217 / 3,179
DIY、山に登る
闘仙 その07
しおりを挟むそれから実験を繰り返すが……戦闘に使えるほど、優れた装置は一つも無かった。
火を熾す──華炎。
水を生む──泡水。
風を流す──掃風。
土を操る──拈土。
他にも雷を起こすものや空間を操るものがあるが、すべて初代【仙王】に通用しなかったので説明は省こう。
あっ、名前は全部仙人たちに確認してから付けたのであってオリジナルじゃないぞ。
「──やっぱり、まだまだ改良の余地がありそうですね。ご協力、感謝いたします」
『そう思うのならば何より。では、そろそろ自身の力で闘ってもらおうか』
「……まあ、いいですけど」
使うのは片手サイズの掃除機。
コードレスな上に軽いという主婦の味方になれるような設計にしてある。
訝し気な目を向ける【仙王】だが──次の瞬間、驚嘆の顔を浮かべることになる。
「ポチっとな」
ボタンを押した途端、ウィーンと鳴り響くモーターの駆動音。
動きだしたその機械は、やがて空気と共にある物を吸い始める。
『! お主、まさか……』
「はい、吸ってますよ──仙丹を」
『なんだとぉおおおゴガガガガァアアァ!』
途中から声がおかしくなっているが、それも仕方ないだろう。
今の状況を例えるなら、魔封波をくらった敵キャラみたいに【仙王】はなっている。
あれって、使用者に一定以上の体力がないと死ぬんだぜ。
別に魔封波をやっいてるわけじゃないから関係ないが、せっかくなので説明した。
「ギブアップしますかー?」
『うぐっ……まだだ、まだ諦めんぞぉお!』
ここで仙人なら魔封波返しでも習得しそうだが、何度も言うが魔封波を使っているわけじゃないから俺がやられることはない。
だいたい、俺じゃなくて吸引力の変わらないただ一つの掃除機が吸っているんだしな。
さぁ、根競べといこうか。
◆ □ ◆ □ ◆
「ねぇ、ローさん」
「どうした、【仙王】よ」
「……今は普通に呼んでもいいんだよ」
「そうはいかん。今のお前は玉座に坐した、正式な【仙王】なのだから」
仙人の住む街『仙郷』、その中央部にある宮殿。
そこでは、二人の男女が会話を行い時間を潰していた。
少女はその身に合わない玉座の上で、足をぶらぶらと揺らして不服を唱える。
その隣で直立した男は、それを一蹴してただ前を向く。
「ツクルは下に行ったんだよね?」
「そうだ。この街の初代【仙王】、あの方が待ち受ける場所にな」
「……アタシは会ったことないんだけど、その人ってどんな人なの?」
【仙王】の就任に特別な儀式は無い。
ある瞬間に最も才を持つ者が就く。
そのため、現【仙王】が初代【仙王】と対面したことはなかった。
だが、『闘仙』は一度ダンジョンに向かうことでその顔を拝んだことがある。
それを覚えていた【仙王】は、『闘仙』に問うた。
そして、『闘仙』は語る──。
11
あなたにおすすめの小説
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる