神様の料理番

柊 ハルト

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ショコラの接吻

04 ー 勃発、嫁姑問題…ではなく

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 忙しいはずのフレデリクがここに居た理由は、何とも簡単なことだった。
 騎士団は警戒体制に入ったとは言え、本格的に動き出すのはアレクセイ達が遠征に行く頃だ。その前に各自休みを取っていた。
 そして丁度その休みの日に、スカーレットから誠が料理を作ってくれると聞いたから来た。それだけだった。

「…ローゼスは?」

 フレデリクの隣にローゼスが居ないことを訝しがる誠に、フレデリクはスパイスが入った瓶を手元で転がしながら答えた。

「後で来る。今はあの子の同期や私の子飼いから、情報を集めている最中だ」

 同期と言えば、カージナル達だろうか。フレデリクの傍で仕事をするのは忙しそうだと思いながら、誠は厨房に結界を張った。
 一息つけたので、これからは料理の仕上げだ。
 ブイヨン・ド・レギュームは野菜とソーセージを追加して煮込んでポトフに。それと、ローストビーフのソースも作らなければならない。
 そして、追加の分の料理もだ。それらは本来作ろうと思っていたものなので材料はすでに揃えてあるが、余計な時間を使ったので時間が無い。
 アレクセイに手伝いを頼むのはもちろんだが、誠は鍋の中を覗き込んでいる黒豹に目を付けた。


 締め切っている厨房は、当たり前だが匂いが篭っている。そろそろ換気をしたい。誠は窓を開けると、風の力を使って一気に空高くへ空気を押し上げた。
 一通り作り終わると、これからが本番だ。本番なのだが、誠はポケットから腕時計を取り出すと、がっくりと項垂れてしまった。

「ううぅ…俺の時間が…」
「すまない、マコト。本来ならここに泊まって、ゆっくり調理をしてもらおうと思っていたのだが、使用人達の態度を見ていると言い出せなくてな」

 アレクセイは誠の肩を抱くと、ゆっくり撫で始めた。
 きっとスカーレットとも、宿泊の話をしてくれていたのだろう。そう思うと、今回のことが余計に残念でならなかった。

「…何だ?母上から、今日は誠主催の食事会だとしか聞いてないのだが」

 勝手に冷蔵庫を開けて、キャロット・ラペを摘み食いしているフレデリクに注意する元気がない。作業台に上半身をぐでっと伸ばしたままの誠は、小さな雷をその手に向けて飛ばした。

「兄上、行儀が悪いですよ。それに、誠主催ではなく、本来は誠がただ料理を作るためだけに来たんです。それを母上が、自分も食べてみたいと言うから、食事会になっただけで…」

 フレデリクは手をさすりながら、アレクセイの言葉に目を丸くさせていた。

「ああ…あのヒトも楽しいことが好きだからな。誠の力を試したかったのだろう」
「やはりですか。あの母上のすることなので、こんな穴だらけの屋敷にはしないと思っていたんですが」

 どうやら兄弟同士で通じる会話をしているようだが、今はどうでも良い。残り時間を考えると、作れるスイーツは簡単な物しか作れない。誠にとっては、そちらの方が問題だった。
 誠はゆっくりと体を起こすと、バッグから材料を取り出した。
 誠が市場で旬でもない苺を購入できたのは、偶然だった。青果店の女将さんに聞くところによると、旬を過ぎた野菜や果物は、マジックバッグに保存して細く長く販売しているらしい。
 苺は人気のある果物なので、店頭に出してもすぐに売れてしまう。けれど朝イチで誠は来店できたので、売り切れる前に購入できたのだ。

「…やっぱ、苺にすっかな」

 いくつか果物を作業台に並べたが、誠がメインのデザートに使おうと選んだのは、そうして購入した苺だった。
 何とか時間内に調理を終え、疲れ様の代わりに誠が二人のためにコーヒーを淹れてやると、厨房の前には慣れた気配がウロウロしているのに気付いた。

「ちょっと来るのが遅かったな」

 誠が結界を解くと、中に入って来たのはローゼスだった。

「結界まで施して、何事だ?」
「あー…ちょっとね。見られたくなかったし」

 誠がそう言うと、フレデリクが後に続いた。

「どうやら今日は、ただの食事会だけではないようだ」
「え…そうなんですか?」
「ああ。母上が端折って伝えたみたいでな。それに、新しい使用人の態度が悪い」
「ええぇぇ…マコト、大丈夫だったのか?」

 ローゼスは誠の傍に寄って来て、眉を寄せた。

「あー…まあ、何とか。大丈夫だよ。心配してくれて、あんがとな」
「別に」

 照れたローゼスは、ぷいっと顔を逸らせてしまった。それを見ながらくつくつ笑っていると、食堂の方が騒がしくなってきた。どうやらレビ達も到着したようだ。
 誠はアレクセイに手伝ってもらいながら二台のワゴンに準備すると、厨房を後にした。
 食堂には、すでに全員が集まっていた。メイドが壁に沿って並んでいるのは分かるが、その中に混じって料理人も何人か並んでいる。
 これはどうやら食事会と言うより、晩餐に近いと考えた方が良いのかもしれないとアレクセイを見ると、アレクセイは首を傾げながらもグルグルと小さく唸っていた。
 誠が考えていた事柄からどんどん外れていっている。楽しく気楽な食事会と思っていたのに、公爵夫人が参加するとなると、こうなってしまうのだろうか。
 誠は小さな溜息を吐いてから、スカーレットの座に近付いた。

「スカーレット夫人」
「ん?もうお義母様と呼んでくれないのか?」

 出迎えてくれた時とは違う色のジュストコールを来たスカーレットが、ニカッと笑った。

「ええ…すみません、お義母様。お仕事お疲れ様でした」
「ああ、ありがとうな。しっかり腹を空かせてきたから、いくらでも入るぜ」
「それは良かった。それで、もう準備できてますけど、ご用意しますか?」
「頼む。皆もかまわないよな?」

 長いテーブルの片側には、レビ達四人が並んでいた。それぞれ緊張しているようだが、レビとルイージの尾は緩く揺れているので、これから並ぶ料理が楽しみなのだと分かる。
 代表して、オスカーが口を開いた。

「かまいません。俺たちも、お腹を空かせてきました」

 四人の視線が誠に集まる。彼らも満足してもらえる料理を作ったつもりだ。
 アレクセイ達にも席に着いてもい、誠は早速パン籠とキャロット・ラペの小皿を並べた。
 事前にアレクセイから、この国では大皿から取り分けて食べるのが普通だと聞いている。けれど誠はあえて、コース料理のように出すことを決めていた。
 その方が、一つ一つの料理をゆっくり説明できるし、きっと途中で横槍も入るだろうと予想の腕でだ。
 誰もが小皿を凝視していたが、アレクセイは一人でさっさと祈り出した。それを見たフレデリクは、スカーレットを促した。

「母上。祈りを。早くしないと、アレクセイに全部食べられますよ」
「あ…ああ、そうか。では皆、祈りを」

 人数が多いので、祈りによる光は、より輝いて見えた。けれど今は、それに見惚れている場合ではない。
 厨房での戦を終えた後、ここからが第二ラウンドなのだ。
 スカーレットは、まずキャロット・ラペを口にした。ぴくりと耳が動いたが、気に入ってもらえただろうか。
 周りの反応を見ると、気に入ってもらえたのが分かり、ひとまずはホッとした。

「…美味いな。マコト、これは?」

 もう皿を空にしたローゼスが、こちらを見てきた。

「それは、キャロット・ラペと言う、ニンジンのサラダです。こちらの国では生野菜のサラダを出すところが少ないように見えましたし、ドレッシングもシンプルな物が多かったので、食べやすいものを選びました」

