239 / 328
世界救済委員会
第238話 ファイナルアンサー
しおりを挟む
「技術者としてのお前は評価してやるが、その技術は認められないな」
言ってしまった以上、いつ始まっても可笑しくない。
今の内に実験しておく。先程は催眠光線でも出ているのかと警戒したが、まさか感情が鏡で反射するとは思えない。俺は気を強く持って乃払膜の位置を鏡で確認した。
乃払膜は効果を高める為か、いつの間にかセウを自分の胸元に抱き寄せていた。セウも見ようによっては恋人に抱かれて至福に浸っているようだ、というか実際に真の愛とやらに包まれて至福なのだろう。
あの復讐の怒りに取り付かれていたセウがあんな穏やかな普通の少女のような顔をする。確かにこれは人類を救う一つ手なのかも知れない。
よし、俺は冷静だ。
乃払膜の姿を確認したが先程のような気分にはならない。これで俺は有力な武器を一つ手に入れた。
「所詮貴様も我が技術の素晴らしを理解は出来るが崇高さは理解できない凡俗か」
失望の響きが籠もった声が響いてくるが、そんなに俺に期待していたのか? 俺なら仲間に成ってお前に嬉々として協力すると見込まれていたようで俺には乃払膜が期待するような何かがあるようだ。
大局を見るなら少しの犠牲でその後大勢の人が救われることになる。少しの犠牲だって交通事故で死亡する人数に比べれば微々たるもの。
だが、小局がそれを許さない。
「俺の知らない世界でやってくれるなら構わないが、俺の縄張りではご遠慮願おうか」
此奴は根っからの技術者。例えここでセウを手に入れたことで求めるフィルターが出来たとしても、それで立ち止まりはしない。更なる上を目指し、レア素材の収集を始める。
そして惚れた贔屓目かも知れないが時雨は此奴が目を付けそうなレアな感情を持っている。ついでに言えばジャンヌもか。
契約による仮の恋人とはいえ俺は恋人、恋人が牛のように解体される可能性を見過ごすわけにはいかない。
最低でも俺の生活圏からは消えて貰う必要がある。
「我を恐れる心はあるようだな。
ならサンプルは天然が一番、大人しく帰るのなら見逃すぞ」
どうやらこの場は俺を逃がし。後日完璧なフィルターが出来たら改めて実験しに来るつもりのようだ。
それは何より許せないな。
この俺の我を他人が操ることなど、あってはならない。
そんな可能性があることすら許せない。
なら何処に隠れようとも探しだし如何なる手を使っても潰すしか無い。
この瞬間俺と乃払膜は両雄並び立たぬ関係が決定した。
「その少女を置いていくならいいぜ」
これで俺をセウに惚れているか正義に燃える警官とでも錯誤してくれるかな?
取り敢えず俺の真意が知られていいことなど無い。悪いがセウには此奴の目から俺の真意を逸らす隠れ蓑になって貰う。
代わりに出来うる限り公務員の義務レベルで助ける努力はするぜ。
「二人は諦められてもこの少女は無理だな」
まあそりゃそうだよな。元々此奴はセウが目当てでやって来たわけで天見や石皮音はついでの掘り出し物。技術者にとって脇にどんなに金目の宝石があろうとも技術開発に必要な石ころに執着する。
さて最終目的についての腹は決まっているが、手段は正直決めかねる。
連れ去れても直ぐには大丈夫とは分かった。だったらここは退いて後日万全の体勢で挑むのが最上策。時雨・ジャンヌ・キョウ・ユリ・獅子神・燦と金に糸目を付けない豪華フルメンバーで挑めばいい。
だが、踏み切れない。
金が無いこともあるが、どうにも上策過ぎて足下を掬われる予感がこびりつく。
理屈は無い。
俺が歩んできた人生で培った勘が囁く。
全くもって合理じゃ無いな。
合理なら一時撤退、勘ならこの場で勝負。
賭けるは己の命のファイナルアンサー。
・
・
・
「それじゃ始めようぜ」
全くもって合理じゃ無い。
言ってしまった以上、いつ始まっても可笑しくない。
今の内に実験しておく。先程は催眠光線でも出ているのかと警戒したが、まさか感情が鏡で反射するとは思えない。俺は気を強く持って乃払膜の位置を鏡で確認した。
乃払膜は効果を高める為か、いつの間にかセウを自分の胸元に抱き寄せていた。セウも見ようによっては恋人に抱かれて至福に浸っているようだ、というか実際に真の愛とやらに包まれて至福なのだろう。
あの復讐の怒りに取り付かれていたセウがあんな穏やかな普通の少女のような顔をする。確かにこれは人類を救う一つ手なのかも知れない。
よし、俺は冷静だ。
乃払膜の姿を確認したが先程のような気分にはならない。これで俺は有力な武器を一つ手に入れた。
「所詮貴様も我が技術の素晴らしを理解は出来るが崇高さは理解できない凡俗か」
失望の響きが籠もった声が響いてくるが、そんなに俺に期待していたのか? 俺なら仲間に成ってお前に嬉々として協力すると見込まれていたようで俺には乃払膜が期待するような何かがあるようだ。
大局を見るなら少しの犠牲でその後大勢の人が救われることになる。少しの犠牲だって交通事故で死亡する人数に比べれば微々たるもの。
だが、小局がそれを許さない。
「俺の知らない世界でやってくれるなら構わないが、俺の縄張りではご遠慮願おうか」
此奴は根っからの技術者。例えここでセウを手に入れたことで求めるフィルターが出来たとしても、それで立ち止まりはしない。更なる上を目指し、レア素材の収集を始める。
そして惚れた贔屓目かも知れないが時雨は此奴が目を付けそうなレアな感情を持っている。ついでに言えばジャンヌもか。
契約による仮の恋人とはいえ俺は恋人、恋人が牛のように解体される可能性を見過ごすわけにはいかない。
最低でも俺の生活圏からは消えて貰う必要がある。
「我を恐れる心はあるようだな。
ならサンプルは天然が一番、大人しく帰るのなら見逃すぞ」
どうやらこの場は俺を逃がし。後日完璧なフィルターが出来たら改めて実験しに来るつもりのようだ。
それは何より許せないな。
この俺の我を他人が操ることなど、あってはならない。
そんな可能性があることすら許せない。
なら何処に隠れようとも探しだし如何なる手を使っても潰すしか無い。
この瞬間俺と乃払膜は両雄並び立たぬ関係が決定した。
「その少女を置いていくならいいぜ」
これで俺をセウに惚れているか正義に燃える警官とでも錯誤してくれるかな?
取り敢えず俺の真意が知られていいことなど無い。悪いがセウには此奴の目から俺の真意を逸らす隠れ蓑になって貰う。
代わりに出来うる限り公務員の義務レベルで助ける努力はするぜ。
「二人は諦められてもこの少女は無理だな」
まあそりゃそうだよな。元々此奴はセウが目当てでやって来たわけで天見や石皮音はついでの掘り出し物。技術者にとって脇にどんなに金目の宝石があろうとも技術開発に必要な石ころに執着する。
さて最終目的についての腹は決まっているが、手段は正直決めかねる。
連れ去れても直ぐには大丈夫とは分かった。だったらここは退いて後日万全の体勢で挑むのが最上策。時雨・ジャンヌ・キョウ・ユリ・獅子神・燦と金に糸目を付けない豪華フルメンバーで挑めばいい。
だが、踏み切れない。
金が無いこともあるが、どうにも上策過ぎて足下を掬われる予感がこびりつく。
理屈は無い。
俺が歩んできた人生で培った勘が囁く。
全くもって合理じゃ無いな。
合理なら一時撤退、勘ならこの場で勝負。
賭けるは己の命のファイナルアンサー。
・
・
・
「それじゃ始めようぜ」
全くもって合理じゃ無い。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
GATEKEEPERS 四神奇譚
碧
ホラー
時に牙を向く天災の存在でもあり、時には生物を助け生かし守る恵みの天候のような、そんな理を超えたモノが世界の中に、直ぐ触れられる程近くに確かに存在している。もしも、天候に意志があるとしたら、天災も恵みも意思の元に与えられるのだとしたら、この世界はどうなるのだろう。ある限られた人にはそれは運命として与えられ、時に残酷なまでに冷淡な仕打ちであり時に恩恵となり語り継がれる事となる。
ゲートキーパーって知ってる?
少女が問いかける言葉に耳を傾けると、その先には非日常への扉が音もなく口を開けて待っている。
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
都市街下奇譚
碧
ホラー
とある都市。
人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。
多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか?
多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。
忌憚は忌み嫌い避けて通る事。
奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。
そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
感染
宇宙人
ホラー
福岡県北九州市の観光スポットである皿倉山に航空機が墜落した事件から全てが始まった。
生者を狙い動き回る死者、隔離され狭まった脱出ルート、絡みあう人間関係
そして、事件の裏にある悲しき真実とは……
ゾンビものです。
かなざくらの古屋敷
中岡いち
ホラー
『 99.9%幽霊なんか信じていない。だからこそ見える真実がある。 』
幼い頃から霊感体質だった萌江は、その力に人生を翻弄されて生きてきた。その結果として辿り着いた考えは、同じ霊感体質でパートナーの咲恵を驚かせる。
総てを心霊現象で片付けるのを嫌う萌江は、山の中の古い家に一人で暮らしながら、咲恵と共に裏の仕事として「心霊相談」を解決していく。
やがて心霊現象や呪いと思われていた現象の裏に潜む歴史の流れが、萌江の持つ水晶〝火の玉〟に導かれるように二人の過去に絡みつき、真実を紐解いていく。それは二人にしか出来ない解決の仕方だった。
しかしその歴史に触れることが正しい事なのか間違っている事なのかも分からないまま、しだいに二人も苦しんでいく。
やがて辿り着くのは、萌江の血筋に関係する歴史だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる