くまで飛んだ。
「『リリィ』って名前気に入ってくれた?」
妖精は、笑顔で頷きリーゼに答えた。
「えへへ、これからよろしくリリィ!」
嬉しそうに笑うリーゼ。リーゼの契約が上手くいって笑顔になるグラン先生。皆が笑っているのを見て、俺の腕の中で嬉しそうにしているシロ。
そんな幸せそうな空気が流れている中で、お腹が痛くなり始める俺なのでした。
光が収まった後、俺はすぐにリーゼの傍に駆け寄った。
「何かめちゃくちゃ光ってたけど、大丈夫!?」
「レインさん、はい、多分大丈夫だと思います。急な光に驚きはしましたけど、怪我もしてないですし、体調が悪いとかもないです」
「そっか、それなら良かった~~~」
リーゼは、軽く自分の体を確認した後に優しい笑顔で答えてくれた。
確かに顔や体に傷は付いていない。制服が乱れている訳でも無い。
体調も特に問題無いように見える。
「グラン先生は、大丈夫でしたか?」
「え、ええ、大丈夫よ。まだ、少し上手く目を開けられないけれど」
そう言ったグラン先生は、目を細めながら俺とリーゼの無事を確認していた。
「凄い光で何が起きたか分からなかったけれど、2人とも大丈夫だった?」
「いきなりだったので驚きはしましたけど、体に痛みとかは感じないので大丈夫だと思います」
「俺も特に問題は無いです」
「そう、なら良かったわ」
俺とリーゼの答えを聞いて、グラン先生はホッとした表情を見せた。
俺もリーゼと先生が無事でひとまず安心出来た。
「それでさっきの光の原因って・・・」
「恐らくミリアーデさんが召喚したその子が原因だとは思いますが・・・」
「この子ですか?」
先に2人の安全を確認したかったから触れていなかったが、リーゼの目の前に何かがいる。
「先生、この子は一体・・・」
「そうですね、恐らく妖精の一種だとは思いますが・・・」
「妖精ですか?」
「ええ、Cランクのモンスターですが召喚で出て来るのは珍しいモンスターですよ」
「えっ!? こんなに可愛い見た目をしているのにモンスターなんですか?」
「ミリアーデさん、見た目で判断しては行けませんよ。確かに体は人間の手の平サイズ程の大きさですが、魔力を多く含んでいる為、強力な魔法攻撃を放つことも出来るの」
「そ、そうなんですね」
「妖精によって得意な魔法が違うのですが、妖精の髪の色で見分けること出来ます。炎魔法が得意なら赤色の髪、水魔法が得意なら青色の髪、風魔法が得意なら緑色の髪といった風にね」
「なるほど、じゃあこの子の髪の色は金色だから・・・えっと、この子の得意な魔法は何なのでしょうか?」
「う~ん、それが私にも分からなくて、前に雷魔法が得意な妖精を召喚した生徒がいたのだけれど、その時の妖精の髪の色は黄色だったのよ」
リーゼが召喚した妖精は、今はリーゼの両手の平の上に収まっている。
金色の髪を持つ妖精。先生の反応を見るに、普通ではないのだろう。
先生とリーゼの会話を聞きながらも、俺はリーゼが召喚したとされる妖精に注意していた。
今は、かなり抑えられているが先程までリーゼの近くにいた存在と同じ魔力を感じる。
(リーゼの主人公補正で引き寄せられた希少な妖精だったりするのか? もしそうなら特別警戒する必要はないかもしれないけど、もしもがあったら怖いからな)
妖精がリーゼに危害を加えないという保証が無いから、どうしても警戒してしまう。
チラッと妖精の方に目をやると、妖精も何故か俺の方に顔を向けており、目があってしまった。
(やばっ、目があった。ま、まあ、このまますぐ目を逸らせば特に問題は・・・)
すぐに妖精から目を離そうとした時、妖精はニコッと笑った。
妖精の見た目は、人間の女性と変わらない。体は小さいが、顔も整っており、その辺の男なら今の笑顔でコロッと恋に落ちていたかもしれない。
そう、それだけ綺麗な容姿をしているのだ。
にも関わらず、妖精の笑った顔を見た俺は背筋がゾッとしてしまった。
(何でそんな笑顔でプレッシャー掛けて来るんだよ。Cランクのモンスターが放って良いものじゃねぇだろ!)
グラン先生が、妖精はCランクのモンスターだと言っていた。
だけど、目の前にいるのはCランクのモンスターなんかじゃない。そもそも妖精じゃない可能性がある。
(力だけ見るならこれ以上ない程の頼りになる存在だと思うが、それ以外が何も分からなすぎる。リーゼと契約させるには危険な気がする)
こういう時、いつもならアルファに話しかけていた筈なのに、プレッシャーで冷静な判断が出来なくなっていたのかもしれない。
俺は、すぐにリーゼに契約をしないように言おうとしたのだが
「私、この子と契約します」
すでにリーゼが答えを決めてしまった後だった。
「ミリアーデさん、良いんですか? この妖精は他の妖精とは違うようですし、不可解なところが多いですが」
「そ、そうだよ、ミリアーデさん。無理に契約する必要は無いよ。何ならまた召喚魔法をやってみても良いし」
「レインさん・・・心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫です。上手く言葉では言えないんですけど、何となく私の事を守ってくれそうな気がしたんです」
「み、ミリアーデさん」
主人公にしか感じ取れない何かがあるのだろうか。
俺はプレッシャーを感じていたが、リーゼは別の何かを感じ取ったのだろうか。
「先生、私この子と契約したいです。・・・ダメでしょうか?」
「いいえ、ミリアーデさんが自分で決めたことですから先生は何も言いません」
ふふふっ、と笑いながら先生はリーゼに答えていた。
「何かあった時は先生が何とかしてみせますから安心してください」
「はい、ありがとうございます!」
(あれ? 俺の時はそんな事言われなかったな・・・まあ、別に良いけど)
「それでは、ミリアーデさん、その子に名前を付けてあげて下さい」
「はい、分かりました」
リーゼは、一度深呼吸をしてから妖精と目を合わせた。
妖精の方もジッとリーゼを見つめ返す。
「貴方の名前は『リリィ』、どう・・・かな?」
妖精はニコッと笑うと、俺がシロに名前を付けた時のように光に包まれた。
また、校舎を覆うほどの光に包まれるかと思ったが、そんなことは無く妖精の体だけが光っていた。
光が収まると、妖精はリーゼの顔の近くまで飛んだ。
「『リリィ』って名前気に入ってくれた?」
妖精は、笑顔で頷きリーゼに答えた。
「えへへ、これからよろしくリリィ!」
嬉しそうに笑うリーゼ。リーゼの契約が上手くいって笑顔になるグラン先生。皆が笑っているのを見て、俺の腕の中で嬉しそうにしているシロ。
そんな幸せそうな空気が流れている中で、お腹が痛くなり始める俺なのでした。
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