128 / 135
大きな戦いに挑もう
撮ってもらおう
しおりを挟む「ずばり、『ステータスチェック』機能を登載することに成功しました!」
「……そんな機能、少なくとも俺の世界のスマホには無かったからな」
「ああ、イム様がお話になられていたものはもうほとんど搭載できていますよ。今は、できるだけスキルが無いものにもその恩恵が与えられるかという、実験に入っていまして」
「……まあ、便利だからいっか」
勝手にやっているようだが、もともと人のために研究をしていたのが……えっと、名札が逆を向いているから分からないな。
「──あっ、ファーレか」
「……ちなみに、イム様のために顔と名前が分かるようなアプリも用意できますけど」
「助かるには助かるんだが。いちいち確認する手間って面倒臭くないか?」
「では、ぜひ覚えてもらいたいです」
ひどく残念な者を見るような目を向けてこられても、特に思うところは無い。
ただ、時間が経つと奴隷っぽさを忘れるのがこの屋敷の奴隷の特徴だな。
──そう、仕向けているわけだし。
「ああっと、ステータスをチェックできるって言ってたっけ? 具体的に……は、説明しなくて良いから、簡潔に頼む」
「……まだ完璧ではありませんが、アプリを起動して『かめら』で撮った相手の魔力波からだいたいの情報を解析します。相手が隠蔽系のスキルを所持していた場合、その技量が『%』で表示されます」
「スキルの熟練度まで分かるのか……あと、少し長かったな」
「これでも百分の一ほどに省略しましたよ」
そんなに長くは聞いていられなかったな。
ただ、腕輪のどこにレンズがあるんだよ、みたいな質問がなかなかしづらい。
「気になっているようでしたら、ぜひとも試してみませんか?」
「別に……俺って──ずっとレベル1だし」
こういうことは詩戦システムの最中に明かされるんだっけ? 普通は。
けどまあ、仕方がない……そうする必要がこれっぽっちもなかったわけだし。
俺が強くなるより、従魔が強くなった方が世のため人のため……俺のため。
というわけで、一度レベルをリセットして強くてニューゲームを始めていた。
能力値とかはリセットされるが、雑魚キャラは格上との戦闘でボーナスだと[ログ]を視て知っていたからな。
どうせ俺の能力値は【停導士】の補正値が大半なので、種族・職業レベルに関してはこれっぽっちも必要としていなかったわけだ。
それに、【勇者】からコピーした二つの成長スキルもあったので……あとでレベルを上げたくなったとき、同じような問題に悩まなくて済むことになる。
「そうでしたか。では、私のことを写してみるのはいかがでしょう?」
「……なんか、一度やったら他の連中にも頼まれそうだし。ファ…………ああ、ファーレが係として、俺も含めやってくれ」
「……。まあ、イム様ですし……分かりました、ではそのように」
そんなこんなで、レンズっぽいナニカを向けられてステータスを計測される。
なお、昔の地球みたいに魂を抜き取られる的な迷信は無いようだ。
召喚された連中がカメラを持ち込み、さんざん使っていたようなので。
そのため認識の齟齬なども無く、あっさりとステータスの確認に移る。
「イム様が【導士】であることは存じていますが、本当に凄いのですね。戦わずして、ここまで強くなるなど」
「俺を体現した職業だしな。一度導けば、あとで向上心を見せても問題ないらしいし。お前みたいなヤツがいても、ただ便利だって屋敷に囲っておける」
「……それは褒め言葉にはなりませんよ」
「面倒だからな。百の言葉で取り繕うぐらいなら、一の行動で示された方がいい……なんて言葉をどこかで聞いた気がする」
うん、まさに俺好みの言葉だ。
要するに、喋らなくてもいいから済ませたら自由にしていいよ、ということなんだし。
「ファーレ、要するに俺の役にも立ってくれるならここでは何をしてもいいわけだ。さすがに殺人は後味が悪いから、俺の奴隷以外で済ませてもらいたいけど」
「……例の『お土産』って、そういうことでしたか?」
「足りなくなったら、俺が直接相手をするわけだけど。いちおう、まだ誰かを殺したいって衝動に駆られているヤツはいないぞ。ただもしそうなったら、下に居るヤツが犠牲になるんだろうなって話なだけ」
血袋とか魔力供給源とか、そういう役割であればすでにやってもらっているけど。
レアな種族が多い分、その性質をどうにかするまでの時間が必要なわけ。
「同じ希少種同士で頑張ってみれば、何か自分たちで解決法を見出してくれると思ったわけだが……実際、どうなっているんだ?」
「吸血鬼の吸血衝動に関しては、すでに解決しています。ただ、相応の魔力が必要になるため、仕事を終えた者から徴収しています」
「献血ならぬ献魔ってことか。払って済むならそれにこしたことはないだろう」
大半の種族は生活自体に支障が出ないデメリットなので、問題解決も簡単だ。
従魔は契約した時点で、必要エネルギーはすべて俺の魔力で賄われている。
つまり俺から勝手に貰っているので、デメリットが働くことは決してない。
「……って、だいぶ話が逸れたな。どこから話をしたいか?」
「いえ、もう結構です。今は……その、イム様の持っていられる御刀の方に興味が」
《当然よ。この高貴なるアタシに古山人が興味を持たないなんてありえないわね! さあイム、この娘に自慢してやりなさい!》
「……ほらっ、面倒だし解析していいぞ。今回のご褒美はそれってことで」
目がキラキラとしているファーレに、グレイと名付けた小太刀を投げる。
瞬時に道具担手スキルを外したので、グレイも抵抗できないままファーレの手の中へ。
「──しゃ、喋るんですね。あの、イム様。なんだか自分をイム様の下へ帰せと仰られていますが……」
「聞こえているか分からないが、ソイツは俺の認める優秀な発明家だ。ソイツに調べてもらえば、自分の新たな可能性が見つかるかもな。聞こえてないなら、ファーレ。お前からソイツに言ってやってくれ」
「俺の、認めた……だ、大丈夫です! き、聞こえていたみたいですから!」
「? まあ……ならいいけど。もっと使い勝手がよくなったら、いつも連れ運べるようになるかもな。頑張れよファーレ、グレイ」
適当に言ったが、もしかしたらと期待できるのがファーレだ。
できることは多い方がいいし、なんとかしてグレイの使い道を見つけてもらいたい。
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです
桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる