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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
蜘蛛の脚 1
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あたしが次に繋いだのは西棟の図書室。もちろん、別世界の学校で目覚めてからそこには行っていない。あたしがイメージしたものは場所じゃなく人。
清音はケイを抱きかかえてあたしを見つめる。
「その手」
目を丸くして見ていたのは刀を持ったあたしの手。
無我夢中で握ったのは刀の柄じゃなく刃だった。あまりにも強く掴んでいたものだから手の隙間から血が流れて細い刀身を伝う。
自分の血を認識するとじんわりと痛みが広がってきた。
「大丈夫?」
清音が心配そうな顔で伺ってくる。
私は刀を一旦置く。とりあえずハンカチで傷口を抑えておこう。白糸で縫いたいところだけれどそれよりも優先すべきものがある。
もう一度、右手は刀の柄を握った。
「光弥!いるんでしょう!出て来なさい」
広い図書室であたしの声はよく響いた。返答はなかった。
私は光弥をイメージして移動してきた。ここにいるはず。
「ハク、光弥を探して」
白い隣人は頷いて本棚が鎮座する列へと走っていく。
「瑠璃?」
清音が怪訝に尋ねる。誰もいない空間に向かって呼んで叫ぶ姿が不審に映っていた。
彼女は光弥もハクの存在も知らない。だからといってわざわざ説明するのも面倒。そういった配慮はしない。
本棚の奥からハクが鳴いた。そこにいるのね。あたしは歩き出す。
暗闇を待とう図書室の床をローファーのかかとが叩いては一定のリズムを小刻みに鳴らす。白い刃は重さを感じさせない羽のように軽く、あたしの手に収まる。
光弥は本棚と本棚の間に隠れていた。脅威から逃れるべく両手を挙げて敵じゃないことを示す。
「八つ当たりしたい気持ちはわかるよ。状況が状況だしね。でもこの場合、皆で協力して」
「よく言えるわね。あんたの安っぽい嘘に騙されるとでも?」
「嘘?嘘って?なんか誤解が」
弁解の余地もなく、あたしは本を取ると光弥に投げつける。
物を投げるとは。目を開いた表情はそれを訴えていた。円を描く本の角が当たる前に光弥は上半身を屈めて避ける。
「蝶男、あんたは知らないって言ったよね」
睨め付けた眼光が光弥を刺す。
「瑠璃、この人は?」
ケイを抱いたまま来た清音は未だに困惑していた。
「ご機嫌取りのゴミ虫よ。光弥、全部話して貰うわよ」
「いや、え?なんのことだか」
もう一回、本を投げる。今度は肩に当たった。
「あんたの興味はどうでもいい。好き勝手にやればいいわ。その悪趣味な嗜好にあたしを巻き込まないで」
「わかった。わかったよ。本はやめてくれ。意外と力強いな」
余計な一言がついた。本を手に取る。
「待て待て。悪かったよ」
自分が何をしたのか彼は理解できていない。反省の色だってない。
清音はケイを抱きかかえてあたしを見つめる。
「その手」
目を丸くして見ていたのは刀を持ったあたしの手。
無我夢中で握ったのは刀の柄じゃなく刃だった。あまりにも強く掴んでいたものだから手の隙間から血が流れて細い刀身を伝う。
自分の血を認識するとじんわりと痛みが広がってきた。
「大丈夫?」
清音が心配そうな顔で伺ってくる。
私は刀を一旦置く。とりあえずハンカチで傷口を抑えておこう。白糸で縫いたいところだけれどそれよりも優先すべきものがある。
もう一度、右手は刀の柄を握った。
「光弥!いるんでしょう!出て来なさい」
広い図書室であたしの声はよく響いた。返答はなかった。
私は光弥をイメージして移動してきた。ここにいるはず。
「ハク、光弥を探して」
白い隣人は頷いて本棚が鎮座する列へと走っていく。
「瑠璃?」
清音が怪訝に尋ねる。誰もいない空間に向かって呼んで叫ぶ姿が不審に映っていた。
彼女は光弥もハクの存在も知らない。だからといってわざわざ説明するのも面倒。そういった配慮はしない。
本棚の奥からハクが鳴いた。そこにいるのね。あたしは歩き出す。
暗闇を待とう図書室の床をローファーのかかとが叩いては一定のリズムを小刻みに鳴らす。白い刃は重さを感じさせない羽のように軽く、あたしの手に収まる。
光弥は本棚と本棚の間に隠れていた。脅威から逃れるべく両手を挙げて敵じゃないことを示す。
「八つ当たりしたい気持ちはわかるよ。状況が状況だしね。でもこの場合、皆で協力して」
「よく言えるわね。あんたの安っぽい嘘に騙されるとでも?」
「嘘?嘘って?なんか誤解が」
弁解の余地もなく、あたしは本を取ると光弥に投げつける。
物を投げるとは。目を開いた表情はそれを訴えていた。円を描く本の角が当たる前に光弥は上半身を屈めて避ける。
「蝶男、あんたは知らないって言ったよね」
睨め付けた眼光が光弥を刺す。
「瑠璃、この人は?」
ケイを抱いたまま来た清音は未だに困惑していた。
「ご機嫌取りのゴミ虫よ。光弥、全部話して貰うわよ」
「いや、え?なんのことだか」
もう一回、本を投げる。今度は肩に当たった。
「あんたの興味はどうでもいい。好き勝手にやればいいわ。その悪趣味な嗜好にあたしを巻き込まないで」
「わかった。わかったよ。本はやめてくれ。意外と力強いな」
余計な一言がついた。本を手に取る。
「待て待て。悪かったよ」
自分が何をしたのか彼は理解できていない。反省の色だってない。
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