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大きな戦いに挑もう
命名しよう
しおりを挟む「なあ、いっそのこと擬人化して俺のために何でもしてくれる便利なヤツになれよ」
《だ、誰がそんなこと! ふんっ、どうせ何でもって言って、あんなことやそんなことまでさせる気なんでしょう!》
「……さすがに俺、無機物に欲情するような性癖は持ってないんだよな」
《ぬわぁんですってーーーーッ!!》
やかましいので、いつも通りスキルを停止させて魔力徴収を止めさせる。
だいぶ使えるようになってきた……スキルがであり、コイツに関してはさっぱりだが。
「というかだな、俺がそういう欲が薄いのは知っているだろう? こっそり氷を張って、この屋敷を知覚しているんだから」
《うぐっ、どうして分かったの?》
「俺がじゃなくて、奴隷たちがな。魔力とかの反応が無い分、逆に分かりやすいとかなんとか……俺はさっぱりだけど」
《そ、そうよね? それが普通よね! ここの人って、なんだかアタシでも知っているぐらい有名な種族ばっかりだし……ねぇ、どうしてそんなにいるの?》
奴隷を買って、育てているだけだ。
自分でやらずとも、初期投資をした奴隷たちにやらせるだけでいいというお手軽さ。
解放している奴隷もいて、恩を売ることで後の協力者として使うことも考えている。
ある種の情報ネットワークを構築し、目指せ夢のグータライフ!
「まあ、別に止めろとは言わないぞ。むしろやれ、互いに向上心を失うな……と言うだけ言っているし」
《自分はやらないのね》
「それなら停まった【導士】になんか選ばれないだろうよ。俺はあくまで、頑張った結果だけを貰っておけばいい。ここに居るヤツらは、それを理解したうえで安寧を得るために従属されているわけだ」
支配下というのは、決して不幸というわけではない。
そうならば、日本という国に従っている国民全員が不幸ということになるわけだし。
ずっと前に語った気もするが、厚生福利に関しては心がけているつもりだ。
不満も特に沸いてこないし、しばらくは何も起きないだろう。
「なあ、小太──」
《誰が小太刀よ! 今まで他に気にすることが多かったから気づかなかったけど、そんな他の刀と同じような名前はごめんよ!》
「……本当、お前は面倒臭いな。じゃあ、どう呼べばいいんだよ? 神様の名前か? 知らないからそれは無しな、小太刀」
《勝手に完結するんじゃない! と、特別にアンタに、栄誉あるアタシの名前を考える権利をあげるわ。アタシが満足するよ──》
面倒になったので、耳を塞いで……も意味ないことを思いだし、この場から離れる。
頭に直接語りかけてくる呪いのような装備だが、距離を取ればとりあえず回避可能だ。
だが、名前を考えるというのはいい考えだろう……小太刀って三文字だし、変える必要があるかといえば微妙だけど。
「じゃあ……俺の世界の言葉で、氷って意味の言葉の──」
《…………》
「『ギアッチョ』で」
《却下よ、却下! どうしてそれで、アタシが納得すると思ったのよ!》
おや、お気に召さなかったようだ。
イタリア人に失礼な小太刀なようで……仕方がない、別のモノにしよう。
「なら、『クリュスタッロス』」
《嫌》
「それなら、『ブズ』」
《真面目にやってる!?》
やっていないからこれなのに、やれやれ俺のことを理解していない小太刀である。
だが、このやり取りにも飽きてきたし……少しばかり真面目なものを考えた。
「──『グレイシア』」
《っ……!》
「それならどうだ? 氷河って意味の言葉だが、いちおうは綺麗な響きだろう?」
《ふ、ふんっ! まあまあね……け、けど、人の言語能力じゃあそれが限界よね。仕方がないわね、それで許してあげるわ!》
まあ、それから何度も何度も自分の名前を反芻して呟く辺り、文句はないようなのでこれ以上考えなくとも良さそうだ。
「はいはい、よかったな小太刀」
《グレイシアと呼びなさい!》
「あーはいはい、グレイ」
《違う、グレイシアよ!》
アンパンのヒーローが出てくるアニメに登場する、クリームのパンみたいなことを言いだす小太刀……面倒臭いなぁ、もう。
愛称とかそういうことを適当に言うと、それもすぐに沈静化した。
意味が『灰色』になっている気もするが、そういうところを気にしてはいけない。
◆ □ ◆ □ ◆
「これが、改良版の『すまほ』です」
「……相変わらず、スマホっぽくないスマホだな。いやまあ、便利だからいいけど」
詩戦システムを経て、便利なスキルを得た影響で改良も進んだようだ。
目の前に置かれた腕輪からは、ただの魔道具とは思えない存在感がある。
「しかし、聖具と魔具を生みだせる。しかも聖魔具として両立させるスキルがあるなんて驚きでした。相反するエネルギーを確立させるための仕組みは、とても参考になります」
「……えっ、ブラックホールでも組み込んでいるのか?」
「なんのことだか分かりませんが、たしかにこれまでの魔道具技術をはるかに超えた代物だと自負できますよ」
詩戦システムのお土産(聖魔創具)で創ったアイテムを、適当に渡したのだが……まさかそんなことになるとは。
だがそれで、いったいどんなアプリが完成したというのか。
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