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103.普段しないこと
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「じゃあ……オレ、瑛士さんに、お礼したいので、おみやげ買わせてください」
そう言ったら、瑛士さんはオレを見つめて、すごく嬉しそうに笑ってくれた。そんな風に笑ってくれると、何だかくすぐったい気持ちになる。
「どんなのがいいとかありますか……?」
「凛太がオレに選んでくれたなら、なんでもいいんだけど……あ、じゃあ、凛太と水族館に行ったって思いだせるものがいいな」
「え、難しくないですか?」
何だろうと首を傾げると、瑛士さんは「まあ、基本なんでもいいから」と笑った。
「分かりました。そしたら……」
「ん?」
「オレのも、瑛士さんが選んでくれませんか? オレも、なんでもいいです。もしぬいぐるみだったら、持ち歩くことにします」
ぬいぐるみだったとしても、そうすればいいよね、と思って言ったら、瑛士さんはきょとんとした顔でオレを見つめた。
「持ち歩くの? ぬいぐるみを?」
「やっぱりなんとなく置いておくのは可哀想な気がして。でも瑛士さんが選んでくれるならいいかなと。ぬいぐるみも可愛いですし」
「――へえ? じゃあ、特大のぬいぐるみにしようかなあ」
「えっ」
持って歩けるかな? さすがにすごく目立つな、とびっくりしていると、瑛士さんが、ははっ、と可笑しそうに笑った。
「嘘だよ。そんな顔しないで」
「どうやって持ち歩こうって思っちゃって」
「持ち歩く方向で考えてたんだ?」
ますます可笑しそうに笑う瑛士さんの笑顔は、なんだか、見てるこっちまで嬉しくなる。そういえば、とふと思いついて、じっと見つめていると、ん? と微笑んでくれたので、聞いてみることにした。
「瑛士さんて……いつもお仕事の時は、真面目な顔してるんですか?」
「って、何その質問」
言いながら、くっ、と笑い出して、またしばらく笑ってる。
「真面目な顔して、ちゃんと仕事してるから安心して。凛太といる時とは違うよ」
「そうなんですね……」
「オレの真面目な顔が想像できない?」
「そんなことはないんですけど……なんか、オレは、瑛士さんが笑ってる顔が、いつも頭にあるから。お仕事の時もそうなのかなって思っただけなんですけど」
「まあ仕事中は割と真面目な顔してるよ?」
クスクス笑いながら、瑛士さんは言う。
「でも仕事の時も、凛太が隣にいてくれたら、笑ってるられかもなぁ……そう思うくらい、オレは凛太と居るの楽しいよ」
「……オレも楽しいです」
「何だろうね。合うのかなぁ、波長が」
「波長……」
うん。そんな感じも、する。
とくにすごく理由がある訳じゃないけど、なんとなく、安心して、なんとなく、楽しい。
「――ん、じゃあオレ、凛太が喜びそうなものを、選ぶことにする」
「オレも、頑張ります!」
「レジは別々にしようね。買ったら合流。車の中で、渡し合おうよ」
「家じゃなくてですか?」
「早く見たいからさ」
「確かに。そうですね」
ふ、と笑い合って、瑛士さんと離れた。買い終わるまでは近づかないってことで、って、約束して、お店をうろうろ回り始めた。
いくつも店舗があるので、一回離れたら、瑛士さんがどの店に居るかもわからない。
早く決めよう。
――瑛士さん、さっき、凛太と水族館に行ったって思い出せるもの、って言ってたけど……難しいな。何なら思い出してくれるだろ。
オレに似てるって、瑛士さんが言ってたのは赤ちゃんペンギン……似てるかな。ていうかオレって、瑛士さんにとって、どんだけ赤ちゃんなんだろう。一応もう十九歳なんだけど。せめて、普通のペンギンだったらまだ……いや、ペンギンな時点で、めっちゃ可愛いじゃん。
オレ、ペンギンには似てないと思うのだけど。
そう思いながらも、似てるね、と言って笑ってた瑛士さんの優しい笑顔が思い出される。
ペンギン……それこそ瑛士さんにぬいぐるみ買う訳にはいかないし。ストラップも使わないだろうし、ていうか、ペンギン、瑛士さんが持ってるの見られたくないよねと、ふ、と笑ってしまう。大人なイメージが変わっちゃう気がする。お仕事してるときが多いだろうからなぁ……。
あれこれ見かけては、いろいろ考えて、全然決まらなかったのだけれど、あるキーホルダーの前で、止まった。
可愛い赤ちゃんペンギン。なんだけど子供っぽくはない。ちょっとおしゃれに描かれている。
アクリルの中に銀色のラメが入ってるのかな。裏は少しキラキラしてて、表に、ぷっくりとしてて透明感のある雰囲気で赤ちゃんペンギンと、横にすごくちっちゃいお魚がついてる。……可愛い。
小さいキーホルダーだから、どこかに置いてもらえるか、キーケースとかに忍ばせてもらえるかも。なんなら机の引き出しの端っことかでもいいかな。
小さすぎる気がするけど、でも、目立たず、瑛士さんの側に居させてもらえたら嬉しい……って、オレ、ペンギン気分になってるかもしれない?
