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3章 死神が誘う遊園地
夢楽土会 5
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「こんなご時世だもの!何を信じていいのか分からないよね?」
清音はスマホを手に持って泣き出したくなるような顔で俯く。
カンダタはそんな彼女の前に立ち、勧誘女の姿を遮る。もちろん、勧誘女にはカンダタの姿が見えていないから独り善がりの話を続けている。
「安心してね。私たちは味方なんだから!」
不意に現れた黒い壁に清音は顔を上げようとする。
「俺を見るな。醜女と目が合っていると勘違いされると厄介だ」
カンダタは落ち着いた口調を意識しながら静かに制する。
「いいか、彼女の言うことに耳を傾けるな。相打ちもするな。校門まで走るんだ。校内に入れば迫ってくることもない。できるな?」
清音は両手を強く握る。カンダタはこれを意思表示だと捉えて頷く。
「大声で叫ばれても振り向くな。俺も学校までついてく」
清音の背中に手を添えて言う。といっても、幽体の手に感触は無い。
「深呼吸して、行けと言ったら走れ」
清音が深く空気を吸い、吐き出す。深呼吸を2回したタイミングで「行け」と叫んだ。
それを清音は走り出す。
勧誘女からしてみれば驚愕の出来事だった。2、3秒の間、口を開いて唖然とした後、大声を上げて清音に呼びかける。
「どこ行くの!ねえ!後で電話するからね!」
清音の足はカンダタよりも遅い。そんな彼女に歩調を合わせながら学校の正面玄関まで辿り着く。
「あの、あ、ありがと、ございます」
清音は息を切らせながらカンダタに礼を言う。
「いや、別に」
礼を言われたのが予想外だったカンダタは少しだけ照れ臭そうにする。
「人助けができていい気分でしょうけれど、無駄だったみたいよ」
あたしは靴を下駄箱に入れて2人を見つめる。カンダタの救出劇は見る価値もない。けれど、声量の高い勧誘女の言葉ははっきりと聞こえていた。
「連絡先交換したんでしょ。助けるのが遅かったみたいね」
清音が握りしめていたスマホを指差す。画面には新しく登録された電話番号がある。
「ごめんなさい」
清音はまたもや俯いて、申し訳なさそうにする。
「まずいのか?」
「コンタクトは取れやすくなるでしょうね。仏が殺しに来るぞって脅されたりして」
笑みを浮かべて茶化してみる。その脅し文句に清音は身震いをさせてあたしを凝視する。
「瑠璃」
カンダタが責める声色で呼ぶ。
「私、これからどうすれば」
「自分で考えなさいよ。何もかも他人が解決してくれるわけじゃないんだから」
相談事なんか聞いてられない。
玄関に清音を置いて教室に向かう。
「あのな」
「ギャウッ」
「やめてよね。朝から2人の説教は聞きたくない」
文句ありげなカンダタの言葉を遮る。あたしの言動にハクも文句があるらしく、さっきから抗議の鳴き声が止まない。
「あたしが助けなかったのは私の勝手、カンダタはカンダタの勝手で助けたんだから」
ハクたちはまだ何か言いたげにしているも黙っていた。あたしの性格上、聞く耳を持たないと理解していた。
あたしはいつもと変わらない歩調で夏季休暇直前の高校生活を過ごす。
清音はスマホを手に持って泣き出したくなるような顔で俯く。
カンダタはそんな彼女の前に立ち、勧誘女の姿を遮る。もちろん、勧誘女にはカンダタの姿が見えていないから独り善がりの話を続けている。
「安心してね。私たちは味方なんだから!」
不意に現れた黒い壁に清音は顔を上げようとする。
「俺を見るな。醜女と目が合っていると勘違いされると厄介だ」
カンダタは落ち着いた口調を意識しながら静かに制する。
「いいか、彼女の言うことに耳を傾けるな。相打ちもするな。校門まで走るんだ。校内に入れば迫ってくることもない。できるな?」
清音は両手を強く握る。カンダタはこれを意思表示だと捉えて頷く。
「大声で叫ばれても振り向くな。俺も学校までついてく」
清音の背中に手を添えて言う。といっても、幽体の手に感触は無い。
「深呼吸して、行けと言ったら走れ」
清音が深く空気を吸い、吐き出す。深呼吸を2回したタイミングで「行け」と叫んだ。
それを清音は走り出す。
勧誘女からしてみれば驚愕の出来事だった。2、3秒の間、口を開いて唖然とした後、大声を上げて清音に呼びかける。
「どこ行くの!ねえ!後で電話するからね!」
清音の足はカンダタよりも遅い。そんな彼女に歩調を合わせながら学校の正面玄関まで辿り着く。
「あの、あ、ありがと、ございます」
清音は息を切らせながらカンダタに礼を言う。
「いや、別に」
礼を言われたのが予想外だったカンダタは少しだけ照れ臭そうにする。
「人助けができていい気分でしょうけれど、無駄だったみたいよ」
あたしは靴を下駄箱に入れて2人を見つめる。カンダタの救出劇は見る価値もない。けれど、声量の高い勧誘女の言葉ははっきりと聞こえていた。
「連絡先交換したんでしょ。助けるのが遅かったみたいね」
清音が握りしめていたスマホを指差す。画面には新しく登録された電話番号がある。
「ごめんなさい」
清音はまたもや俯いて、申し訳なさそうにする。
「まずいのか?」
「コンタクトは取れやすくなるでしょうね。仏が殺しに来るぞって脅されたりして」
笑みを浮かべて茶化してみる。その脅し文句に清音は身震いをさせてあたしを凝視する。
「瑠璃」
カンダタが責める声色で呼ぶ。
「私、これからどうすれば」
「自分で考えなさいよ。何もかも他人が解決してくれるわけじゃないんだから」
相談事なんか聞いてられない。
玄関に清音を置いて教室に向かう。
「あのな」
「ギャウッ」
「やめてよね。朝から2人の説教は聞きたくない」
文句ありげなカンダタの言葉を遮る。あたしの言動にハクも文句があるらしく、さっきから抗議の鳴き声が止まない。
「あたしが助けなかったのは私の勝手、カンダタはカンダタの勝手で助けたんだから」
ハクたちはまだ何か言いたげにしているも黙っていた。あたしの性格上、聞く耳を持たないと理解していた。
あたしはいつもと変わらない歩調で夏季休暇直前の高校生活を過ごす。
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