見捨てられたのは私

梅雨の人

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私も話上手というわけではございません。ですが亮真様との会話が途切れた時間でさえも愛おしいと感じてしまうのです。 

「小雪というのは素敵な名前だな。」 
「…ありがとうございます。とても…嬉しいです…」
「…そうか。」
 

「なんと亮真もそんなことを言うようになったとはなあ。」 

「っ太賀兄さんなぜここにいるんだ?」 

「お前がいつまでたっても小雪さんを私に紹介してくれないものだから会いに来たんだ。っと、失礼。亮真の兄の大河内太賀です。よろしく小雪さん。」  

「亮真様のお義兄様…っ。お初にお目にかかります。藤堂小雪でございます。こちらこそどうぞよろしくお願い致します。」 

「もういいだろ、兄さん。早く出て行ってくれ。」 
「わかったわかった、小雪さんお邪魔したね。」

「ふふふふふっ!太賀に、亮真さん、酷いわ。私には紹介して頂けないの?亮真さん、紹介してくださいな。」 

「…小雪、太賀兄さんの許嫁で琴葉義姉さんだ。義姉さん、彼女が小雪だ。」 

太賀お義兄様のお隣には、太賀お義兄様の許嫁の琴葉様がいらっしゃいました。 

心なしか少し不貞腐れたように見える亮真様に琴葉様がやさしく声をかけておられます。 


「よろしくね、小雪さん。」
「こちらこそ、不束者ですがどうぞよろしくお願いいたします。」

「さあ、もういいだろう?二人とも出て行ってくれ。」
「ふふふふふっ、仕方ないわねえ。行きましょう?太賀?」
「ああ、わかったよ。またな、小雪さん。」

本当に挨拶をしにいらしただけのようで、太賀お義兄様と琴葉様は部屋を出て行かれました。 

亮真様同様に上背があって役者にしてもおかしくない見目の太賀お義兄様と、おっとりと麗しい琴葉お義姉様は大変お似合いのお二人でございました。 

「騒がしくしてしまってすまなかった小雪。」
「いえ、お二人にお会いできてよかったです。」
「そうか。そう思ってくれたのならよかった…」

その日も亮真様と二人だけの時間がゆっくりと流れて行きました。
 
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