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3章 死神が誘う遊園地
夢楽土会 11
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演劇部惨殺事件の時、桜尾 すみれから負わされた怪我は菓子作りの不注意とさえりに説明している。
梅雨明けをしたその日にさえりはあたしのマンションに訪ねてきたので嘘をついた。
あの怪我は菓子作りなんて可愛いらしいもので出来たんじゃない。あれのせいで物を掴む事さえ出来なかった。
病院に行くべきだったけれど、怪我を負った理由を考えるのが面倒だった。馬鹿正直に話せば精神科を勧められる。
傷を治せる万能な白糸があったとしても医学なんてものを一般の高校では学ばない。
どうしようかと悩んでいるとケイが白糸で治せると言い出した。
「なんで猫が縫合術と人体構造を理解しているの?」
ケイに腕を差し出して素朴な疑問を投げる。ケイは片手であたしの腕を添えてもう片手で白糸の針の部分を持つ。
背後では光弥が興味津々に、ハクが心配そうな目で、肉が抉れた傷の縫合を観察する。付き添いで来た清音は見るのも恐ろしいとリビングの隅で終わるのを待っている。
「俺は人の倫理と猫の魂、カゲヒサの知恵からできている」
「あなたの成分増えてない?」
この間、聞いた話では誰かさんの知恵とやらはなかった。
ケイは質問に答えないで痛々しい腕に白い針を刺す。ひと針、ふた針と刺激される。いくら軟膏を塗っても激痛は止まず、そこに針一本の痛みが追加されて、無意識のうちに反対の手が拳を作る。
「痛くないの?」
「痛いわよ」
離れていても腕の具合に清音は鳥肌がたつ。なのに、あたしの顔は眉一つ動かさない平然とした印象が清音に残る。
「痛みに対して無頓着じゃない?おかしいよ」
まるであたしが異常者だと言いたげね。
ケイはテキパキと白糸を縫い、白糸は一瞬の間もなく筋肉と筋肉、皮と皮を元の状態に戻す。
縫合が終わると傷痕は綺麗になくなっていた。やっと痛みから解放された。腕を回したり、手の平を握ったりして調子を図る。
うん、違和感も痛みもない。
テレポート出来る白鋏も利便がきくけれど、白糸も壊れたものを治すのに便利ね。今回みたいにガーゼや軟膏を買いに行く必要もない。ケイから縫合の仕方を教えてもらおうかしら。
ひと仕事終えたケイは猫の姿に戻り、テーブルの上で伸びをする。
生きた毛玉がテーブルの上に居座るのが許せなくて、あたしは首あたりの皮を掴んで持ち上げた。
「それにしても変わった塊人だよな。人に化げたり、猫に化けたり。どうなってんだ?」
光弥はあたしからケイを受け取ると黒猫の身体をまさぐり回す。それが不快になったケイは身を捩り、光弥の手から逃れると一目散に清音の腕へと走って行く。
「その刀もさ、白鋏の一部でできてんだろう?」
ケイの短略された話を一番に理解しているのは光弥かもしれない。
光弥はケイの説明を短い問答だけで済ましていた。あたしや清音は何度も聞き返し、同じ質問を言い方を変えただけで同じ質問を重ねていたのに光弥は2、3回程度だ。
「でもさ、変だろ?」
それでも納得できない部分もあり、首を傾げる。
「白鋏は瑠璃の魂そのものだ。つまり、瑠璃の魂を一部切り離したことになる」
「そんなことできるの?」
「理論上では可能だよ。気になるのはどうしてそんなことしたのかなって」
「隠すためじゃない?」
あたしは適当に答えた。
梅雨明けをしたその日にさえりはあたしのマンションに訪ねてきたので嘘をついた。
あの怪我は菓子作りなんて可愛いらしいもので出来たんじゃない。あれのせいで物を掴む事さえ出来なかった。
病院に行くべきだったけれど、怪我を負った理由を考えるのが面倒だった。馬鹿正直に話せば精神科を勧められる。
傷を治せる万能な白糸があったとしても医学なんてものを一般の高校では学ばない。
どうしようかと悩んでいるとケイが白糸で治せると言い出した。
「なんで猫が縫合術と人体構造を理解しているの?」
ケイに腕を差し出して素朴な疑問を投げる。ケイは片手であたしの腕を添えてもう片手で白糸の針の部分を持つ。
背後では光弥が興味津々に、ハクが心配そうな目で、肉が抉れた傷の縫合を観察する。付き添いで来た清音は見るのも恐ろしいとリビングの隅で終わるのを待っている。
「俺は人の倫理と猫の魂、カゲヒサの知恵からできている」
「あなたの成分増えてない?」
この間、聞いた話では誰かさんの知恵とやらはなかった。
ケイは質問に答えないで痛々しい腕に白い針を刺す。ひと針、ふた針と刺激される。いくら軟膏を塗っても激痛は止まず、そこに針一本の痛みが追加されて、無意識のうちに反対の手が拳を作る。
「痛くないの?」
「痛いわよ」
離れていても腕の具合に清音は鳥肌がたつ。なのに、あたしの顔は眉一つ動かさない平然とした印象が清音に残る。
「痛みに対して無頓着じゃない?おかしいよ」
まるであたしが異常者だと言いたげね。
ケイはテキパキと白糸を縫い、白糸は一瞬の間もなく筋肉と筋肉、皮と皮を元の状態に戻す。
縫合が終わると傷痕は綺麗になくなっていた。やっと痛みから解放された。腕を回したり、手の平を握ったりして調子を図る。
うん、違和感も痛みもない。
テレポート出来る白鋏も利便がきくけれど、白糸も壊れたものを治すのに便利ね。今回みたいにガーゼや軟膏を買いに行く必要もない。ケイから縫合の仕方を教えてもらおうかしら。
ひと仕事終えたケイは猫の姿に戻り、テーブルの上で伸びをする。
生きた毛玉がテーブルの上に居座るのが許せなくて、あたしは首あたりの皮を掴んで持ち上げた。
「それにしても変わった塊人だよな。人に化げたり、猫に化けたり。どうなってんだ?」
光弥はあたしからケイを受け取ると黒猫の身体をまさぐり回す。それが不快になったケイは身を捩り、光弥の手から逃れると一目散に清音の腕へと走って行く。
「その刀もさ、白鋏の一部でできてんだろう?」
ケイの短略された話を一番に理解しているのは光弥かもしれない。
光弥はケイの説明を短い問答だけで済ましていた。あたしや清音は何度も聞き返し、同じ質問を言い方を変えただけで同じ質問を重ねていたのに光弥は2、3回程度だ。
「でもさ、変だろ?」
それでも納得できない部分もあり、首を傾げる。
「白鋏は瑠璃の魂そのものだ。つまり、瑠璃の魂を一部切り離したことになる」
「そんなことできるの?」
「理論上では可能だよ。気になるのはどうしてそんなことしたのかなって」
「隠すためじゃない?」
あたしは適当に答えた。
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