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男三人ぶらり飲み
第百十一話 運の流れについての考察 その1
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酒と女の微香漂い喧噪と嬌声が渦巻く夜の繁華街、俺が先頭を歩きその横には人目を引く美女、後ろには卯場以下5名ほどがぞろぞろと付いてくる。実情は兎も角俺を一目見た一般市民はさっと視線を逸らし蜘蛛の子を散らすように逃げていく。おかげで混み合っているはずの繁華街を風を切って歩けている。
これを気持ちいいと感じるようになったら俺も終わりだな。
「あそこでいいか」
何となくいたたまれなくなり俺は目に入った雑居ビルの二階にある雀荘の看板に向かって行く。階段を上がり雀荘のドアを開ければヤニと酒と金が滾る欲望の匂いが溢れて出てくる。胸焼けがしそうな匂いに回れ右して帰りたいのを我慢して雀荘内に雪崩れ込んでいけば、中にいた人達が一斉に何事かと俺の方に視線を突き刺してくるが気にしたら負けだ。
俺はさっと見渡す。
入った右手は受付カウンター、カウンターと壁に挟まれた通路を抜ければ、なかなか広い店内に客はぼちぼち。満席で無くて良かった。もしこれで満席ですごすご帰ったら少々カッコが付かなくなるところだった。若手大物幹部はこうでなくては、何をするにもスマートに事が進んでいく。こんなことでメッキが剥がれてしまっては、後々のハッタリが効きにくくなる。
「うっ卯場! なっ何しに来た」
一人蝶ネクタイのユニフォームを着てどじょう髭が似合う店長らしき男が血相を変えて此方に向かってくる。
何か卯場と因縁があるのか?
「麻雀をしに来た」
卯場の前に立ち店長を遮る。流石にこれ以上の想定外の揉め事はご免だ俺が話をする。
「なっなんだと」
「騒がせたことは申し訳ない。だが純粋に俺達は勝負の場を求めて来ただけだ。極力迷惑は掛けないようにしよう」
俺は静かにゆっくりと語りかけていくと、店長の興奮は多少収まっていく。
「おっお前は誰だ? 卯場の部下か?」
「どちらかというと敵かな」
「ほっ本当なのか」
「本当さ。俺は卯場と勝負しに来た。
あそこの空いている一角がいいな。卓を三つ借りよう」
部屋の角に置かれた三卓を押さえておけば隔離された感じで他の客にあまり迷惑はかからないだろう。まあ、掛かるだろうけど。
まあ努力はしたし、丁度全自動卓で都合も良い。
「一卓五時間一万円だぞ」
「OK」
俺は手に持っていた札束を入れた紙袋から3万円を抜き出し入口に設置してあるカウンターに置く。少々顔が引きつっている受付のお姉さんの上の張り紙には、卓の使用料の他食事や飲み物の値段とかも記載されている。
「おいっその金は」
卯場が咎めてくる。組長の割にはケツの穴が小さい。
「この金は今は俺のものというわけでも無い、言うならば賭けに参加する三人のもの。ならここからゲーム代を出すのはスジが通っているだろ」
「うっ」
「そうね。異論は無いわよ」
「それと店長」
「なっなんだ」
「それでだ。メンバーが足りないんだ。一人入ってくれる人を探しているんだが」
「メンバー?」
「俺と卯場、それと此方の美女だ」
俺が弓流に手で示して紹介すると、弓流は優雅な動作だがどこか艶やかに頭を下げていくと、店長の視線に双丘の谷がちらりと映り込む。たったこれだけで店長の骨は一瞬抜け興奮は収まってしまう。
「そのメンバーにか?」
「ああ」
「条件は? あまりに高レートだと参加出来ないぞ」
「基本的に三人で勝負したいんだ。だから何も賭けなくていいが、それだとつまらないだろうしあまりだらけた麻雀を打って欲しくも無い。だから、バイト代として2万、もしトップを取ったら10万でどうだ?」
「おい、その金も・・・」
「勝負をするための必要経費だろ」
「いいだろう。私が参加する。っというか私以外そのメンバーの中に入りたいと思う人はいないでしょう」
俺が卯場をやり込めるやり取りを見てニヤッと笑った店長が参加を決めてくれた。何をしたか知らないが嫌われているな~卯場。
「そうか申し訳ないです」
「あんた意外と礼儀正しいな。本当に卯場の仲間じゃ無いんだな」
「一緒にされても困る。
それじゃあ始めようぜ」
勝負の場も決まりみんな卓に向かった歩き出す。
「おっおいお前麻雀大丈夫なのか?」
歩き出そうとした俺に西村が心配そうに話し掛けてくる。
「ルールくらいは知ってるさ」
友達のいない俺が麻雀を嗜んでいるわけも無く、実際問題友達と時々遊んでいるらしい西村の方が俺より上手いとすら思う。
「おい、さっさと席を決めて始めようや」
さっさと卓に付いた卯場が焦れたように言う。
「ああ」
卓に置かれた四つの牌。
まずは初めの運試しだな。
そして席順が決まった。
俺の右手に弓流、左手に卯場、対面に店長こと三田。
「後付けあり。後はなしなし。箱割れ無し。五荘勝負でいいか?」
「今時半荘じゃないのか」
「その代わり、一荘ごとに15分休憩でどうだ?」
「もうなんでもいいぜ」
「じゃあ、最後に賭品の確認をしようか」
「私は私を賭けるわ」
自分を指しつつ宣言して弓流は席に座る。店長が生唾を飲む音が聞こえた。
「俺はこの人形だ」
卯場は自分の横にセットした台の上に人形を座らせて宣言する。店長がちょっとえっとした顔をしたのが見えた。
「俺はこの金だ」
俺は紙袋を同じく台の上に乗せ座る。店長の目が札束の山に釘付けになる。
「賭け品の確認は終わりだ。じゃあ、始めよう」
席に座って思う、そもそも運の流れとは何なのだろう。
川の流れは水分子がある一定量以上集まり流体となって同じ方向に向かって運動をすること。
風の流れなら窒素酸素水などが一定量以上集まり混合気体空気となり同じ方向に向かって運動をすること。
そう考えると運の流れとは、運を構成するものが一定量以上集まり同じ方向に向かって動いていくこと。その動いていく先を自分に向けることこそ、流れを掴むなのか。
なら運とは何か?
自分の力では絶対に及ばない事象と定義すれば良いのだろうか?
知恵を絞り技をつくし、それで己の力では及ばない事象、まさに天の采配に任せるしかない事象、それが自分にとって良いことなら幸運、悪いことなら不運。
卯場にとって有利なフィールドを避け、事前に結託されることを防ぐためにランダムに選んだ雀荘、そしてプロなら普通に行う積み込みをさせない為全自動雀卓を選ぶ。
考えられうる手を尽くして人為的介入を防ぎ目の前に積まれた牌の山は、運を天に任せた配列になったはず。
これでこの山から配られる牌の配列は弓流や卯場にとって都合の良い並びになっているというなら、弓流が卯場が運という流れを操ると認めてやろうじゃないか。
さあ、運という現象見極めてやるぜ。
これを気持ちいいと感じるようになったら俺も終わりだな。
「あそこでいいか」
何となくいたたまれなくなり俺は目に入った雑居ビルの二階にある雀荘の看板に向かって行く。階段を上がり雀荘のドアを開ければヤニと酒と金が滾る欲望の匂いが溢れて出てくる。胸焼けがしそうな匂いに回れ右して帰りたいのを我慢して雀荘内に雪崩れ込んでいけば、中にいた人達が一斉に何事かと俺の方に視線を突き刺してくるが気にしたら負けだ。
俺はさっと見渡す。
入った右手は受付カウンター、カウンターと壁に挟まれた通路を抜ければ、なかなか広い店内に客はぼちぼち。満席で無くて良かった。もしこれで満席ですごすご帰ったら少々カッコが付かなくなるところだった。若手大物幹部はこうでなくては、何をするにもスマートに事が進んでいく。こんなことでメッキが剥がれてしまっては、後々のハッタリが効きにくくなる。
「うっ卯場! なっ何しに来た」
一人蝶ネクタイのユニフォームを着てどじょう髭が似合う店長らしき男が血相を変えて此方に向かってくる。
何か卯場と因縁があるのか?
