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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
雨に潜む 7
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あたしの警戒心に満ちた口調に光弥は慌てて言う。
「違う違う!交渉だよ!」
「そう。ならそこでやってればいいわ」
モニターを消して掃除に戻ろう。
目が覚めてから1日も経っていないけれど、その間彼らがあたしの保管計画を企てて、光弥を使役として送るには十分な時間よね。彼らの計画には関わりたくない。
「直接会って話そう」
意外にも口出しをしてきたのはカンダタだった。
「1番の被害者がそんなこと言っていいの?今度こそ脳みそを掻き混ぜられるわよ」
「ご心配どうも。あいつの動向を計るにはいい機会だ。瑠璃を誘拐するのか、殺害するのか、光弥1人なのか、仲間はいるのか、いたとしたら何人か、交渉は罠なのか。帰らせれば何もわからない。それにあいつはまた来るぞ。陰険な性格をしている奴は大概しつこいんだ」
妙に説得力があるのが鼻に付くわね。
「まぁ、いいわ。その交渉を聞いてあげましょうか。襲ってきたら盾になってね」
「構わないさ。あんなの鬼に比べたら容易い」
なら、お言葉に甘えて盾になってもらいましょう。あたしは部屋の階と番号を伝える。
あたしたちの会話を聞いていた光弥は明るい笑顔と一変して不服な顔つきになっていた。彼はエントランスを抜けて部屋に着く。あたしが玄関ドアを開けるとすぐに切り替えていて、わざとらしい作り笑いを顔に貼り付ける。
「いやぁ、いいマンションだね。部屋も広いみたいだし。この住まいはいくらしたの?親が払ってるの?」
玄関で光弥は明るく振る舞うもカンダタが中に入らせないように立ちはり、ハクは威嚇を示す唸り声を鳴らす。
「世間話の切り出しとしては最悪ね」
一般的な会話のつもりでもあたしからしてみれば失礼だわ。
光弥は第一声から失敗したと自覚して唇を一文字に固く結ぶ。次の話題を探している。
「あんたと無駄話するつもりはないの。要件だけ言って帰って」
「ここでか?世間だと客が来たらお茶と菓子でもてなすんだろ?」
光弥は玄関に立ったまま会話するのが気に食わないらしい。あたしが笑顔で居間に案内してくれると思っていたのかしら。
「誰しもが世間のルールで生きているとは思わないで」
心底傷ついたみたと、大袈裟な仕草で肩を竦める。自業自得なのよ。
「わかった、本題に入ろう。まず、瑠璃の処遇については無罪放免だ。そこの罪人も合わせてね」
「言い方が気に食わないわね。カンダタはともかくあたしは罪を犯して地獄に落ちたんじゃない」
「細かい事は気にしない。それよりも俺に感謝してほしいね。そうしてあげたのは俺なんだから」
嘘ね。あたしは光弥とその父である弥のやり取りを見ていた。ちょっとした口答えも許されずに光弥を打っていた。光弥自身も父親に対する恐怖心がある。正々堂々と意見できるとは思えないわね。
「あなたの父親をどう説得したか知らないけれど、律儀に恩を返す性格はしていないの」
「でも、返したほうが君の為になる」
「条件があるんだろ。早く言ったらどうだ」
カンダタの声色に苛立ちがあった。あたしと同じように早く帰らせたい苛立ちもあるけれど、自分に受けた仕打ちを根に持っている。
「問題が一つあってさ。死んだ身体と流れてくる魂の数が合わないんだ。そんで詳しく調べてみると、自殺者の魂がハザマに流れて来ていないんだ。目下、調査中だけど現世についてはあんたが詳しいだろ。協力してくれればもう関わらない。わかりやすいだろ?」
確かにわかりやすい罠ね。自殺の件は口実で光弥の目的はあたしと行動すること。隙ができれば白鋏と白糸を手に入れる気ね。
「違う違う!交渉だよ!」
「そう。ならそこでやってればいいわ」
モニターを消して掃除に戻ろう。
目が覚めてから1日も経っていないけれど、その間彼らがあたしの保管計画を企てて、光弥を使役として送るには十分な時間よね。彼らの計画には関わりたくない。
「直接会って話そう」
意外にも口出しをしてきたのはカンダタだった。
「1番の被害者がそんなこと言っていいの?今度こそ脳みそを掻き混ぜられるわよ」
「ご心配どうも。あいつの動向を計るにはいい機会だ。瑠璃を誘拐するのか、殺害するのか、光弥1人なのか、仲間はいるのか、いたとしたら何人か、交渉は罠なのか。帰らせれば何もわからない。それにあいつはまた来るぞ。陰険な性格をしている奴は大概しつこいんだ」
妙に説得力があるのが鼻に付くわね。
「まぁ、いいわ。その交渉を聞いてあげましょうか。襲ってきたら盾になってね」
「構わないさ。あんなの鬼に比べたら容易い」
なら、お言葉に甘えて盾になってもらいましょう。あたしは部屋の階と番号を伝える。
あたしたちの会話を聞いていた光弥は明るい笑顔と一変して不服な顔つきになっていた。彼はエントランスを抜けて部屋に着く。あたしが玄関ドアを開けるとすぐに切り替えていて、わざとらしい作り笑いを顔に貼り付ける。
「いやぁ、いいマンションだね。部屋も広いみたいだし。この住まいはいくらしたの?親が払ってるの?」
玄関で光弥は明るく振る舞うもカンダタが中に入らせないように立ちはり、ハクは威嚇を示す唸り声を鳴らす。
「世間話の切り出しとしては最悪ね」
一般的な会話のつもりでもあたしからしてみれば失礼だわ。
光弥は第一声から失敗したと自覚して唇を一文字に固く結ぶ。次の話題を探している。
「あんたと無駄話するつもりはないの。要件だけ言って帰って」
「ここでか?世間だと客が来たらお茶と菓子でもてなすんだろ?」
光弥は玄関に立ったまま会話するのが気に食わないらしい。あたしが笑顔で居間に案内してくれると思っていたのかしら。
「誰しもが世間のルールで生きているとは思わないで」
心底傷ついたみたと、大袈裟な仕草で肩を竦める。自業自得なのよ。
「わかった、本題に入ろう。まず、瑠璃の処遇については無罪放免だ。そこの罪人も合わせてね」
「言い方が気に食わないわね。カンダタはともかくあたしは罪を犯して地獄に落ちたんじゃない」
「細かい事は気にしない。それよりも俺に感謝してほしいね。そうしてあげたのは俺なんだから」
嘘ね。あたしは光弥とその父である弥のやり取りを見ていた。ちょっとした口答えも許されずに光弥を打っていた。光弥自身も父親に対する恐怖心がある。正々堂々と意見できるとは思えないわね。
「あなたの父親をどう説得したか知らないけれど、律儀に恩を返す性格はしていないの」
「でも、返したほうが君の為になる」
「条件があるんだろ。早く言ったらどうだ」
カンダタの声色に苛立ちがあった。あたしと同じように早く帰らせたい苛立ちもあるけれど、自分に受けた仕打ちを根に持っている。
「問題が一つあってさ。死んだ身体と流れてくる魂の数が合わないんだ。そんで詳しく調べてみると、自殺者の魂がハザマに流れて来ていないんだ。目下、調査中だけど現世についてはあんたが詳しいだろ。協力してくれればもう関わらない。わかりやすいだろ?」
確かにわかりやすい罠ね。自殺の件は口実で光弥の目的はあたしと行動すること。隙ができれば白鋏と白糸を手に入れる気ね。
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