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ローズ
茶会での茶番劇3
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「あら、サミュエル殿下。ごきげんよう。」
「ブリアナ嬢!どうしたんだい?疲れてしまったのならここで休んでいくと良い。」
突然現れたブリアナをサミュエルはこともあろうにローズとの交流の為の席に誘ったのだった。
さすがにサミュエルの側近はしかしやんわりと言葉を挟んだ。
「失礼ですがサミュエル殿下。今日は殿下の大切なローズ様との茶会の日。このままローズ様とお二人でお過ごしいただくのが宜しいかと。」
「そんなことわかってるさ。でもブリアナ嬢が疲れているんだったらここで休ませてもいいだろう。お茶もシェフが腕を振るったデザートも十分あるのだから。それに優しいローズ嬢は分かってくれるはずだ。そうだろう?ローズ嬢?」
優しいからわかってくれるだろうなんて、卑怯な言い方だと内心憤りながらもブリアナを茶会の席に招き入れることにしたローズは、大きなため息を押し殺した。
大きめの円卓に向かい合って座っていたローズとサミュエルであったが、サミュエルとブリアナは当たり前というばかりに椅子を互いにくっつけて座ったのだった。
ブリアナ嬢、これがおいしいから皿によそってあげよう。
ブリアナ嬢、疲れてるみたいだね。この茶は疲れがとれる成分も入っているらしいから飲んでご覧?
ブリアナ嬢、今日の髪飾りは初めて見たけどとても君に似合っているね。
まるで、ブリアナとサミュエルの為の茶会の席にローズがお邪魔している雰囲気になってしまった。
冷めた気持ちと、婚約者である自分をこんなにあからさまに放って置かれる虚しさでいたたまれなくなったローズはただ時間が過ぎるのをひたすらに耐えた。
非常識な二人の言動と、時折ブリアナがローズに向ける厭らしい笑みを周囲の者が嫌悪しているとも知らないサミュエルは、終始ブリアナが現れてからは隠すことのできないゆるんだ笑みを振りまいて上機嫌だった。
それから偶然なのかどうなのか、茶会の日に限って誘われてもいないブリアナが現れてはサミュエルに寄り添い、それを当たり前のように上機嫌で受け入れるサミュエルにローズは次第に打ちのめされていった。
おそらく誰かがサミュエルとブリアナに忠告したのであろう。
ある時期からブリアナが乱入してくることは止まったが、代わりに、茶会の周りを偶然を装ってブリアナが姿を現すようになった。
ブリアナが近くにいると思うと落ち着かないサミュエルが途中で退席したまま茶会終了時までローズを放って、戻ってこないという事も続いた。
惨めでただただ打ちのめされるだけのローズであった。
「ブリアナ嬢!どうしたんだい?疲れてしまったのならここで休んでいくと良い。」
突然現れたブリアナをサミュエルはこともあろうにローズとの交流の為の席に誘ったのだった。
さすがにサミュエルの側近はしかしやんわりと言葉を挟んだ。
「失礼ですがサミュエル殿下。今日は殿下の大切なローズ様との茶会の日。このままローズ様とお二人でお過ごしいただくのが宜しいかと。」
「そんなことわかってるさ。でもブリアナ嬢が疲れているんだったらここで休ませてもいいだろう。お茶もシェフが腕を振るったデザートも十分あるのだから。それに優しいローズ嬢は分かってくれるはずだ。そうだろう?ローズ嬢?」
優しいからわかってくれるだろうなんて、卑怯な言い方だと内心憤りながらもブリアナを茶会の席に招き入れることにしたローズは、大きなため息を押し殺した。
大きめの円卓に向かい合って座っていたローズとサミュエルであったが、サミュエルとブリアナは当たり前というばかりに椅子を互いにくっつけて座ったのだった。
ブリアナ嬢、これがおいしいから皿によそってあげよう。
ブリアナ嬢、疲れてるみたいだね。この茶は疲れがとれる成分も入っているらしいから飲んでご覧?
ブリアナ嬢、今日の髪飾りは初めて見たけどとても君に似合っているね。
まるで、ブリアナとサミュエルの為の茶会の席にローズがお邪魔している雰囲気になってしまった。
冷めた気持ちと、婚約者である自分をこんなにあからさまに放って置かれる虚しさでいたたまれなくなったローズはただ時間が過ぎるのをひたすらに耐えた。
非常識な二人の言動と、時折ブリアナがローズに向ける厭らしい笑みを周囲の者が嫌悪しているとも知らないサミュエルは、終始ブリアナが現れてからは隠すことのできないゆるんだ笑みを振りまいて上機嫌だった。
それから偶然なのかどうなのか、茶会の日に限って誘われてもいないブリアナが現れてはサミュエルに寄り添い、それを当たり前のように上機嫌で受け入れるサミュエルにローズは次第に打ちのめされていった。
おそらく誰かがサミュエルとブリアナに忠告したのであろう。
ある時期からブリアナが乱入してくることは止まったが、代わりに、茶会の周りを偶然を装ってブリアナが姿を現すようになった。
ブリアナが近くにいると思うと落ち着かないサミュエルが途中で退席したまま茶会終了時までローズを放って、戻ってこないという事も続いた。
惨めでただただ打ちのめされるだけのローズであった。
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