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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
時計草 2
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作業を光弥に任せると清音の方へと歩き出す。
「聞きたいことがいくつかあるの。佐矢 蛍、彼女のことを知らない?」
そう言って清音に見せたのは例の生徒手帳。清音にとっては全く面識のない人物であり、彼女は首を振る。
「もう一つ、去年のニュースになったいじめ問題。あなたどこまで覚えてる?」
「どこまでって言われても。父から聞いた通りよ。演劇部のいじめが発覚したって」
「それだけ?それしか知らなかったの?だから勘違いしたのね」
「勘違い?どういうこと?」
「すみれと清音の会話にはずっと違和感があったのよ」
「佐矢 蛍はどこにもいなかったよ」
全ての名簿を見終わった光弥が報告する。
「でしょうね」
清音に質問した時点で瑠璃の推測は確信に変わっていた。
「いい加減に話してくれよ」
「あのね、あたしは探偵じゃないの。話をするけれど、期待されたって困るのよ。推理は思い込みと変わらないんだから」
瑠璃も探偵ごっこしたいわけじゃない。これはミステリー小説ではない。推理が当たっても当たらなくても犯人は捕まらない。死ぬ確率が下がるわけでもないのだ。
「そうね、違和感を持った理由から話しましょうか」
それでも、瑠璃は自分なりに順序を決めて話を始める。
「まずは去年のニュースから。おかしい時期だったわ。新学期前の春休み中で部活動もなかったのにいじめが発覚したから」
「それは先生に相談したからじゃないの?」
「あなたね、ろくに考えもしないくせに言い当てるのやめたら?ニュースも見ていないからカスカスな脳みそになるのよ」
「瑠璃、脱線してる」
話が逸れてしまいそうになったのでカンダタが修正する。
「わかった。あのニュースが大事(おおごと)になったのは1人の女子生徒が自殺したからよ。彼女が残したボイスレコーダーに自分が受けたいじめを独白していた。それが話題になって全国ニュースとして報道された」
「待ってよ。そのいじめを受けていたのは桜尾 すみれだろ?」
口を挟んだのは光弥だった。
「あたしが違和感を持ったのはそこよ。ニュースはよく覚えている。これから入学する学校がいじめで問題視されているんだから。報道では先輩後輩の指導がいじめに繋がったと言っていたわよ。いじめをうけていた後輩は耐えきれず自殺した」
「なら、すみれ先輩は?あの人はいじめが原因でカウンセリングを受けていたのよ」
「あの人は3年生。その生徒手帳の彼女は?」
清音は生徒手帳を見直す。
「1年生。あれ、でもリボンの色が緑だわ」
「リボン?どう関係してるんだ?」
「学年の色よ。1年生は青、2年生は緑、3年生は赤。学年が上がってもこの色は変わらないの。だから、私たちが2年生に進級してもリボンの色は青のままになる」
「なるほどな。この佐矢 蛍は緑のリボンをつけている。けど、1年生と表記されてる。そして、名簿には彼女の名前はなかった」
「間違いなく、佐矢 蛍がその自殺者でしょうね。そして、彼女の先輩は桜尾 すみれだった」
「え、待って。なら、すみれ先輩は」
「部活の居心地も悪くなるでしょうね。直接的では無いとは言え、周りの目は殺人者扱いになる」
「そんなことをする人じゃ」
「復讐者の目的は1つ。演劇部の皆殺し。特にすみれには滑稽で悲惨な末路になる役を与えた」
「あの人は」
「いい加減、仲良しごっこはやめなさいって。あなたたちは上辺だけの付き合いしかしていないんだから。庇うだけ損よ」
清音にしてみればこれは信じられない真実だ。
