聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

文字の大きさ
116 / 241

予想は外れない

しおりを挟む
『古文書』が『日記』だった件。
 いや、どうなんだろう、─────コレ。
 人によってはルンルンで読むかもしれないが、他人の黒歴史かもしれないものを、嬉々として見る趣味が自分にはない‥‥‥‥。

「‥‥‥‥これ『日記帳』じゃん‥‥‥‥」

「「 ─────日記!?」」

  ─────あれ?なんで二人とも驚くだろうのだろうか。例の『聖女』様にも見せたんだよね?アイツに聞いたんじゃないの?と聞けば、そんな事は聞いてない、と返事が返ってきた。
 ─────絶対嘘じゃん。 他の人が読めない事をいいことに、都合よく利用したな。

「『和也の日記』て表記があるけど‥‥‥‥」

 和也の名前に覚えがあるらしく、俄かに騒ぎ出す二人。

「『カズヤ』といえば、伝説の勇者の名前ですよっ!」
「本当なんですかっ!」

 ─────んん~~伝説の勇者だと~~?
 伝説って言えば、時系列的に昔々って事だよな?え~?この世界そんな前から、日本人いたんかいって事になるんだけど~ んん~? 

「『伝説の勇者』って『勇者の物語』の勇者?」

 と聞けば「まさか、知らないのですか」と知ってて当たり前な反応をされた。
 ─────知らねぇよ。 
 
「私は、この国の人間じゃないからねぇ」
 
 適当に誤魔化しておく。─────なぜそれが読めるのかって?それは企業秘密だ。
 そう言うと、キョトン顔された。しまった、この世界に企業秘密は通用しないのか‥‥‥‥。

「なるほど、特殊スキルという事ですね。理解しました」

 ‥‥‥‥なんか勝手に納得された─────まあ、いいや。
 それにしても、この『日記』なんだか嫌な予感がするな~。
 表紙を睨んでいると、ピロンと小さく『ナビ』が出てきた。

『オリジナルの魔法陣があるみたいです。スキャンしましょう』

 おいおい『ナビ』さん、めっちゃやる気じゃん。それ面白そうだな、ちょっとだけ覗いてみよう。ぴらっと表紙をめくってみる

『俺様、勇者への道!』

 ─────ぱんっ

 一ページ目で中二病な文字が目に入り、思わず閉じた。
 
 スゥーーーーーーーっ。
 
 ─────がんばれ自分。ある程度予感していただろ? 
 気を取り直して、再度めくっていく。
 
 『いきなり変な場所へ飛ばされた。いったいここはドコなんだろう?』

 うん、まあ最初は普通か‥‥‥‥。 
 なんて思ったのは、初めの頃だけだった。

 異世界転移の例にもれず?仲間を集め、旅に出た頃から『勇者』の行動は、何だかおかしな方向へ向かっていく。

『あのお姫様、めっちゃかわゆい。ぜってぇ俺の嫁』
『やっぱあの堅物女騎士、最高にスタイルいいよな。お触りしてぇ~ワンチャンありかな~』
『清楚系も外せんよな~。どうやって仲間になってもらおうかな~』

 ─────おいこら。

 旅の目的が、どうやら途中からハーレム作りに向かっている。
  異世界に来て、煩悩丸出しじゃねえか!
 
 何だか細かく見る気が失せて、パラパラと数ページ飛ばす。
 
『オレ、もしかして天使に会ったかも』

 ─────ん?
 そこには、最初の頃とはだいぶ雰囲気が違う一文が記されていた。

「─────天使?」

 興味をひかれて、なにげに次のページをめくってみると、そこには彼女の名前らしきものが見開きいっぱい、びっちびっちびちびちに書きつねられていた。

─────怖い怖い怖い怖い。なんだよ呪いかよコレ。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

モブで可哀相? いえ、幸せです!

みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。 “あんたはモブで可哀相”。 お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?

海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...