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亮真4
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頭や肩を負傷していたことは医者を問い詰めるまでもなかった。
「ああちょうどよかった。少し話がしたいと思っておりました。」
「なんでしょう。」
「奥様をもう少し労わり気にかけてあげてください。奥様に情けないからと口止めされておりましたが。以前、奥様はお屋敷で倒れられて、肩、頭を打撲し擦り傷をこさえておりました。その時は、心労と体調不良で倒れたのでしょう。食もいまだに細いのではないですか?以前よりもさらにやつれておるではないですか。
第一あの時、夜倒れて朝になってから床で倒れられた状態で目を覚まされたと聞き信じられませんでした。あなた方のように立派なお屋敷の女主人なら、倒れられた時点で物音にでも反応してすぐに使用人らが駆けつけてくるものではないですか。それなのに誰も奥様に気が付かなかった。
診察を終えて屋敷を去る時も誰も私に奥様について大丈夫かなど聞いてくることもなかったし、何なら奥様をあざ笑うかのような会話が至る所から聞こえてきた。
私はこのような職業を長くやってきているからか、奥様の今の状況が心配なのですよ。」
「…わかりました。」
小雪がやつれた?心労と体調不良?食が細い?一人朝まで床で倒れていた?使用人から小雪があざ笑われていた?
あまりの情報量に私の頭は混乱を極めた。
この医者に言われなければ今もそんなことに気が付けずにいたと思う。
返す言葉もなかった。
すぐに、足が完治するまで小雪が部屋で穏やかに療養できるよう手配をした後、小雪がこの屋敷に嫁いできてからのことを調べ上げた。たった数か月のことだというのに、私は小雪について本当に何も知らなかったのだと項垂れることになった。
初夜を終え私が私室で寝てしまっているのを小雪は混乱した表情で受け止めていたこと。
夫婦の閨ごとを終えたら夫婦は各自の部屋に戻って休むのだと思い込もうとしていること。
初夜の次の日から私がいなくなって以来、小雪の食の量が徐々に落ちて行っていたこと。
私が義姉さんを心配して実家に泊まっていたと知り涙を流していたこと。
親友が亡くなりかなり落ち込んでいたこと。
そのなき親友の夫を雨の中、助けようとして私の知らない男に助けられていたこと。
私と義姉さんが庭園で仲良くしているのを小雪が寂しそうな表情で部屋から眺めていたこと。
明らかに食の細くなった小雪はこの数か月で痩せてしまっていたこと。
ほとんどの使用人が、私に相手にされていない女主人である小雪を馬鹿にしていること。
――私は何も、何も知らなかった。何も気が付けなかった。
小雪が墓参りの途中行方不明となり、熱を出して病院に世話になっていると知らせを受けた時、私は琴葉義姉さんが落ち込んでいてそばを離れることができずにいた。そして小雪には医師がついているから大丈夫だと都合のいいように考えて、迎えにすらいかなかった。
亡き親友の忘れ形見をざわざ持ってきてくれたその親友の夫に嫉妬して、私はそれをぞんざいに扱い形見も小雪の心も傷つけてしまった。
ああ、そうか。私はずっと小雪を傷つけていたのか。
私の妻は小雪だ。小雪を大切にしよう。そう心に決めているのに。それでも未だに義姉さんに頼られると変な使命感とやらに満たされる自分をどうしたらいいのか分からないままでいる――。
「ああちょうどよかった。少し話がしたいと思っておりました。」
「なんでしょう。」
「奥様をもう少し労わり気にかけてあげてください。奥様に情けないからと口止めされておりましたが。以前、奥様はお屋敷で倒れられて、肩、頭を打撲し擦り傷をこさえておりました。その時は、心労と体調不良で倒れたのでしょう。食もいまだに細いのではないですか?以前よりもさらにやつれておるではないですか。
第一あの時、夜倒れて朝になってから床で倒れられた状態で目を覚まされたと聞き信じられませんでした。あなた方のように立派なお屋敷の女主人なら、倒れられた時点で物音にでも反応してすぐに使用人らが駆けつけてくるものではないですか。それなのに誰も奥様に気が付かなかった。
診察を終えて屋敷を去る時も誰も私に奥様について大丈夫かなど聞いてくることもなかったし、何なら奥様をあざ笑うかのような会話が至る所から聞こえてきた。
私はこのような職業を長くやってきているからか、奥様の今の状況が心配なのですよ。」
「…わかりました。」
小雪がやつれた?心労と体調不良?食が細い?一人朝まで床で倒れていた?使用人から小雪があざ笑われていた?
あまりの情報量に私の頭は混乱を極めた。
この医者に言われなければ今もそんなことに気が付けずにいたと思う。
返す言葉もなかった。
すぐに、足が完治するまで小雪が部屋で穏やかに療養できるよう手配をした後、小雪がこの屋敷に嫁いできてからのことを調べ上げた。たった数か月のことだというのに、私は小雪について本当に何も知らなかったのだと項垂れることになった。
初夜を終え私が私室で寝てしまっているのを小雪は混乱した表情で受け止めていたこと。
夫婦の閨ごとを終えたら夫婦は各自の部屋に戻って休むのだと思い込もうとしていること。
初夜の次の日から私がいなくなって以来、小雪の食の量が徐々に落ちて行っていたこと。
私が義姉さんを心配して実家に泊まっていたと知り涙を流していたこと。
親友が亡くなりかなり落ち込んでいたこと。
そのなき親友の夫を雨の中、助けようとして私の知らない男に助けられていたこと。
私と義姉さんが庭園で仲良くしているのを小雪が寂しそうな表情で部屋から眺めていたこと。
明らかに食の細くなった小雪はこの数か月で痩せてしまっていたこと。
ほとんどの使用人が、私に相手にされていない女主人である小雪を馬鹿にしていること。
――私は何も、何も知らなかった。何も気が付けなかった。
小雪が墓参りの途中行方不明となり、熱を出して病院に世話になっていると知らせを受けた時、私は琴葉義姉さんが落ち込んでいてそばを離れることができずにいた。そして小雪には医師がついているから大丈夫だと都合のいいように考えて、迎えにすらいかなかった。
亡き親友の忘れ形見をざわざ持ってきてくれたその親友の夫に嫉妬して、私はそれをぞんざいに扱い形見も小雪の心も傷つけてしまった。
ああ、そうか。私はずっと小雪を傷つけていたのか。
私の妻は小雪だ。小雪を大切にしよう。そう心に決めているのに。それでも未だに義姉さんに頼られると変な使命感とやらに満たされる自分をどうしたらいいのか分からないままでいる――。
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