 誠は小皿を下げると、ポトフが入ったスープ皿をスカーレットの前に置いた。

「…ほぉ」

 柔らかな香りが気に入ったのか、スカーレットの表情は綻んでいる。そしてパンを一切れ取ると、ちぎってポトフに浸した。

「奥様!」

 スカーレットが口にしようとした瞬間、壁際から大声が飛んできた。声の主は、厨房で粘っていた料理人だった。

「何事ですか、食事中ですよ」

 ロイズが咎めたが、二人の料理人は少し前に出て誠を睨んだ。

「いえ、ロイズ様。言わせてください。その男は、奥様に生ゴミのスープを食べさせようとしています!」

 その言葉を聞いた誠は、吹き出すのを堪えるので精一杯だった。予想通り、ブイヨン・ド・レギュームを生ゴミと言ったからだ。
 料理人の片方は続けた。

「それに、厨房で作っていた生ゴミのスープと、出されたスープは違う!貴様、本当にそれを自分で作ったのか?」
「…黙れ、騒々しい」

 スカーレットはその二言で、料理人の訴えを切って捨てた。そしてロイズをチラッと見てから、まだ手にしたままのパンを口に運んだ。

「うん、美味いじゃないか。これのどこが生ゴミなんだ。なあ、マコト。それに、パンも全く硬くない」

 スプーンでスープを飲むと、スカーレットはまた誠を見た。

「スープを作っている時に難癖をつけられましたが、俺がしてたのはスープの出汁をとってただけですよ。まぁ、アレクセイに手伝ってもらいましたけど」

 誠がそう説明すると、壁際からざわざわと聞こえてきた。きっとアレクセイに手伝いをさせるなんて、などと口々に言っているのだろう。
 スカーレットはそんな雑音をよそに、アレクセイに話を振った。

「そうなのか?アレクセイ」
「ええ。騎士団での遠征中は、上司も何もありませんからね。食事当番は交代で行いますし、俺も少しなら調理ができますし、マコトの補助なら慣れたものですよ」

 アレクセイはフンと鼻を鳴らすと、パンに手を伸ばした。
 誠は空になった小皿とスープ皿を交換しながら、説明の続きを話した。

「出汁を作った後で、スープの具材を入れました。ポトフという種類のスープです。それとパンですが、スープに浸さずにそのまま食べてみてください。噛みごたえがあるし、少し酸味もあって美味しいと思います」

 全員にスープが行き渡ると、飢えた獣達はすぐさまスプーンを握った。
 次はメインのローストビーフだ。口直しと彩のために、一緒に茹でたラディッシュと小松菜、じゃが芋を添えてある。

「これは…この国では食べたことのないソースだ。しかも、肉も美味い」
「でしょ?まあ、コツがあるんです」

 デザートには、リンゴのコンポートを出した。
 全員完食してくれて笑顔を浮かべてはいるものの、どの面を見ても「物足りない」と書いてある。当たり前だ。誠はあえて、少なく出していたのだ。

「さて…。デザートまで召し上がってもらったんですが」
「奥様!」

 誠の説明の途中で、またもや横槍が入った。そろそろキレても良いのだろうか。
 そっとアレクセイを伺うと、耳と尾をピンと立てながらも頷いてくれた。ゴーサインが出たのだ。
 しかし誠が息を吸い込んだ瞬間、誠よりも先に近くから怒号が飛んだ。

「何度も食事を中断させてんじゃねぇよ!お前らは何様のつもりだ!」

 怒鳴ったのは、スカーレットだった。

「ロイズ!あいつらは最近入ったばっかりの料理人だよな」
「はい。王宮からぜひともと言われ、雇わざるをえませんでした」
「しかも、ここの厨房に居座ってたらしいな。俺は、準備が済んだらすぐに本館に戻るようにと伝えたはずだ。答えろ、なぜ俺の命令を無視した?」

