催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武

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大きな戦いに挑もう

支配下に収めよう

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  □   ◆   □   ◆   □

【爆脚勇者】を支配下に収めました

       支配しますか?

     〔YES〕/〔NO〕

  □   ◆   □   ◆   □


 なんだか知らないが、隷属させることが支配とやらの条件だったらしい。
 けど、男を自分の支配下に収めてもな……まあ、コキ使うのならそっちの方がいいが。

「コイツ、【爆脚勇者】って言うみたいなんだが……支配できたみたいだ」

「さ、さっき言っていたじゃないですか! け、けど支配って……」

「そういうことができるって話、聞いたことはないか?」

「それは……ありますけど」

 曰く、支配とはこの詩戦システムにおける特殊勝利条件の一つなんだとか。

 普通に殺した場合、殺した相手に加護を与えていた神の力を奪ってアイテムを作る。
 だが隷属させたりして支配すれば、その特典に加えてアイテムもゲット可能らしい。

「ただ、この方が負けた場合、イムさんがその責任を負って神の力を奪われなければならないんです」

「そう考えると、殺しておくのが一番手っ取り早い気がするんだが……」

「だ、ダメですよ! そ、それに、そうならない方法もありますから!」

 俺の方で【爆脚勇者】の加護の力を供給するせいで、負けた際はその経路的なモノを通じて責任を負わなければならないんだとか。

 なので予め加護の力を剥奪し、ただの人族と同じ状態にしておけばいいらしい。
 それでもスキルはそのままのスペック、人並み以上ではあるんだけどな。

「……で、俺がこれを支配するメリットっていったい何なんだ?」

「えっ? だ、だからその、イムさんを守ってくれますよ?」

「自分に負けた奴が必要だと思うか?」

「…………あっ、あはははは」

 どうやら思いつかなかったらしい。
 この男が善行を行うような奴だったなら、きっと何か提案できたのかもな。

「うーん……まあ、別にいいか。ただ、殺さないことしか確証できないからな」

「ひ、ひどいことはダメですよ」

「分かってる分かってる。俺もサリスの性格がなんとなく分かってきたよ……可能限り前向きに努力することを善処するって」

「そ、それならいい……のかな?」

 政治に携わっていたなかったのだろう。
 この言葉が意味するものを、彼女はまだ理解できなかったようだな。

「とりあえず仕舞っておくか……『格納』」

「えっ、消えちゃいましたよ!」

「生き物も仕舞える特殊な魔法ってことで」

「えっ、えー……」

 原理的には空間魔法ではなく、吸血鬼が干渉できる影の中に仕舞うというやり方だ。
 発動中、ずっと魔力を消費しないといけないが……特に気にならないからな。

 どうせ別れたら、すぐに解放してお土産にするわけだし。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 改めて、辺りに誰がいないのかを探ってから一安心する。
 しばらくは誰も近づけないだろう、というぐらいには気配を感じられない。

「さて、とりあえず移動を再開するか……いつまでやり過ごせばいいんだっけ?」

「三日間です。けど、イムさんはこれからどうするんですか?」

「俺は時間を潰すだけだが……サリスは何かしたいのか?」

「え、えっと……その、強くなりたいです」

 強くなりたい、と言われても……具体的に何をすればいいんだか。

「先ほども何もできませんでしたし、もっと何かできるようになりたいのです……」

「何かできればいいのか……とりあえず、強くなれればどんな方法でもいいんだな?」

「はっ、はい。どうか、よろしくお願いできないでしょうか?」

「…………まあ、暇潰しにはちょうどいいかもしれんな」

 というわけで、サリスの願いに応える。
 俺としても【英雄】の提案は受け入れておきたい……【導士】の干渉が、どういった変化を及ぼすのかが気になるところだし。

「となると、どういう強さがいいかってのが問題だな。【英雄】に関する質問と同じく、強さに関する理想を訊いておきたい」

「……ええっと、真っ正面から堂々と戦いわけではなく、貫く意思がほしいです。どんな方法でも、負けないように……」

「ふーん、それはそれで面白そうだな。たしか、道具に関する適性があったんだっけ? なら、それを生かせる方法がいいのか」

「は、はい! そっちの方が助かるような気がします」

 さっきの【爆脚勇者】のように、前に何かしらの熟語が付くのが進化なのだろう。
 同じように、【英雄】も熟語が付いて進化するに違いない。

 そこにはソイツに合った熟語が付く……サリスの場合は、道具関連のナニカが。
 というか、そうじゃないなら充分に振るえないだろうな。

「俺もあんまり道具に特化した戦い方はしていないんだが、それでも教えられることが少しだけあるぞ」

「ぜ、ぜひ教えてください!」

「そうだなぁ……」

 というわけで、サリスには俺が知りうる限りの情報を伝えておく。
 それが役に立つかどうか、本当に使えるかどうかは彼女自身に任せればいい。

「──とまあ、こんな感じだが? 参考ぐらいにはなったか?」

「た、たしかにそれならば……や、やってみようと思います!」

「はいはい、頑張って頑張って……俺の方で必要なモノをすぐに準備するから、今のうちにそっちも用意してくれ」

「わ、分かりました」

 この世界なら、魔法もスキルもあるからサクッと準備できる。
 ──道具か……やっぱりアレだよな。

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