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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
鬼ごっこ 2
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私は自分の鞄を持つと歩き出して、ケイは机から跳ねると軽やかに床に着地し、私の前を歩く。
「変わったことはないか?」
私の周りで変化が起きているとケイは考えていた。その変化は探し物の手掛かりになるからだ。
「それがね、昨日から変なものが見えるの」
変化は昨日からあった。誰かに相談しても信じてもらえないような出来事をケイに話す。
初めて見たのは月曜の朝の教室だった。退院したばかりの瑠璃が入ってくると黒い靄が彼女の背後にいた。
瑠璃につきまとっているわけでもないようで、授業中の時も教室を歩き回ったり、出たりして、瑠璃から離れたかと思えば一緒に下校していくところを見た。
私には黒いもやが不吉な影のように見えて、視界に入れないように目線を逸らしていた。
「退院したばかりだから、良くないものを憑けてきたのかも」
「死霊だ。害はない」
「だって、おかしいよ。いきなり、死霊が現れるなんて。臭いが強くなったのも昨日なんでしょ?」」
「死霊の臭いじゃない。奴らはどこにでもいる。キヨネが見えるようになったんだ」
それは霊感という類、だよね。
「現世ではあちら側が認識できない。だが、キヨネが変化した」
「私に霊感が?ケイと会ったから?」
「違う。考えられる要因はあちら側のものを飲食したかだ」
「そんな、私変なもの食べてない」
「1つの可能性だ」
死霊か。嫌だな。髪の長い女性とか血塗れの人とか、そういうの見たくない。
「見えなくするには方法とかある?」
「ない。靄も明確に見えるようになる」
見たくないなぁ。
言われた通りに部活棟に着く。閉まっているはずのドアは開いていた。ケイが中に入れないと困っていたのはドアが引き戸ではなく、ドアノブを回して開ける観音扉だったからだ。
部活棟の中に入るとケイは足早になって臭いを探る。
廊下の奥からは複数人の声がこちらまで聞こてくる。一階奥の部室は確か演劇部のはず。
こんな時に部活動をしているなんて。
「ここだ」
そうして立ち止まったのは文芸部と表示された教室。
「ここにあるの?」
「入ればわかる」
私はケイの為に部室のドアを開ける。部室のドアも鍵はかけていなかった。恐るおそる中を覗く。
誰もいない。鍵を閉め忘れただけかな。
もしかしたら、人がいるかもしれないと考えて慎重な足取りでドアをくぐる。
文芸部の部室はそれほど広くない。狭い室内の片隅で黒い靄を見つけてしまう。
それも、昨日より、はっきりと人の形を作っている。ケイが言っていた「明確」が近くなっている。
「ね、ねぇ、ケイあれ」
動揺し怯えた私はケイに縋ろうとすると、小さな黒猫は部室に入ろうとしないで向かいの棟を見つめる。
「鬼と糸だ」
ケイはポツリと呟いた。
「鬼ってあの怪物よね」
「糸の臭いもする。一緒だ」
ケイの黒い毛が逆立っている。いつもは淡白なのに、今は張りつめた緊張がある。
「もしかして、危ない感じ?」
「キヨネは早く帰れ」
優先順位は嫌な臭いより鬼と糸らしい。ケイはすぐそこにある嫌なニオイの元を無視して走り出す。
「待ってケイ!」
あの怪物が近くにいる。考えるだけでも足が震える。帰れと言われても怪物がいる校内を1人で歩ける勇気は無い。
ケイを追いかけようとしても黒猫はすでになくなっていて、私は誰もいない構内の静寂に押しつぶされそうになっていた。
そんな時だった。黒いシルエットでしかなかった靄がはっきりと人の形が変わっていった。
私は黒い着物姿の彼を見た。
「変わったことはないか?」
私の周りで変化が起きているとケイは考えていた。その変化は探し物の手掛かりになるからだ。
「それがね、昨日から変なものが見えるの」
変化は昨日からあった。誰かに相談しても信じてもらえないような出来事をケイに話す。
初めて見たのは月曜の朝の教室だった。退院したばかりの瑠璃が入ってくると黒い靄が彼女の背後にいた。
瑠璃につきまとっているわけでもないようで、授業中の時も教室を歩き回ったり、出たりして、瑠璃から離れたかと思えば一緒に下校していくところを見た。
私には黒いもやが不吉な影のように見えて、視界に入れないように目線を逸らしていた。
「退院したばかりだから、良くないものを憑けてきたのかも」
「死霊だ。害はない」
「だって、おかしいよ。いきなり、死霊が現れるなんて。臭いが強くなったのも昨日なんでしょ?」」
「死霊の臭いじゃない。奴らはどこにでもいる。キヨネが見えるようになったんだ」
それは霊感という類、だよね。
「現世ではあちら側が認識できない。だが、キヨネが変化した」
「私に霊感が?ケイと会ったから?」
「違う。考えられる要因はあちら側のものを飲食したかだ」
「そんな、私変なもの食べてない」
「1つの可能性だ」
死霊か。嫌だな。髪の長い女性とか血塗れの人とか、そういうの見たくない。
「見えなくするには方法とかある?」
「ない。靄も明確に見えるようになる」
見たくないなぁ。
言われた通りに部活棟に着く。閉まっているはずのドアは開いていた。ケイが中に入れないと困っていたのはドアが引き戸ではなく、ドアノブを回して開ける観音扉だったからだ。
部活棟の中に入るとケイは足早になって臭いを探る。
廊下の奥からは複数人の声がこちらまで聞こてくる。一階奥の部室は確か演劇部のはず。
こんな時に部活動をしているなんて。
「ここだ」
そうして立ち止まったのは文芸部と表示された教室。
「ここにあるの?」
「入ればわかる」
私はケイの為に部室のドアを開ける。部室のドアも鍵はかけていなかった。恐るおそる中を覗く。
誰もいない。鍵を閉め忘れただけかな。
もしかしたら、人がいるかもしれないと考えて慎重な足取りでドアをくぐる。
文芸部の部室はそれほど広くない。狭い室内の片隅で黒い靄を見つけてしまう。
それも、昨日より、はっきりと人の形を作っている。ケイが言っていた「明確」が近くなっている。
「ね、ねぇ、ケイあれ」
動揺し怯えた私はケイに縋ろうとすると、小さな黒猫は部室に入ろうとしないで向かいの棟を見つめる。
「鬼と糸だ」
ケイはポツリと呟いた。
「鬼ってあの怪物よね」
「糸の臭いもする。一緒だ」
ケイの黒い毛が逆立っている。いつもは淡白なのに、今は張りつめた緊張がある。
「もしかして、危ない感じ?」
「キヨネは早く帰れ」
優先順位は嫌な臭いより鬼と糸らしい。ケイはすぐそこにある嫌なニオイの元を無視して走り出す。
「待ってケイ!」
あの怪物が近くにいる。考えるだけでも足が震える。帰れと言われても怪物がいる校内を1人で歩ける勇気は無い。
ケイを追いかけようとしても黒猫はすでになくなっていて、私は誰もいない構内の静寂に押しつぶされそうになっていた。
そんな時だった。黒いシルエットでしかなかった靄がはっきりと人の形が変わっていった。
私は黒い着物姿の彼を見た。
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