 やはりスカーレットは、誠との約束通りに厨房の出入りを禁じてくれたようだ。それに安堵しながらも、誠は振り上げかけた拳の行き場を無くしていた。
 自分よりもスカーレットが怒っているのだ。誠は現段階でのトップに場を任せることにした。

「奥様、俺達はただ…」
「あ?ただ、何だ。マコトはアレクセイのツガイだって通達してたはずだろ。そして今日は、俺の客でもある。お前ら、見事に俺の顔を潰してくれたな」

 料理人達が口ごもっている途中で、スカーレットはたたみかけるように続けた。
 これでは理由もを言う暇も無いのだが、それだけスカーレットの怒りは大きいようだ。

「それに、厨房の掃除を頼んでおいたメイド二人!お前らもすぐに出ていかなかったそうだな。立派な命令違反だ。メイド長、そうだな?」
「はい。申し訳ございません。私の管理不足でした」

 少し年嵩の獣人の女性が頭を下げながら言った。

「笑えるなあ。これがヴォルク家のメイドと料理人とは。…マコト、すまなかった」

 スカーレットは自虐気味に笑うと、誠に向かって頭を下げてきた。
 慌てたのは誠もそうだが、使用人達と料理人達もそうだ。いかに彼らの責任は雇用主である公爵家の者だとは言え、その公爵家に名を連ねるスカーレットがただの平民に頭を下げたからだ。
 誠は小さく溜息を吐くと、スカーレットの肩に手を添えて頭を上げさせた。

「やめてください、お義母様。貴方に頭を下げられると、俺はこの家に来れなくなります」
「しかし、悪いのはこの家だ。お前は俺と、少しでも交流を持とうとしてくれたんだろ?それを踏み躙ったのが、この家に仕える者達だったなんて…俺はそれが許せないんだよ」

 ああ、それが本音か。と、誠は瞬時に理解した。スカーレットの口角が少し上がっている。きっとこれは、誠と使用人達への最終試験なんだろう。
 趣味が悪いと思えばそれまでなのだが、彼はれっきとした公爵夫人だ。どんな手を使っても、家を守らなければならない。

「お義母様、貴方の言いたいことは良く分かりました」

 誠はニッコリと笑い、その言葉の裏が読めたと言外に伝えた。

「許してくれるのか?俺の新しい息子…」
「…そうですね、とりあえずは、と言ったところでしょうか。まぁ、落とし所は俺の旦那であるアレクセイに任せます」

 スカーレットの筋書きに、そのまま乗るつもりはない。
 誠は意趣返しのつもりで、アレクセイに任せることにした。それに、その方がスカーレットとアレクセイ、どちらの顔も立つだろうと思ったのもあったからだ。

「アレクセイ、どうする?」

 スカーレットに聞かれたアレクセイは、唸り声を止めた。耳は後ろに倒れているので、まだ相当怒っているのがうかがえる。

「母上、聞かなくても分かり切ったことです。クビにして、元の職場に送り返しては?」
「なっ…!」

 料理人達から戸惑いの声が上がったが、アレクセイは無視して続けた。

「俺はまだこの家に籍があるので、公爵家の子息のはずです。にもかかわらず、彼らは俺の声を聞かずに自我を通そうとした。これが公爵家に不利になる言葉なら、俺はちゃんと聞きます。けれど彼らは俺のマコトを侮辱するような言葉を発し、母上の命令も無視した。そういう者は、この家には不要です」
「確かにな」

 満足のいく結果になったのか、スカーレットは大きく頷いた。

「ロイズ、ここの厨房に関わった四人を元の場所に送りかえせ。ああ、後で書状はつけてやる。抗議文という名の書状をな」

 ニヤリと笑うスカーレットに、ロイズは表情を変えずに頷くと、料理人とメイド四人を魔法を使って拘束した。そして懐からロープを取り出すと、更に四人を縛り上げて食堂から連れ出してしまった。
 わーわーと抗議している声が遠くなると、食堂内は一気に静かになった。
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