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僕の大切な人 マーカス視点3
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その後、カフェで昼食をとった僕たちは馬車へ戻ることにした。
彼女には内緒にしていたが、この国でも有名な植物園へ連れて行きたかったからだ。
花々を愛でるのを好む彼女に喜んでもらいたくて。
でも、カフェを出てすぐにミリアリア嬢に声をかけられてしまった。
名前を聞いて思い出したがミリアリアとかいうこの女は、こちらが断り続けているにもかかわらず未だしつこく僕との婚約を打診してきている者の一人だ。
せっかくのローズマリー嬢との時間を一秒とも無駄にしたくないのにといら立ちを感じた。
ローズマリー嬢に目もくれず僕に話しかけるこの無礼な女にそれ以上時間を無駄にしたくなかったので、さっさと会話を切り上げることにした。
なのにその女は、なんと僕たちについてきたいなんて言い出すから殺意さえ沸いてしまった。
気を取り直して、時間を取り戻した僕達は植物園へと足を踏み入れた。
その植物園を共にゆっくりと散策しながら彼女の様子を窺った。
目をキラキラさせている彼女が美しすぎて悶えそうになる僕は、先日兄と剣の訓練をした時のことを思い出して気を紛らわし平静をどうにか保った。
彼女はどうも湖に浮かぶ手漕ぎボートに関心があるみたいだったので、それに乗ってみようと誘ってみた。
彼女にとってはそれが初めての体験だったらしく、ボートに先に乗った僕は彼女を支えるために手を差し伸べた。
すると彼女が体勢を崩しそうになってしまったので、すぐさまその華奢な体を抱きとめた。
彼女の柔らかな感触と匂いに陶然としてしまった僕はしばらく彼女を腕の中に閉じ込めてしまった。
植物園から屋敷に戻った日のこと、僕が彼女にその日購入した髪留めをプレゼントしようとしたら、なんと彼女も僕にカフスを内緒で用意してくれていた。
お互いに同じことを考えていたんだねと言って、思わず笑ってしまった。
なんとなくだけど、彼女が僕に対して前よりも気を許してくれているような気がして嬉しかった。
そして、その日以降あのミリアリアとかいう女が僕にまとわりつくようになってきた。
彼女の家格は伯爵家で僕の家よりも格下なので、そろそろ正式にそれをやめるように苦情を伝えようと考えていた。
はっきりとこちらから断っているにもかかわらず、しつこく婚約を打診してくるのはこの女だけではないが本当に図太い神経をしているものだと嫌悪感を抱く。
そしてあの日、僕が剣術の訓練でローズマリー嬢の傍をはずしていた時にあの女にしてやられてしまった。
バネッサ嬢がわざわざ剣術の訓練をしている僕のところにやって来てくれて助かった。
かなり急いでいたのだろう、少し息が上がっていた。
聞くところによると、他のクラスの女生徒がローズマリー嬢を呼び出し空き教室に向かっていったという。
聞いた瞬間嫌な予感がした僕は、ローズマリー嬢が連れていかれたという教室に駆けつけて行った。
その教室の扉の鍵はかけられており、中からはあのミリアリアとかいう女の声が聞こえてきた。
僕は迷わず扉を蹴破って、顔を蒼白にしている彼女の腕に触れている男らをなぎ倒した。
ザッカリーがすぐに先生と警備を連れてきてくれたので後のことはまかて、僕の腕の中で意識を失ってしまった彼女を屋敷まで連れ帰った。
僕が付いていながら…。
あんな男どもにローズマリー嬢が少しでも触れられたと思うだけで殺意が沸いた。
目が覚めた彼女に駆けつけたとき、もっとそばに行きたかったが、あんな怖い思いをした彼女の傍に男である僕が行くべきではないと少し距離を取ってから彼女に今回の件を謝罪した。
怖かったはずだ。あんなに震えていたのに。
僕がもっとはやくからあの女をどうにか出来ていたら。
後悔と情けなさでうつむいてしまった僕なんかを、彼女は自らベッドをおりて大丈夫だと抱きしめてくれた。