「麻雀をしに来た」
卯場の前に立ち店長を遮る。流石にこれ以上の想定外の揉め事はご免だ俺が話をする。
「なっなんだと」
「騒がせたことは申し訳ない。だが純粋に俺達は勝負の場を求めて来ただけだ。極力迷惑は掛けないようにしよう」
俺は静かにゆっくりと語りかけていくと、店長の興奮は多少収まっていく。
「おっお前は誰だ? 卯場の部下か?」
「どちらかというと敵かな」
「ほっ本当なのか」
「本当さ。俺は卯場と勝負しに来た。
あそこの空いている一角がいいな。卓を三つ借りよう」
部屋の角に置かれた三卓を押さえておけば隔離された感じで他の客にあまり迷惑はかからないだろう。まあ、掛かるだろうけど。
まあ努力はしたし、丁度全自動卓で都合も良い。
「一卓五時間一万円だぞ」
「OK」
俺は手に持っていた札束を入れた紙袋から3万円を抜き出し入口に設置してあるカウンターに置く。少々顔が引きつっている受付のお姉さんの上の張り紙には、卓の使用料の他食事や飲み物の値段とかも記載されている。
「おいっその金は」
卯場が咎めてくる。組長の割にはケツの穴が小さい。
「この金は今は俺のものというわけでも無い、言うならば賭けに参加する三人のもの。ならここからゲーム代を出すのはスジが通っているだろ」
「うっ」
「そうね。異論は無いわよ」
「それと店長」
「なっなんだ」
「それでだ。メンバーが足りないんだ。一人入ってくれる人を探しているんだが」
「メンバー?」
「俺と卯場、それと此方の美女だ」
俺が弓流に手で示して紹介すると、弓流は優雅な動作だがどこか艶やかに頭を下げていくと、店長の視線に双丘の谷がちらりと映り込む。たったこれだけで店長の骨は一瞬抜け興奮は収まってしまう。
「そのメンバーにか?」
「ああ」
「条件は? あまりに高レートだと参加出来ないぞ」
「基本的に三人で勝負したいんだ。だから何も賭けなくていいが、それだとつまらないだろうしあまりだらけた麻雀を打って欲しくも無い。だから、バイト代として2万、もしトップを取ったら10万でどうだ?」
「おい、その金も・・・」
「勝負をするための必要経費だろ」
「いいだろう。私が参加する。っというか私以外そのメンバーの中に入りたいと思う人はいないでしょう」
俺が卯場をやり込めるやり取りを見てニヤッと笑った店長が参加を決めてくれた。何をしたか知らないが嫌われているな~卯場。
「そうか申し訳ないです」
「あんた意外と礼儀正しいな。本当に卯場の仲間じゃ無いんだな」
「一緒にされても困る。
それじゃあ始めようぜ」
勝負の場も決まりみんな卓に向かった歩き出す。
「おっおいお前麻雀大丈夫なのか?」
歩き出そうとした俺に西村が心配そうに話し掛けてくる。
「ルールくらいは知ってるさ」
友達のいない俺が麻雀を嗜んでいるわけも無く、実際問題友達と時々遊んでいるらしい西村の方が俺より上手いとすら思う。
「おい、さっさと席を決めて始めようや」
さっさと卓に付いた卯場が焦れたように言う。
「ああ」
卓に置かれた四つの牌。
まずは初めの運試しだな。
そして席順が決まった。
俺の右手に弓流、左手に卯場、対面に店長こと三田。
「後付けあり。後はなしなし。箱割れ無し。五荘勝負でいいか?」
「今時半荘じゃないのか」
「その代わり、一荘ごとに15分休憩でどうだ?」
「もうなんでもいいぜ」
「じゃあ、最後に賭品の確認をしようか」
「私は私を賭けるわ」
自分を指しつつ宣言して弓流は席に座る。店長が生唾を飲む音が聞こえた。
「俺はこの人形だ」
卯場は自分の横にセットした台の上に人形を座らせて宣言する。店長がちょっとえっとした顔をしたのが見えた。
「俺はこの金だ」
俺は紙袋を同じく台の上に乗せ座る。店長の目が札束の山に釘付けになる。
「賭け品の確認は終わりだ。じゃあ、始めよう」
席に座って思う、そもそも運の流れとは何なのだろう。
川の流れは水分子がある一定量以上集まり流体となって同じ方向に向かって運動をすること。
風の流れなら窒素酸素水などが一定量以上集まり混合気体空気となり同じ方向に向かって運動をすること。
そう考えると運の流れとは、運を構成するものが一定量以上集まり同じ方向に向かって動いていくこと。その動いていく先を自分に向けることこそ、流れを掴むなのか。
なら運とは何か?
自分の力では絶対に及ばない事象と定義すれば良いのだろうか?
知恵を絞り技をつくし、それで己の力では及ばない事象、まさに天の采配に任せるしかない事象、それが自分にとって良いことなら幸運、悪いことなら不運。
卯場にとって有利なフィールドを避け、事前に結託されることを防ぐためにランダムに選んだ雀荘、そしてプロなら普通に行う積み込みをさせない為全自動雀卓を選ぶ。
考えられうる手を尽くして人為的介入を防ぎ目の前に積まれた牌の山は、運を天に任せた配列になったはず。
これでこの山から配られる牌の配列は弓流や卯場にとって都合の良い並びになっているというなら、弓流が卯場が運という流れを操ると認めてやろうじゃないか。
さあ、運という現象見極めてやるぜ。
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