彼女にとって桜尾 すみれは良き先輩であり、心強い友人だった。それを覆されたのだ。対して、カンダタは瑠璃の推理に納得していた。桜尾 すみれの発言には自分本位の考えしかないのが伝わっていたからだ。ただ、1つだけ引っかかりがある。
「聞きたいことがいくつかあるの。佐矢 蛍、彼女のことを知らない?」
そう言って清音に見せたのは例の生徒手帳。清音にとっては全く面識のない人物であり、彼女は首を振る。
「もう一つ、去年のニュースになったいじめ問題。あなたどこまで覚えてる?」
「どこまでって言われても。父から聞いた通りよ。演劇部のいじめが発覚したって」
「それだけ?それしか知らなかったの?だから勘違いしたのね」
「勘違い?どういうこと?」
「すみれと清音の会話にはずっと違和感があったのよ」
「佐矢 蛍はどこにもいなかったよ」
全ての名簿を見終わった光弥が報告する。
「でしょうね」
清音に質問した時点で瑠璃の推測は確信に変わっていた。
「いい加減に話してくれよ」
「あのね、あたしは探偵じゃないの。話をするけれど、期待されたって困るのよ。推理は思い込みと変わらないんだから」
瑠璃も探偵ごっこしたいわけじゃない。これはミステリー小説ではない。推理が当たっても当たらなくても犯人は捕まらない。死ぬ確率が下がるわけでもないのだ。
「そうね、違和感を持った理由から話しましょうか」
それでも、瑠璃は自分なりに順序を決めて話を始める。
「まずは去年のニュースから。おかしい時期だったわ。新学期前の春休み中で部活動もなかったのにいじめが発覚したから」
「それは先生に相談したからじゃないの?」
「あなたね、ろくに考えもしないくせに言い当てるのやめたら?ニュースも見ていないからカスカスな脳みそになるのよ」
「瑠璃、脱線してる」
話が逸れてしまいそうになったのでカンダタが修正する。
「わかった。あのニュースが大事(おおごと)になったのは1人の女子生徒が自殺したからよ。彼女が残したボイスレコーダーに自分が受けたいじめを独白していた。それが話題になって全国ニュースとして報道された」
「待ってよ。そのいじめを受けていたのは桜尾 すみれだろ?」
口を挟んだのは光弥だった。
「あたしが違和感を持ったのはそこよ。ニュースはよく覚えている。これから入学する学校がいじめで問題視されているんだから。報道では先輩後輩の指導がいじめに繋がったと言っていたわよ。いじめをうけていた後輩は耐えきれず自殺した」
「なら、すみれ先輩は?あの人はいじめが原因でカウンセリングを受けていたのよ」
「あの人は3年生。その生徒手帳の彼女は?」
清音は生徒手帳を見直す。
「1年生。あれ、でもリボンの色が緑だわ」
「リボン?どう関係してるんだ?」
「学年の色よ。1年生は青、2年生は緑、3年生は赤。学年が上がってもこの色は変わらないの。だから、私たちが2年生に進級してもリボンの色は青のままになる」
「なるほどな。この佐矢 蛍は緑のリボンをつけている。けど、1年生と表記されてる。そして、名簿には彼女の名前はなかった」
「間違いなく、佐矢 蛍がその自殺者でしょうね。そして、彼女の先輩は桜尾 すみれだった」
「え、待って。なら、すみれ先輩は」
「部活の居心地も悪くなるでしょうね。直接的では無いとは言え、周りの目は殺人者扱いになる」
「そんなことをする人じゃ」
「復讐者の目的は1つ。演劇部の皆殺し。特にすみれには滑稽で悲惨な末路になる役を与えた」
「あの人は」
「いい加減、仲良しごっこはやめなさいって。あなたたちは上辺だけの付き合いしかしていないんだから。庇うだけ損よ」
清音にしてみればこれは信じられない真実だ。
彼女にとって桜尾 すみれは良き先輩であり、心強い友人だった。それを覆されたのだ。対して、カンダタは瑠璃の推理に納得していた。桜尾 すみれの発言には自分本位の考えしかないのが伝わっていたからだ。ただ、1つだけ引っかかりがある。
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