ちょっと苦笑しつつ手に取り、学校向けにたくさん入ってるお菓子を買った。そういえばたまに旅行のおみやげでいろいろ配られてるなと思いだしたから。αが多いからなのか、忙しい中でも旅行とかなんかよく行くんだよなぁ。
オレ、普段どこも行かないから、おみやげとか買っていったことないし。たまにはいっか。
ほんと、瑛士さんと居ると、普段しないことが、いろいろ出てくる気がする。
それを選んでるついでに、おいしそうなレアチーズケーキを発見。
中身には何の関係もないけど、包装紙にはペンギンの絵が描いてある。
――瑛士さんと一緒に食べよ。チーズ好きだから、これも好きだよね。
ふふ。楽しみ。
買うものを抱えてレジに向かう途中で、かなり離れた違う店舗から出てくる瑛士さんと目があった。手に持ってた袋を挙げて、多分、買ったよ、とか言ってるのだと思う。
笑顔で頷いて、オレはレジに急いだ。
そう言ったら、瑛士さんはオレを見つめて、すごく嬉しそうに笑ってくれた。そんな風に笑ってくれると、何だかくすぐったい気持ちになる。
「どんなのがいいとかありますか……?」
「凛太がオレに選んでくれたなら、なんでもいいんだけど……あ、じゃあ、凛太と水族館に行ったって思いだせるものがいいな」
「え、難しくないですか?」
何だろうと首を傾げると、瑛士さんは「まあ、基本なんでもいいから」と笑った。
「分かりました。そしたら……」
「ん?」
「オレのも、瑛士さんが選んでくれませんか? オレも、なんでもいいです。もしぬいぐるみだったら、持ち歩くことにします」
ぬいぐるみだったとしても、そうすればいいよね、と思って言ったら、瑛士さんはきょとんとした顔でオレを見つめた。
「持ち歩くの? ぬいぐるみを?」
「やっぱりなんとなく置いておくのは可哀想な気がして。でも瑛士さんが選んでくれるならいいかなと。ぬいぐるみも可愛いですし」
「――へえ? じゃあ、特大のぬいぐるみにしようかなあ」
「えっ」
持って歩けるかな? さすがにすごく目立つな、とびっくりしていると、瑛士さんが、ははっ、と可笑しそうに笑った。
「嘘だよ。そんな顔しないで」
「どうやって持ち歩こうって思っちゃって」
「持ち歩く方向で考えてたんだ?」
ますます可笑しそうに笑う瑛士さんの笑顔は、なんだか、見てるこっちまで嬉しくなる。そういえば、とふと思いついて、じっと見つめていると、ん? と微笑んでくれたので、聞いてみることにした。
「瑛士さんて……いつもお仕事の時は、真面目な顔してるんですか?」
「って、何その質問」
言いながら、くっ、と笑い出して、またしばらく笑ってる。
「真面目な顔して、ちゃんと仕事してるから安心して。凛太といる時とは違うよ」
「そうなんですね……」
「オレの真面目な顔が想像できない?」
「そんなことはないんですけど……なんか、オレは、瑛士さんが笑ってる顔が、いつも頭にあるから。お仕事の時もそうなのかなって思っただけなんですけど」
「まあ仕事中は割と真面目な顔してるよ?」
クスクス笑いながら、瑛士さんは言う。
「でも仕事の時も、凛太が隣にいてくれたら、笑ってるられかもなぁ……そう思うくらい、オレは凛太と居るの楽しいよ」
「……オレも楽しいです」
「何だろうね。合うのかなぁ、波長が」
「波長……」
うん。そんな感じも、する。
とくにすごく理由がある訳じゃないけど、なんとなく、安心して、なんとなく、楽しい。
「――ん、じゃあオレ、凛太が喜びそうなものを、選ぶことにする」
「オレも、頑張ります!」
「レジは別々にしようね。買ったら合流。車の中で、渡し合おうよ」
「家じゃなくてですか?」
「早く見たいからさ」
「確かに。そうですね」
ふ、と笑い合って、瑛士さんと離れた。買い終わるまでは近づかないってことで、って、約束して、お店をうろうろ回り始めた。
いくつも店舗があるので、一回離れたら、瑛士さんがどの店に居るかもわからない。
早く決めよう。
――瑛士さん、さっき、凛太と水族館に行ったって思い出せるもの、って言ってたけど……難しいな。何なら思い出してくれるだろ。
オレに似てるって、瑛士さんが言ってたのは赤ちゃんペンギン……似てるかな。ていうかオレって、瑛士さんにとって、どんだけ赤ちゃんなんだろう。一応もう十九歳なんだけど。せめて、普通のペンギンだったらまだ……いや、ペンギンな時点で、めっちゃ可愛いじゃん。
オレ、ペンギンには似てないと思うのだけど。
そう思いながらも、似てるね、と言って笑ってた瑛士さんの優しい笑顔が思い出される。
ペンギン……それこそ瑛士さんにぬいぐるみ買う訳にはいかないし。ストラップも使わないだろうし、ていうか、ペンギン、瑛士さんが持ってるの見られたくないよねと、ふ、と笑ってしまう。大人なイメージが変わっちゃう気がする。お仕事してるときが多いだろうからなぁ……。
あれこれ見かけては、いろいろ考えて、全然決まらなかったのだけれど、あるキーホルダーの前で、止まった。
可愛い赤ちゃんペンギン。なんだけど子供っぽくはない。ちょっとおしゃれに描かれている。
アクリルの中に銀色のラメが入ってるのかな。裏は少しキラキラしてて、表に、ぷっくりとしてて透明感のある雰囲気で赤ちゃんペンギンと、横にすごくちっちゃいお魚がついてる。……可愛い。
小さいキーホルダーだから、どこかに置いてもらえるか、キーケースとかに忍ばせてもらえるかも。なんなら机の引き出しの端っことかでもいいかな。
小さすぎる気がするけど、でも、目立たず、瑛士さんの側に居させてもらえたら嬉しい……って、オレ、ペンギン気分になってるかもしれない?
ちょっと苦笑しつつ手に取り、学校向けにたくさん入ってるお菓子を買った。そういえばたまに旅行のおみやげでいろいろ配られてるなと思いだしたから。αが多いからなのか、忙しい中でも旅行とかなんかよく行くんだよなぁ。
オレ、普段どこも行かないから、おみやげとか買っていったことないし。たまにはいっか。
ほんと、瑛士さんと居ると、普段しないことが、いろいろ出てくる気がする。
それを選んでるついでに、おいしそうなレアチーズケーキを発見。
中身には何の関係もないけど、包装紙にはペンギンの絵が描いてある。
――瑛士さんと一緒に食べよ。チーズ好きだから、これも好きだよね。
ふふ。楽しみ。
買うものを抱えてレジに向かう途中で、かなり離れた違う店舗から出てくる瑛士さんと目があった。手に持ってた袋を挙げて、多分、買ったよ、とか言ってるのだと思う。
笑顔で頷いて、オレはレジに急いだ。
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