「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里

文字の大きさ
20 / 142

20.約束してる訳じゃないんだけど。

しおりを挟む


「その偉いじいちゃんさ、写真見たら、オレ、見たことあった」
「え、そうなの?」
「どっかのパーティーで見かけたって感じ」
「喋ったこと、ある?」

 そう聞くと、すぐに首を横に振る。

「ガキのオレが、あんなグループの偉そうな人と話す機会はねーかな」
「なるほど……」
「なんていうか――気さくな感じだけど、すげーオーラ。αでしかないって感じ」
「……まあ竜もそうだけどね。あ、瑛士さんもそう。オーラみたいなの。……まあでもフェロモンは感じないんだけど」
「まあそれは前からだし。――つか、そのじいちゃんに、反対されたらどうすんの」
「――さあ……??」

 どうするんでしょ?? と苦笑したら、竜は、なんだそれ、と笑う。

「そこに反対されたら、無しなんじゃないかなあ。瑛士さんに任せるよ。ダメだったら、それまでだと思うし。本当のこと話すって選択肢もあるのかなあ……? 分かんないや。そこは瑛士さんが考えるんじゃない?」
「――だとしても、変な店いくこと考えたら、ぶん殴る」

 じろ、と睨まれて、「あ。はい」と、ぴしっと座り直す。

 そうだった。……契約結婚の話よりも怒られたのは、そういう店の前で悩んでた話をしてしまったからだった。
 ……めっちゃ怒られた。
 医者になるんだろ、そんなのやってバレたらどーなると思ってんだ、って。
 たしかに。そりゃそうだ。当たり前だよね。そんなの。
 なんかあの時、オレ、疲れすぎてて、バイトと講義と実習と睡眠不足と、栄養も偏ってた気がするし。なんかちょっと全然、頭が働いてなくて、なんかふらふら~と……みたいな言い訳を言ったら、もう本当にめちゃくちゃ怒られたのだった。

 まあでもさ。一応は考えたんだよ。

 ……オレが医者になるためなら。別になにで稼ごうと関係ないって。父にも頼りたくなかったし。そこら辺は本気だったけど。でも竜に言われて、確かにあとになってそういうことしてたのがバレたら面倒くさかったかも、とは思った。――覚悟の上でちょっと考えてたって言ったらもっと怒られそうだし、心配させそうだから、あまり深くは言わなかった。


「今度そういう状況になったら、無担保無利子で、いくらでも貸してやるから」
「貸すの? くれるんじゃなくて?」

 クスクス笑いながら聞くと。

「お前、貰わないだろ」
「……ですね」

 良く分かってる。クスクス笑ってると。

「まあ別に今そうしてもいいけど。そんなに父親が嫌でその金使いたくないなら、早く言えばいいのに」
「――竜にお金出してもらうって、それはおかしいような気が……」
「瑛士さん、に出してもらうのはいい訳?」
「いいっていうか……瑛士さんは、利害が一致しての契約、だから。竜にお金借りるよりは、意味がちゃんとしてるというか」
「ふうん……まあ。今のまま、嫌なことがねーならいいけど。つか、あほなことは二度と考えんなよ」
「うん。なんかちょっとあの時は、どうかしてた。もう考えないし、いざどうしようもなくなったら、頼るよ。竜」

 そう言うと、竜はオレを少し見つめてから目を逸らし、「ん」とだけ、頷いた。

 ……ちょっと照れたかな? 
 分かりにくいけど、こんな感じのとこもあり。優しいとこもあるαなので。竜は、仲良しだ。


「ああ、その瑛士さんも、ネットで見たぞ、写真」
「あ、どうだった?」

「――顔、整いすぎてて怖いな? 整形?」
「……してないんじゃないかなあ……分かんないけど。そんなの思うほどってこと?」

「お前に話聞いた時、モテすぎて支障が出るとか、何ほざいてんだと思ったけど――んー」
「納得した?」
「……ちょっとはな」

「竜も、もっとにこってしてあげたら、すごいモテると思うんだけどね」
「……にこってしてるだろ」

「……してるつもりなの?」


 あの、ニヤっていうのは、ニコ、のつもりだったりするのか??
 それは言わずに、自然と首を傾げて竜を見つめてしまうと、また、苦笑する。


「まあ……竜は、それでいいと思う。カッコいいしな」
「そーか?」
「うん。――あ、そうだ。なあなあ、昨日のさ、内海うつみ教授の検査結果さぁ……」
「ん」
「考えられる病気を可能性高い順に、十個まであげて来いってやつ。やった?」
「まだ途中」
「放課後、図書館行かない? もー難しいよねぇ……」
「いーよ。じゃあ図書館で」
「うん」

 ふ、と息をつきながら、頷くと、コーヒーを飲み干した竜が、あとでな、と立ち去って行った。

 短い休憩だなーと思って見送りながら、あ、と気づいた。


 
 ――今日は瑛士さんにご飯作ってあげられないから、連絡しとこうかなぁ。


 別に約束してる訳じゃないんだけど。
 なんか、いつも来るから。


 その旨送って少し待つけど、既読はつかない。
 忙しいって言ってるもんな、とスマホをポケットにしまった。







しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...