【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ

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俺から見たお前

これで最後

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教室に入る途中、夏樹と出会して、俺はこれで終わりかと心臓が冷えて行くのを感じた。

夏樹が笑いながらも俺を睨んでいるのが分かる。

そりゃそうだ‥恋人が別のやつと手を繋いで登校してきたんだから‥。

夏樹から見たら俺は最低なクズだろうな。

「スナくんのそれって‥恋愛感情?」

「違う。」

答えてから、胸に違和感を覚える。

俺は‥早川の友人だ。だから、間違いじゃないのに‥

どうしてこんなにも、

ーー胸が苦しいんだろう。

刹那、夏樹が早川を連れて行こうとその名を呼んだ。

俺が呼んだことのない早川の名前。まるで関係性やその優遇を強調しているようだ。

俺はその手を離そうと、覚悟する。
けれど、胸の奥からどろりと溢れ出した気持ち悪い感情が、息苦しくまとわりつく。
″これで最後だ。そう頭では分かっているのに、指先は迷うように震えた。

離したら、もう二度と触れられない気がした。

もう二度と‥

心臓がうるさく脈打つ中、気づけば俺は早川の腕を勢いよく引いて歩き出していた。


なにをしてるんだと頭の片隅で怒りが湧いて、だけど最後ならと俺はそれを無視して屋上へと早川を連れて行く。


屋上に着いた途端、俺は早川を抱きしめた。

心地いい、少しぬるめの温かい体温。
胸に収まる体は、積み木みたいにぴったりと合わさる。
早川の匂いに包まれて、満たされる心。それに反して細い腰は震えていて、俺は罪悪感で胸が締め付けられた。

気持ち悪いよな‥ごめん、
これで最後だから。

どうか、許してくれ早川。

「っ、」

ふいに、背中に腕が回って、強くぎゅっと抱きしめ返される。
俺は目を見開いた。

早川の息が首筋に当たる。
少しこそばゆくて、だけどそれよりも心臓が強く高鳴った。俺はそれを隠すように早川の背中と腰に回した手をさらに引き寄せる。

早川‥俺‥お前のことーー。


「、‥スナ‥体調は大丈夫か‥?しんどくないか?」

「‥うん」

こんな時でも、早川は俺の心配をする。
恋人と一緒にいたいはずなのに、弱ってる俺を優先してくれる。

「そっか。無理はすんなよ?少し休んでから教室に戻ろうか?」

「‥」

こんな優しいやつを、俺の都合で振り回したら駄目だ。

首元でそう告げる早川に頷く。

「わかった」

それからはお互いにただ無言だった。

これで最後にしよう。この温もりをこの思い出をずっと覚えておこう。

早川と過ごした日々を、ずっと大切にしよう。
そしたらきっと、大丈夫。

ちゃんと演じられる。

早川の友人をーー。

こうして時間が経って、俺たちはゆっくりと顔を見合わせながら名残惜しく体を離した。

唯一、早川が俺の手をぎゅっと繋いできて、俺は切なくなって目を細める。

目元が熱くなって、同じようにその手をぎゅっと握り返した。

お互い何も話さないまま、教室へと続く階段を降りていった。




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