19 / 27
僕の大切な人 マーカス視点2
しおりを挟む
あの日、学園での剣術の訓練をしていた僕の視界はローズマリー嬢をとらえた。
こんな時にでも、彼女の姿を確認してしまう僕はもうおかしいのだろうか。
単純な僕は彼女に、僕のいいところをもっと見てもらいたくていつもより気合を込めて訓練に励んだ。
でも、彼女が現れた瞬間そこらの男どもが彼女に見惚れているのに気が付いた。
声を大にして彼女を見るなと言ってやりたかったが、それよりも‘彼女が僕を見てくれているのが嬉しかった。
訓練が終わるとまるで雲の上を走っているかのようにフワフワした心地で彼女の元に駆けつけた。
ザッカリーが婚約者であるバネッサ嬢にいつものように差し入れを貰っていた。
少し羨ましいと感じたこともあるが、僕には無縁のものだとそれまであきらめていた。
婚約者を作らなかったのは僕の意思で、女の子たちがしょっちゅう持ってくる差し入れも一切受け取らなかったし、変な誤解もされたくない僕はうまくそれらを躱していた。
でもその日、ローズマリー嬢が僕に差し入れを持ってきてくれていたんだ。
好きな子の差し入れがこんなに嬉しいものだなんて知らなかった。
さすがに僕の汗は渡されたタオルで自ら拭いたんだけど。
ローズマリー嬢の差し入れはさっぱりとした冷たい果実水と、サンドイッチに美味いビスケットの間にチーズを挟んだものだった。
実は、バネッサ嬢がザッカリーにその日に差し入れを持っていく話を前日にしたようだ。
だから、こっそりと朝僕に気づかれないように厨房で彼女自ら僕の為に用意してくれたものらしい。
彼女自らが僕に用意してくれてたことも、わざわざ差し入れを持ってきてくれたことも嬉しすぎて思わず彼女を抱きしめたい衝動をぐっと耐えた。
すると彼女が僕の拭いきれなかった汗に気が付いたらしく、彼女自らのハンカチで僕のその汗を拭いてくれた。
もう本当に、幸せすぎてそのまま昇天してしまいそうになった。
狡猾な僕はすぐにそのハンカチが汚れてしまったからとそれを僕の懐にしまい、代わりにその週末に一緒に買い物に出かけようと約束を取り付けた。
僕の汗がついてしまってはいるが、彼女のあのハンカチは今でも僕の自室の机の引き出しに大切にしまってある。
今すぐにでも彼女に婚約を申し込みたいところだったが、彼女が婚約を解消してからそう日はたっていなかった。
あの時の彼女の憔悴した様を間近で見ていた僕は、まだ彼女に何も言い出せないでいた。
待ちに待った週末、ハンカチだけ買って屋敷に戻るだけなんてそんなもったいないことは、はなから頭にない僕は、ここぞとばかりに彼女を連れ立っていろんな店へ立ち寄った。
彼女の好きそうなものはもう大体わかってはいるが、彼女本人からそれを聞きだしたい僕は、彼女の意見を聞きながらこっそりとプレゼントを購入した。
どうしても彼女に僕の色を纏ってほしい僕は、僕の瞳の色である翡翠色の蝶々の髪飾りを選んだ。
途中途中でかわいらしい小物を購入していた彼女が、その柔らかそうな頬を赤くして買いすぎてしまったなんていうものだから、もう僕は何なら店中のものを買ってやりたい衝動に駆られてしまった。
彼女と選んだハンカチは翡翠色のハンカチで薔薇の花の刺繡がすみに綺麗に入れられていたものだった。
ここでも、僕の瞳の色をしたハンカチを選んだ僕は、己の執着心に苦笑してしまった。
こんな時にでも、彼女の姿を確認してしまう僕はもうおかしいのだろうか。
単純な僕は彼女に、僕のいいところをもっと見てもらいたくていつもより気合を込めて訓練に励んだ。
でも、彼女が現れた瞬間そこらの男どもが彼女に見惚れているのに気が付いた。
声を大にして彼女を見るなと言ってやりたかったが、それよりも‘彼女が僕を見てくれているのが嬉しかった。
訓練が終わるとまるで雲の上を走っているかのようにフワフワした心地で彼女の元に駆けつけた。
ザッカリーが婚約者であるバネッサ嬢にいつものように差し入れを貰っていた。
少し羨ましいと感じたこともあるが、僕には無縁のものだとそれまであきらめていた。
婚約者を作らなかったのは僕の意思で、女の子たちがしょっちゅう持ってくる差し入れも一切受け取らなかったし、変な誤解もされたくない僕はうまくそれらを躱していた。
でもその日、ローズマリー嬢が僕に差し入れを持ってきてくれていたんだ。
好きな子の差し入れがこんなに嬉しいものだなんて知らなかった。
さすがに僕の汗は渡されたタオルで自ら拭いたんだけど。
ローズマリー嬢の差し入れはさっぱりとした冷たい果実水と、サンドイッチに美味いビスケットの間にチーズを挟んだものだった。
実は、バネッサ嬢がザッカリーにその日に差し入れを持っていく話を前日にしたようだ。
だから、こっそりと朝僕に気づかれないように厨房で彼女自ら僕の為に用意してくれたものらしい。
彼女自らが僕に用意してくれてたことも、わざわざ差し入れを持ってきてくれたことも嬉しすぎて思わず彼女を抱きしめたい衝動をぐっと耐えた。
すると彼女が僕の拭いきれなかった汗に気が付いたらしく、彼女自らのハンカチで僕のその汗を拭いてくれた。
もう本当に、幸せすぎてそのまま昇天してしまいそうになった。
狡猾な僕はすぐにそのハンカチが汚れてしまったからとそれを僕の懐にしまい、代わりにその週末に一緒に買い物に出かけようと約束を取り付けた。
僕の汗がついてしまってはいるが、彼女のあのハンカチは今でも僕の自室の机の引き出しに大切にしまってある。
今すぐにでも彼女に婚約を申し込みたいところだったが、彼女が婚約を解消してからそう日はたっていなかった。
あの時の彼女の憔悴した様を間近で見ていた僕は、まだ彼女に何も言い出せないでいた。
待ちに待った週末、ハンカチだけ買って屋敷に戻るだけなんてそんなもったいないことは、はなから頭にない僕は、ここぞとばかりに彼女を連れ立っていろんな店へ立ち寄った。
彼女の好きそうなものはもう大体わかってはいるが、彼女本人からそれを聞きだしたい僕は、彼女の意見を聞きながらこっそりとプレゼントを購入した。
どうしても彼女に僕の色を纏ってほしい僕は、僕の瞳の色である翡翠色の蝶々の髪飾りを選んだ。
途中途中でかわいらしい小物を購入していた彼女が、その柔らかそうな頬を赤くして買いすぎてしまったなんていうものだから、もう僕は何なら店中のものを買ってやりたい衝動に駆られてしまった。
彼女と選んだハンカチは翡翠色のハンカチで薔薇の花の刺繡がすみに綺麗に入れられていたものだった。
ここでも、僕の瞳の色をしたハンカチを選んだ僕は、己の執着心に苦笑してしまった。
1,616
あなたにおすすめの小説
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務
ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。
婚約者が、王女に愛を囁くところを。
だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。
貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。
それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる