85 / 644
2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
黒猫の探し物 14
しおりを挟む
私が吐いた理由について、お母さんには風邪気味だと説明した。安斉先生の遺体を見てしまったことを話そうかと迷ったけれど黒い化け物も人間に姿を変えた猫も、私が説明したって理解はされない。見て触れた私でさえ信じられないのだから。
シャワーから上がった私は顔色が悪いまま、自室へと戻る。
すっかりピンクのクッションを気に入ったケイはその上で丸くなっていて、私が来るのを待っていた。
ケイは起き上がって私の前へと寄ってくる。
「顔色が悪い」
そう言われてもその原因を作っているのはケイ本人だと気付いていないみたい。
「当たり前じゃない。あんなものを見た後なのよ」
「帰れと言った。危なかった」
確かにケイは警告をしていた。私も深く考えずに夜の外へと飛び出してしまったのも悪い。でも、こんな展開、誰が予想できるの?
「何が起こっているの?黒い化け物は何?なんで安斉先生が死んでいたの?あなたは何者なの?」
半分パニックになっていた。頭に浮かんだ疑問はまだまだあったけど、それらを塞ぎ止めたのは残り半分な理性だった。
「俺はケイ。黒いのは鬼。それ以外は知らない」
「知らないって。じゃあ、何なら知っているのよ」
「何を知りたい?」
「全部よ。さっき起こったこと全て」
声は荒げないように努めた。猫に対して怒鳴ってしまったらお母さんたちの心配事が増えてしまう。
私は頭を抱えて部屋中を歩き回る。
冷静になって、質問を考えるのよ。
「ケイは猫なの?」
「猫でもあり人でもある」
私は黙って話を聞こうとしたけど、ケイはそれ以上のことは言わずに、猫はじっと私を見つめ返す。
「よく、わからないんだけど、つまり、どういうこと?」
「型が2つある。カゲヒサがそう作った。長い年月を旅できるように」
「型?」
「型は型だ」
あぁ、どうしよう。全くわからない。説明をしてもらう相手を間違っているのにこの猫以外、私がほしい説明を持っている者がいない。
深く息を吸って頭をリセットする。もう一度、整理してケイに向き合う。
「鬼って言ったよね。ケイはあれを退治しに来たの?」
「それは俺の存在理由ではない」
次の質問を考えながら口を開くもケイは続けて言葉を繋ぐ。
「だが、手掛かりだ」
「そういえば言っていたね。糸とかハサミとか。それを探しているの?」
「鬼はあちら側の生物だ。現世に存在しない。なのにいる。糸と鋏は怪異の中心にいる」
「糸とハサミがその、鬼みたいな怪物を呼んでるってこと?」
「もしくは蝶だ」
蝶?虫?どうしよう。わからない単語が増えたわ。
「蝶も探している。そして、キヨネにも蝶の臭いがする」
「私が?」
「朝のキヨネにはなかった。戻ってきたら臭う。糸と鋏の臭いも混じっている。キヨネはどこかで接触している」
「そんなこと言われても」
そもそも、ケイが探しているアイテムがどんな形をしているのかも知らない。言葉通りそれは糸なのかハサミなのか。そうだとしても梅雨の時期に蝶は飛ばないし、裁縫箱には触れていない。
「キヨネが知らなくて当然だ。糸も鋏も覚醒していない可能性がある」
ケイの口調に一つの違和感があった。まるで糸と鋏は人であるかのように話している。
シャワーから上がった私は顔色が悪いまま、自室へと戻る。
すっかりピンクのクッションを気に入ったケイはその上で丸くなっていて、私が来るのを待っていた。
ケイは起き上がって私の前へと寄ってくる。
「顔色が悪い」
そう言われてもその原因を作っているのはケイ本人だと気付いていないみたい。
「当たり前じゃない。あんなものを見た後なのよ」
「帰れと言った。危なかった」
確かにケイは警告をしていた。私も深く考えずに夜の外へと飛び出してしまったのも悪い。でも、こんな展開、誰が予想できるの?
「何が起こっているの?黒い化け物は何?なんで安斉先生が死んでいたの?あなたは何者なの?」
半分パニックになっていた。頭に浮かんだ疑問はまだまだあったけど、それらを塞ぎ止めたのは残り半分な理性だった。
「俺はケイ。黒いのは鬼。それ以外は知らない」
「知らないって。じゃあ、何なら知っているのよ」
「何を知りたい?」
「全部よ。さっき起こったこと全て」
声は荒げないように努めた。猫に対して怒鳴ってしまったらお母さんたちの心配事が増えてしまう。
私は頭を抱えて部屋中を歩き回る。
冷静になって、質問を考えるのよ。
「ケイは猫なの?」
「猫でもあり人でもある」
私は黙って話を聞こうとしたけど、ケイはそれ以上のことは言わずに、猫はじっと私を見つめ返す。
「よく、わからないんだけど、つまり、どういうこと?」
「型が2つある。カゲヒサがそう作った。長い年月を旅できるように」
「型?」
「型は型だ」
あぁ、どうしよう。全くわからない。説明をしてもらう相手を間違っているのにこの猫以外、私がほしい説明を持っている者がいない。
深く息を吸って頭をリセットする。もう一度、整理してケイに向き合う。
「鬼って言ったよね。ケイはあれを退治しに来たの?」
「それは俺の存在理由ではない」
次の質問を考えながら口を開くもケイは続けて言葉を繋ぐ。
「だが、手掛かりだ」
「そういえば言っていたね。糸とかハサミとか。それを探しているの?」
「鬼はあちら側の生物だ。現世に存在しない。なのにいる。糸と鋏は怪異の中心にいる」
「糸とハサミがその、鬼みたいな怪物を呼んでるってこと?」
「もしくは蝶だ」
蝶?虫?どうしよう。わからない単語が増えたわ。
「蝶も探している。そして、キヨネにも蝶の臭いがする」
「私が?」
「朝のキヨネにはなかった。戻ってきたら臭う。糸と鋏の臭いも混じっている。キヨネはどこかで接触している」
「そんなこと言われても」
そもそも、ケイが探しているアイテムがどんな形をしているのかも知らない。言葉通りそれは糸なのかハサミなのか。そうだとしても梅雨の時期に蝶は飛ばないし、裁縫箱には触れていない。
「キヨネが知らなくて当然だ。糸も鋏も覚醒していない可能性がある」
ケイの口調に一つの違和感があった。まるで糸と鋏は人であるかのように話している。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる