218 / 3,140
DIY、山に登る
闘仙 その08
しおりを挟む「一言で言えば、後続思いの老人だ。自らを人柱としてあの場所を造り、次代の【仙王】たちが迷わぬよう見守っている」
「アタシのあの生活にケチを付けてなかったけど、それなら問題なかったんでしょ? なら早くアタシを家に――」
「時として、【仙王】の選別を間違える。今までの【仙王】すべてが善良であったわけではない。そうした悪意を持った【仙王】を初代である【仙王】が捌いてきた」
「あ、あれ? 無視するの?」
『仙郷』の長い歴史の中でも、そうした者は何度か現れ──歴史の表舞台に現れる前に、ほとんどの者が処理されていった。
逃れられたものは、【仙王】の力を捨ててでも逃げ延びようとした者のみ。
力に固執した者は──誰一人として、生き残ることはなかった。
「というか、【仙王】って単語ばっかり。それじゃあ、それ以外の人には優しいの?」
「…………そう、だな。基本、初代【仙王】は善良であった。だが、それと同じくらいこの『闘仙』の名が似合っていた」
かつて見た【仙王】の姿を思い返し、そう思う『闘仙』。
ツクルに進めた修行場とは、初代【仙王】が今も残るダンジョンの奥深く。
そして今、きっと二人は相見えているだろう……直感で気づいていた。
「早く戻っていこい、『生者』。そして、地下で鍛えたその実力を魅せてみろ」
「…………ローさん。たぶん、ローさんの望む展開にはならないと思う」
なんとなくなのだが、【仙王】は『闘仙』の願いが叶わないことを察する。
それが【仙王】が故の予告なのか、それともまた別の理由なのか。
どちらにせよ、どちらの意見も正しかったといえよう。
たしかに二人は相見え、戦い力を鍛えることとなった。
たしかに闘いはしなかった、それでも力をぶつけ合うことはあったのだ。
──真実を知らぬ二人は、話をもう少し膨らませようとしていた。
だが、それは一人の衛兵の報告によって中断される。
「【仙王】様!」
「……ん? なーに、リー」
「帝国です! 帝国が精鋭を連れて攻めてきた模様です!」
「なんだとっ!?」
◆ □ ◆ □ ◆
『…………』
「あ、もう満タンだ」
仙丹を封じるエネルギーパックが、気づけば限界量まで溜まっていた。
まだ【仙王】や『闘仙』さんほどの仙丹を溜められないんだよな。
今回の実験の副次結果として、大量の仙丹が手に入ったからそっちも実験だ。
仙丹を吸われ続け、力尽きたように倒れ伏した初代【仙王】に話しかける。
「それじゃあ、もう終わりで良いですか?」
『……構わん。儂はしばらくここで休む。宝物庫はそっちにある』
「あっ、すいません。助かりました」
『ただし、コアに触れるでないぞ。あれは、人が触れて良い物ではない』
「分かりました、触りません」
そう、俺は触らないことを誓おう。
並べられた宝の山を見てそう思った。
11
あなたにおすすめの小説
神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜
神
ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。
23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。
石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。
フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。
主人公・神谷錬(かみやれん)。
東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。
幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。
空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。
レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。
しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。
彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。
辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。
しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。
世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か?
異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる