「誕生日前日に世界が始まる」

星井 悠里

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番外編

番外編「一緒に時を」1/3

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「おはよ、凌」

 隣に寝ていた真也が起き上がってて、オレの頭をなでなでしてくれる。
 ――――そうだ。昨日、一緒に寝たんだ。嘘みたい。

「おはよ、真也」

 昨日より前も、泊まることはあった。朝の挨拶もしてた。でも、頭は撫でられたことなかったし、こんな風に、近くもなかったし。

「凌」
 ちゅ、と頬に軽くキスされる。

「え」
 
 びっくりして頬に触れて、真也を見つめると。

「なんか、嘘みたい、とか思ってそうだから」
「何で分かったの」
「分かるわ」

 クスクス笑って、真也がオレを見つめる。

「どんだけ一緒に居たと思ってンの?」
「――――……うん。ありがと。居てくれて」
「……ん」

 手を引き寄せられて、ぎゅ、と抱き締められる。
 すると、床のクッションで寝ていた雪が目覚めたみたいで歩いてきて、オレと真也の間にするする、と入ってきた。

「雪……」
「仲間外れと思ったのかな」

 真也が言って、クスクス笑っている。オレは雪を抱き締めた。

「朝飯食べて少ししたら、デートしよ。誕生日プレゼント、見つけよ」
「……うん」

 誕生日プレゼントはもう貰いまくってると思うのだけど。
 ……真也とこうなれて、こんなに嬉しいこと、ないもん。でも。

「真也とデート、するの、嬉しい」

 言うと、真也は「これからオレと出かけるのは、全部デートだから」と言って、オレの頭を撫でた。

「朝パンでいい?」
「うん」
「すぐできるから、顔洗ったりしておいで」

 言いながら手早く服を脱いで着替え終えた真也は部屋を出て行った。
 
 ……死んじゃうかも。好きすぎて。

 …………はっ。オレ。昨日彼氏と別れたばかりだったっけ。
 もはや忘れていた。

 ……だってもともと、真也のことが好きだったから。
 真也とは親友だったから、それ以外の人ならもうなんでもいいやとか、顔で選んじゃってて。
 

 真也と出かけるのは、全部、これから「デート」だって。
 ……真也の好きな人がオレって。


 もう今、死んでもいいって思うほど嬉しい。
 あ、でも絶対死にたくない。真也と居られるなら、誰よりも長生きしてギネスにも挑戦してみたいな。


 ……何言ってるのか自分でも良く分からない。



「ゆーきーーーーー」

 むぎゅうう、と雪に抱き付いたら、とっても迷惑そうな顔をされたけど、そのあと、すり、と頬を寄せてくれた。


「ありがと、雪。もうオレ、嬉しくて死にそうなの」

 すりすりと、すり寄ると、また嫌そうな顔をされて、笑ってしまった。






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