【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ

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俺から見たお前

隠した心

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教室に着いて、俺は覚悟を決める。

一度、強く握ってそのまま

俺は早川の手を離したーー。


教室に入るなり腰に抱きつく八谷を受け入れる。

俺は‥ハチが好きだ。
そして早川は夏樹のことが。

このまま早川に対しての異常な執着を捨てればいい。全部、早川と出会う前の元通りに戻るだけ。

八谷が俺の手を握る。それを拒絶せずに好きにさせた。

これでいい。
俺が、二人の邪魔にならないように

これで、いいんだ‥。





昼休みになって、ふと俺は早川に視線を向ける。

早川は笑えているだろうか。夏樹と‥幸せそうな笑顔で‥。

「風太、今日はどうする?」

「ごめん、海、ちょっと今日はひとりで屋上で食べるよ。」

「‥わかった‥」

早川‥?

早川が虚な目をしていて教室を出て行くのが見えて、俺は目を見開く。

「なぁ、スナ~今日、スナの分の弁当作ってきたんだ!スナが来るかは賭けだったけど、やっぱり当たった!俺凄くね?スナ‥?聞いてる?」

俺のせいだろうか。
夏樹と喧嘩でもしたのか。

でも早川のあの表情は、普通じゃない。

俺は胸騒ぎがして、席を立つ。

「ハチ、ちょっと、行ってくる‥」

「へ?行くってどこに?っ、ま、まってスナ!」

気づけば咄嗟に追いかけていた。




屋上のドアを開けると、風が舞い込んできて、俺は目を細める。

壁にもたれかかる黒髪、見つけたーー。早川が俺を捉えた。

早川ーーと声をかけようとして俺は息を呑む。

一瞬、早川が泣いているように見えたから。

「スナ‥?八谷」

気のせいだろうか

ニコニコと不自然に笑いながら、早川が話す。

ついてきたハチとなにか軽く会話をしているが、俺は全く頭に入ってこなかった。

目元が赤い。やっぱり、気のせいなんかじゃない。

早川が出て行こうとして、咄嗟に早川の制服の裾を掴んだ。

「なんで」


泣いてたんだーー。


問い詰めようとして、すぐに口を閉じる。それ以上は踏み込んではいけないような気がした。

俺は今にも消え入りそうな早川を隣に座らせる。
1人にさせてはいけない。そう思った。
だって、何かで繋ぎ止めておかないと、こういう時は本当に消えてしまいたくなるものだから。

マチアプ。軽いーー。
ハチが妙な話をしだして、早川の顔が曇っていく。

どういうことだ?夏樹と付き合ってるんじゃないのか?
一瞬、他のやつとも連絡をとっていることに苛立ちが募るが、それよりも早川の顔色が徐々に悪くなっていることが気になった。

どこか体調が、悪いのだろうか。

「人それぞれだしいいんじゃね‥?気持ちよければどうでも‥」


ふいに、早川がそんなことを呟いて、
俺は咄嗟に早川の肩を掴む。


「っ、」

「なに、スナ‥近え‥」

どうして、
お前がそんなことを言うんだ。

夏樹と付き合ってるんだろ。好きだから、恋愛したから優先順位が変わったんだろ?

恋愛をしたら早川が幸せになるんだろ。

両親の姿が浮かんで、俺は眉を顰める。
お前がそんなこと言うなよ。

お前だけは絶対にそんなこと思うなよ。

「えっと‥どうしたのスナ?なんか早川とあったの?さっきから‥


ずっと早川の服掴んでるけど‥」

ハチが背後でそう告げる。だけど今は構ってられる余裕がなかった。

「気持ちいいならいいのか、誰でも」

俺早川に詰め寄る。
どうしても、本気で言っているのか、早川の心境を確かめたかった。

「‥さぁ‥どうだろうな?」

早川が少し間を置いてそう呟く。
俺はその言葉が嘘だとすぐに分かった。

だって、死にそうなぐらい切ない顔をするから。

なんでそんな嘘をつくんだ。
お前は何を抱えてんだよ。

ふと、八谷が何か早川の耳元で呟いたのが分かった。

気づけば、早川の顔から笑顔が消えていて。
早川は怒鳴りながら俺の腕を勢いよく振り払う。

離れた手に、心が抉られるような感覚が胸を貫いた。

拒絶、

早川が走り去っていく。

俺は呆然と、その背中をただ見送ることしかできなかった。

「スナ‥ねえ、スナ!」

少しして、ハチに話しかけられていることに気づく。

「っ、なに」

絞り出した声は情けないほど小さくて掠れていた。

「‥スナは‥ううん、なんでもない‥ほら!ご飯食べようぜ!な!」

ハチの目に疑念が宿っているのが分かる。普通は、何故かと聞くべきなんだろうな。

それでも俺の意識は扉の向こうにあって、

「、あぁ」

俺は静かにそう呟いた。





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