見捨てられたのは私

梅雨の人

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足を負傷して三週間が経過いたしました。 

「小雪、庭に出ないか?」 

「でも、この足では時間がかかってしまいますので…」 

「大丈夫だ…」 

一気に近づいてきた亮真様が私をおもむろに抱き上げてくださいました。 
 

「りょ…亮真様…」 

「夫婦…なのだから、これ位いいだろう?タカ、天気もいいから小雪の服はこのままでいいだろうか?」 

「ええ、ええ。よろしいと思いますよ。」 

「そうか、では行こう。」 

 困惑している私をよそに私と目の合ったタカさんはニコニコと微笑ましそうに私たちを送り出しております。 

 
久しぶりに部屋から出てきたもので、亮真様に抱きかかえられて移動する惨めな私を嘲笑する声がどこかから聞こえるようで不安になってしまいます。 
 

「大丈夫だ、小雪。」 

「え?」

 
「タカ、後で皆を集めておいてくれ。」 

そうタカさんに指示を出した亮真様は私を抱えたまま庭園を歩かれております。 

 
「花が…新しい花がたくさん植えられておりますね。」 

「ああ…気に入ったか?」 

「ええ、とてもきれいです。」 

「そうか…」 

 

会話らしい会話もなく亮真様は私を抱きかかえたままゆっくりと庭園を回り終えると屋敷内に戻っていかれます。 

エントランスを抜けると、見知らぬ顔ぶれの使用人ばかりが並んで私たちを待っておりました。 

「小雪、君に伝えていなかったがかなりの使用人が新しくなった。…それだけだ。さあ、部屋に戻ろう。」 

 
それから私を抱えて部屋に入った亮真様は私を寝台の上に慎重おろしてくださいました。

「つらくはないか?」 

「いえ、私は大丈夫ですが…」 

「うん?」 

「亮真様がその…私は重かったのではないですか?腕は大丈夫でしょうか…」 

「腕?ああ、問題ない。…私は少し仕事をしてくる。また後で…」 

「あの、亮真様っ…私を連れ出してくれてありがとうございました。」 

「ああ…後…君はもう少し体重を増やしたほうがいい。もっと栄養のあるものを用意する。…ゆっくり休んでいてくれ。」 

「はい…。ありがとうございます。」 

「奥様どうかいたしましたか?足が痛みますか?」 

「…いえ、大丈夫よ、ありがとう。」 

 
足を怪我してからというもの亮真様がとてもやさしく気遣って下っています。

入れ替えられた使用人は皆、不甲斐ない私のような女主人にとてもよくしてくれます。

このようにとても穏やかな日々を過ごしているというのに、それでもどこかに不安を覚えるのはなぜなのでしょうか。 
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