辛いのはきっと彼女の方なのに、こんな時でも僕を許してくれる彼女を心の底から愛おしく感じた。
彼女には内緒にしていたが、この国でも有名な植物園へ連れて行きたかったからだ。
花々を愛でるのを好む彼女に喜んでもらいたくて。
でも、カフェを出てすぐにミリアリア嬢に声をかけられてしまった。
名前を聞いて思い出したがミリアリアとかいうこの女は、こちらが断り続けているにもかかわらず未だしつこく僕との婚約を打診してきている者の一人だ。
せっかくのローズマリー嬢との時間を一秒とも無駄にしたくないのにといら立ちを感じた。
ローズマリー嬢に目もくれず僕に話しかけるこの無礼な女にそれ以上時間を無駄にしたくなかったので、さっさと会話を切り上げることにした。
なのにその女は、なんと僕たちについてきたいなんて言い出すから殺意さえ沸いてしまった。
気を取り直して、時間を取り戻した僕達は植物園へと足を踏み入れた。
その植物園を共にゆっくりと散策しながら彼女の様子を窺った。
目をキラキラさせている彼女が美しすぎて悶えそうになる僕は、先日兄と剣の訓練をした時のことを思い出して気を紛らわし平静をどうにか保った。
彼女はどうも湖に浮かぶ手漕ぎボートに関心があるみたいだったので、それに乗ってみようと誘ってみた。
彼女にとってはそれが初めての体験だったらしく、ボートに先に乗った僕は彼女を支えるために手を差し伸べた。
すると彼女が体勢を崩しそうになってしまったので、すぐさまその華奢な体を抱きとめた。
彼女の柔らかな感触と匂いに陶然としてしまった僕はしばらく彼女を腕の中に閉じ込めてしまった。
植物園から屋敷に戻った日のこと、僕が彼女にその日購入した髪留めをプレゼントしようとしたら、なんと彼女も僕にカフスを内緒で用意してくれていた。
お互いに同じことを考えていたんだねと言って、思わず笑ってしまった。
なんとなくだけど、彼女が僕に対して前よりも気を許してくれているような気がして嬉しかった。
そして、その日以降あのミリアリアとかいう女が僕にまとわりつくようになってきた。
彼女の家格は伯爵家で僕の家よりも格下なので、そろそろ正式にそれをやめるように苦情を伝えようと考えていた。
はっきりとこちらから断っているにもかかわらず、しつこく婚約を打診してくるのはこの女だけではないが本当に図太い神経をしているものだと嫌悪感を抱く。
そしてあの日、僕が剣術の訓練でローズマリー嬢の傍をはずしていた時にあの女にしてやられてしまった。
バネッサ嬢がわざわざ剣術の訓練をしている僕のところにやって来てくれて助かった。
かなり急いでいたのだろう、少し息が上がっていた。
聞くところによると、他のクラスの女生徒がローズマリー嬢を呼び出し空き教室に向かっていったという。
聞いた瞬間嫌な予感がした僕は、ローズマリー嬢が連れていかれたという教室に駆けつけて行った。
その教室の扉の鍵はかけられており、中からはあのミリアリアとかいう女の声が聞こえてきた。
僕は迷わず扉を蹴破って、顔を蒼白にしている彼女の腕に触れている男らをなぎ倒した。
ザッカリーがすぐに先生と警備を連れてきてくれたので後のことはまかて、僕の腕の中で意識を失ってしまった彼女を屋敷まで連れ帰った。
僕が付いていながら…。
あんな男どもにローズマリー嬢が少しでも触れられたと思うだけで殺意が沸いた。
目が覚めた彼女に駆けつけたとき、もっとそばに行きたかったが、あんな怖い思いをした彼女の傍に男である僕が行くべきではないと少し距離を取ってから彼女に今回の件を謝罪した。
怖かったはずだ。あんなに震えていたのに。
僕がもっとはやくからあの女をどうにか出来ていたら。
後悔と情けなさでうつむいてしまった僕なんかを、彼女は自らベッドをおりて大丈夫だと抱きしめてくれた。
辛いのはきっと彼女の方なのに、こんな時でも僕を許してくれる彼女を心の底から愛おしく感じた。
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