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第22話 主人公が召喚するモノはとんでもなく眩しい!
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急遽決まった、放課後のグラン先生による召喚魔法の授業。
気が付けば、太陽が少しづつ沈み始めていた。
リーゼは、グラン先生に丁寧に教わりながら、召喚魔法の手順を進めて行く。
「魔力水を紙に全部かけ終わって、後は血を紙に垂らすだけか。あとは、何が召喚されるかのお楽しみか」
「本人は何が召喚されるかなど考えている余裕は無さそうです。とにかく、召喚が成功するように祈っているように見えます」
「もっと肩の力を抜いてって思うけど、それが難しいんだろうなぁ」
「マスターも先程まで失敗出来ないというプレッシャーを感じていたではありませんか」
「それは、リーゼに成功しているイメージを持って貰った方が良いわけで・・・」
「その気持ちも無かった訳ではないでしょうが、マスターの場合、リーゼにカッコ悪いところを見せたくなかったというのが9割なのでは?」
「バッ! そ、そんなわけ・・・いや、まあちょっとはそういう思いもあったけども・・・6割、7割くらい?」
「マスターよく聞いて下さい。マスターがどれだけ格好良くなろうとしても元がイマイチなんですから、何をしようが上手くいきませんよ」
「そんなことは無い!!」
「0に何を掛けても0とは言いますが、すでにマイナスな状態のマスターは、寧ろ0になれたら良い方です。掛けられるものはなく全て足されるのみ、しかもそれが全てマイナス。ああ、何と恐ろしい」
「恐ろしいのは、主人に対してそれだけの酷い言葉を投げつけることが出来るお前だよ」
アルファに傷つけられた心をシロに頬刷りすることで、回復する。
「ああ~~~、シロ~~~、アルファが俺をいじめてくるよ~~」
「く~~ん?」
俺が頬刷りしても嫌な顔せず、何なら顔をペロペロと舐めて慰めてくれる。
「おお~~、ありがとう、シロ~~!!」
「召喚されてまだそれほど時間も経っていないのに、随分と懐いていますね」
「俺が良いご主人様だと召喚されてすぐに分かったのさ」
「契約はしましたが主従関係などあるのでしょうか? むしろ良い世話係が出来たとシロに思われているかもしれません」
「ははは、そんな風に思われるのは嫌だな~~・・・そんなこと思ってないよね?」
頬ずりしていた顔を離して、シロを目の前に持ってくる。
不安な目で見つめる俺に対し、濁りのない綺麗な目で見つめ返してくるシロ。
「わふっ?」
「うん、きっと大丈夫だ」
「ただのマスターの願望では?」
「黙らっしゃい。俺のことは今はどうでも良いんだ」
そう、俺のことなどどうでも良いのだ。
今は、リーゼを見守ることに集中するのだ。
リーゼは、先生に渡されたナイフで指先を切り、紙に血を垂らした。
紙を地面に置き、少し距離を取る。
「あれ?」
リーゼは不思議そうに紙を見つめていた。
「レインさんがやった時は、血を垂らした後、紙が光っていたのに・・・失敗、しちゃったのかな」
「大丈夫よ、ミリアーデさん。召喚魔法に1度だけなんてルールは無いの。成功するまで何度やったっていいの」
「・・・はい」
先生に笑顔で返事をしていたが、その笑顔は悲しそうだった。
召喚に失敗したと思い込んでいるリーゼ。
だが、恐らく召喚は失敗していない。
「なあ、アルファ」
「はい」
「この空気どう思う?」
リーゼが紙に血を垂らして少しした後、空気が変わった。
姿は見えない。だが、確かにリーゼの近くに何かがいる。
「かなり大きな力を持った存在がいます。今はリーゼのことを観察しているようです」
「ここからリーゼと先生を守れるか?」
「召喚魔法の説明を受けていた際に、マスター以外にはバリアを張っておきました。大陸を消すほどの攻撃でなければ怪我1つ付くことはないでしょう」
「俺には張られていないのが引っかかるが、助かるよ」
「今のところ敵意などは感じられませんが、十分に警戒をしておいてください」
「分かってる」
リーゼが召喚した存在なのかは分からないが、正体の分からない何かはリーゼの近くに留まっている。
リーゼの近くに行き、いつでも守れる位置にいたいが、刺激を受けた何かが暴れ出し、逆にリーゼを傷つけてしまうかもしれない。
何事もなく、何処かに行って欲しい・・・
そう思った瞬間
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
リーゼの血を垂らした紙が、急に光り輝き始めた。
俺がシロを召喚した時とは比べものにならないほどの輝き。
その輝きはどんどん広がり、校舎を包み込んでしまった。
「アルファ!! リーゼと先生は無事か!!」
「あまりの光の眩しさに驚いているだけです。何かの攻撃を受けたり、怪我などはしておりません」
俺は光の眩しさで目を開けて確認することは出来ないが、どれだけ光が強くなろうとアルファには関係無い。
赤いレンズで、今起きている状況を冷静に見ている。
光が収まり、ゆっくり目を開けてリーゼが無事かを確認する。
