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3章 死神が誘う遊園地
夢楽土会 6
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期末テストが終わると生徒たちは長い休みに心を浮かせる。
夏休みとは何かとカンダタに聞かれことがあった。その時は一般的な例を述べた。
あたしはその一般的な例に外れることになる。
「まぁ、これはないわなぁ」
担任の坂本は呆れた溜息を吐く。
午前だけの授業も終わり、あたしだけが教室に残った。
坂本が持っていたのは現国の回答用紙で、溜息の原因はサービスの問題での回答にあった。
Q、空欄に入る文字を埋めなさい。馬の耳に◯◯
それに対し、あたしの回答は、
A、馬の耳に仏像
「見てみたいものだな。馬の耳に仏像が突っ込まれているところを」
吹き出して笑うカンダタ。あたしは彼をきつく睨む。
坂本の前では言いたい文句も言えない。自身が透明人間であることをいいことにカンダタは言いたい放題だ。
サービス問題であったこれは得られる点数も多く、失えば相当な痛手になる。加えて、あたしが苦手とする漢字の読み書きが多かった。点数は削り削られその結果。
「補習だ」
夏休み中の補習科目のスケジュールが印字されたプリントが渡される。
現国の他にも古典、日本史も赤点をとってしまった。あたしはそれらのスケジュールを確認して眉を寄せる。
「補習が嫌なら授業中に寝るな」
「嫌いなものに時間をかけたくないので」
赤点をとっておきながら言うのもどうかと思うけれど、あたしは頭が悪いわけじゃない。
理数系科目は90点以上取得しているし、現国だってことわざと漢字以外はほぼ満点だった。あたしは古典と漢字、漢字が乱用する日本史が嫌いなだけ。
あたしのテスト対策と言うのは、古典・日本史は前日の夜だけ勉強し、現国は勉強せずとも赤点は避けられるくらいの点は取れていた。
なのに、今年は面倒事が続いてしまったせいで勉学に集中できなかった。苦手意識とする文系科目は目も当てられない悲惨な結果になってしまった。
「あと、三者面談だが」
坂本が気まずそうに切り出す。
「それはもう終わったはずです」
三者面談は先週行われた。父が娘の進路に興味を持つはずがなく、代役として父の部下 さえりがあたしの隣に座った。
「父親と連絡できないか?蒲谷さんに頼んでもいい」
「頼んでも来てくれる人じゃ無いですよ」
あたしは無感情に答える。
教室に残った肌に纏わり付く。汗ばんだ背中に嫌気がする。
熱気と湿気があたしを苛立たせる。こういう時は甘くて冷たいものを食べたい。帰りはコンビニでアイスを買おう。
「実際のところ、何年経ってないんだ?」
もう6年になる。
そんなことはどうでもいい。それよりもコンビニのアイスが重要なのよ。
「先生が気にかけるべきなのは生徒の将来ですよ。あの人はあたしの将来には無縁です」
「避けてはいけないぞ」
「親子関係に他人が口を挟むものじゃないですよ」
汗が気持ち悪い。こんな会話に意味はない。早く解放してほしい。
「まぁ、高校までは逃げ切れるが大人はそういうわけにはいかない。逃避できるときは逃避しとけ。けど、整理はつけておけ。重荷を背負ったままだと逃げた先でまた逃げることになるぞ」
まるで「心を見透かしているぞ」と言われているよう。
見当違いなのよ。避けたくなるような問題を抱えていないし、あたしが今考えているのはアイスのことよ。
「失礼します」
はっきりと意思表示をして踵を返す。
あたしには関係ない。父があたしの人生に関わることはない。これからまでもこれからも。
夏休みとは何かとカンダタに聞かれことがあった。その時は一般的な例を述べた。
あたしはその一般的な例に外れることになる。
「まぁ、これはないわなぁ」
担任の坂本は呆れた溜息を吐く。
午前だけの授業も終わり、あたしだけが教室に残った。
坂本が持っていたのは現国の回答用紙で、溜息の原因はサービスの問題での回答にあった。
Q、空欄に入る文字を埋めなさい。馬の耳に◯◯
それに対し、あたしの回答は、
A、馬の耳に仏像
「見てみたいものだな。馬の耳に仏像が突っ込まれているところを」
吹き出して笑うカンダタ。あたしは彼をきつく睨む。
坂本の前では言いたい文句も言えない。自身が透明人間であることをいいことにカンダタは言いたい放題だ。
サービス問題であったこれは得られる点数も多く、失えば相当な痛手になる。加えて、あたしが苦手とする漢字の読み書きが多かった。点数は削り削られその結果。
「補習だ」
夏休み中の補習科目のスケジュールが印字されたプリントが渡される。
現国の他にも古典、日本史も赤点をとってしまった。あたしはそれらのスケジュールを確認して眉を寄せる。
「補習が嫌なら授業中に寝るな」
「嫌いなものに時間をかけたくないので」
赤点をとっておきながら言うのもどうかと思うけれど、あたしは頭が悪いわけじゃない。
理数系科目は90点以上取得しているし、現国だってことわざと漢字以外はほぼ満点だった。あたしは古典と漢字、漢字が乱用する日本史が嫌いなだけ。
あたしのテスト対策と言うのは、古典・日本史は前日の夜だけ勉強し、現国は勉強せずとも赤点は避けられるくらいの点は取れていた。
なのに、今年は面倒事が続いてしまったせいで勉学に集中できなかった。苦手意識とする文系科目は目も当てられない悲惨な結果になってしまった。
「あと、三者面談だが」
坂本が気まずそうに切り出す。
「それはもう終わったはずです」
三者面談は先週行われた。父が娘の進路に興味を持つはずがなく、代役として父の部下 さえりがあたしの隣に座った。
「父親と連絡できないか?蒲谷さんに頼んでもいい」
「頼んでも来てくれる人じゃ無いですよ」
あたしは無感情に答える。
教室に残った肌に纏わり付く。汗ばんだ背中に嫌気がする。
熱気と湿気があたしを苛立たせる。こういう時は甘くて冷たいものを食べたい。帰りはコンビニでアイスを買おう。
「実際のところ、何年経ってないんだ?」
もう6年になる。
そんなことはどうでもいい。それよりもコンビニのアイスが重要なのよ。
「先生が気にかけるべきなのは生徒の将来ですよ。あの人はあたしの将来には無縁です」
「避けてはいけないぞ」
「親子関係に他人が口を挟むものじゃないですよ」
汗が気持ち悪い。こんな会話に意味はない。早く解放してほしい。
「まぁ、高校までは逃げ切れるが大人はそういうわけにはいかない。逃避できるときは逃避しとけ。けど、整理はつけておけ。重荷を背負ったままだと逃げた先でまた逃げることになるぞ」
まるで「心を見透かしているぞ」と言われているよう。
見当違いなのよ。避けたくなるような問題を抱えていないし、あたしが今考えているのはアイスのことよ。
「失礼します」
はっきりと意思表示をして踵を返す。
あたしには関係ない。父があたしの人生に関わることはない。これからまでもこれからも。
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