リーゼに何処か怪我をした様子などは無かった。
ただ、何処か一点を見つめている。
リーゼが見つめる先には、羽を生やした小さな人の見た目をした何かがいた。
気が付けば、太陽が少しづつ沈み始めていた。
リーゼは、グラン先生に丁寧に教わりながら、召喚魔法の手順を進めて行く。
「魔力水を紙に全部かけ終わって、後は血を紙に垂らすだけか。あとは、何が召喚されるかのお楽しみか」
「本人は何が召喚されるかなど考えている余裕は無さそうです。とにかく、召喚が成功するように祈っているように見えます」
「もっと肩の力を抜いてって思うけど、それが難しいんだろうなぁ」
「マスターも先程まで失敗出来ないというプレッシャーを感じていたではありませんか」
「それは、リーゼに成功しているイメージを持って貰った方が良いわけで・・・」
「その気持ちも無かった訳ではないでしょうが、マスターの場合、リーゼにカッコ悪いところを見せたくなかったというのが9割なのでは?」
「バッ! そ、そんなわけ・・・いや、まあちょっとはそういう思いもあったけども・・・6割、7割くらい?」
「マスターよく聞いて下さい。マスターがどれだけ格好良くなろうとしても元がイマイチなんですから、何をしようが上手くいきませんよ」
「そんなことは無い!!」
「0に何を掛けても0とは言いますが、すでにマイナスな状態のマスターは、寧ろ0になれたら良い方です。掛けられるものはなく全て足されるのみ、しかもそれが全てマイナス。ああ、何と恐ろしい」
「恐ろしいのは、主人に対してそれだけの酷い言葉を投げつけることが出来るお前だよ」
アルファに傷つけられた心をシロに頬刷りすることで、回復する。
「ああ~~~、シロ~~~、アルファが俺をいじめてくるよ~~」
「く~~ん?」
俺が頬刷りしても嫌な顔せず、何なら顔をペロペロと舐めて慰めてくれる。
「おお~~、ありがとう、シロ~~!!」
「召喚されてまだそれほど時間も経っていないのに、随分と懐いていますね」
「俺が良いご主人様だと召喚されてすぐに分かったのさ」
「契約はしましたが主従関係などあるのでしょうか? むしろ良い世話係が出来たとシロに思われているかもしれません」
「ははは、そんな風に思われるのは嫌だな~~・・・そんなこと思ってないよね?」
頬ずりしていた顔を離して、シロを目の前に持ってくる。
不安な目で見つめる俺に対し、濁りのない綺麗な目で見つめ返してくるシロ。
「わふっ?」
「うん、きっと大丈夫だ」
「ただのマスターの願望では?」
「黙らっしゃい。俺のことは今はどうでも良いんだ」
そう、俺のことなどどうでも良いのだ。
今は、リーゼを見守ることに集中するのだ。
リーゼは、先生に渡されたナイフで指先を切り、紙に血を垂らした。
紙を地面に置き、少し距離を取る。
「あれ?」
リーゼは不思議そうに紙を見つめていた。
「レインさんがやった時は、血を垂らした後、紙が光っていたのに・・・失敗、しちゃったのかな」
「大丈夫よ、ミリアーデさん。召喚魔法に1度だけなんてルールは無いの。成功するまで何度やったっていいの」
「・・・はい」
先生に笑顔で返事をしていたが、その笑顔は悲しそうだった。
召喚に失敗したと思い込んでいるリーゼ。
だが、恐らく召喚は失敗していない。
「なあ、アルファ」
「はい」
「この空気どう思う?」
リーゼが紙に血を垂らして少しした後、空気が変わった。
姿は見えない。だが、確かにリーゼの近くに何かがいる。
「かなり大きな力を持った存在がいます。今はリーゼのことを観察しているようです」
「ここからリーゼと先生を守れるか?」
「召喚魔法の説明を受けていた際に、マスター以外にはバリアを張っておきました。大陸を消すほどの攻撃でなければ怪我1つ付くことはないでしょう」
「俺には張られていないのが引っかかるが、助かるよ」
「今のところ敵意などは感じられませんが、十分に警戒をしておいてください」
「分かってる」
リーゼが召喚した存在なのかは分からないが、正体の分からない何かはリーゼの近くに留まっている。
リーゼの近くに行き、いつでも守れる位置にいたいが、刺激を受けた何かが暴れ出し、逆にリーゼを傷つけてしまうかもしれない。
何事もなく、何処かに行って欲しい・・・
そう思った瞬間
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
リーゼの血を垂らした紙が、急に光り輝き始めた。
俺がシロを召喚した時とは比べものにならないほどの輝き。
その輝きはどんどん広がり、校舎を包み込んでしまった。
「アルファ!! リーゼと先生は無事か!!」
「あまりの光の眩しさに驚いているだけです。何かの攻撃を受けたり、怪我などはしておりません」
俺は光の眩しさで目を開けて確認することは出来ないが、どれだけ光が強くなろうとアルファには関係無い。
赤いレンズで、今起きている状況を冷静に見ている。
光が収まり、ゆっくり目を開けてリーゼが無事かを確認する。
リーゼに何処か怪我をした様子などは無かった。
ただ、何処か一点を見つめている。
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