糸と蜘蛛

犬若丸

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3章 死神が誘う遊園地

夢楽土会 13

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   ともかく、ケイはここを開けろと言わんばかりに窓を叩く。
   「ケイ?」
   窓に爪痕が残る前に開ける。
   「何の用?」
   あたしもカンダタも意外な来訪者に話かける。
   ケイの用なら、きっとあちら側のことに違いないわね。
   「助けてほしい」
   ケイの表情は分かりにくい。顔は半面の仮面で隠れているし、口調は淡々としていて感情は現れない。けれど、ケイが放った一言は切迫しているようだった。
   「内容を省略しすぎじゃない?追われているわけでもないのに」
   「キヨネが板に絡まれた」
   「板?板ってなんだ?」
   カンダタの疑問にあたしも首を傾げる。助けてほしいと言ってきた割には緊張感がないのよね。
   「瑠璃が持っていたもの」
   それで納得する。板とはスマホのことね。
   「絡まれたって言うのは?」
   あたしは謎解きのヒントを貰おうと更に問う。
   「キヨネが板と話していた」
   通話していたわけね。
   「板を置いたら泣き出した」
   まだ言葉は続くのかなと待っていてもケイの話はそこで終わる。
   「それで困っていると?」
   カンダタもこの謎解きに参加して質問する。ハクはあたしたちの後ろでお座りをして、退屈そうに眺める。
   「勧誘されると」
   今朝のことを言っているのね。謎が解けてモヤモヤした感情が晴れていった。
   「登校していた時、勧誘女が連絡交換していたからそれね」
   「その勧誘を断らせないとな」
   あたしと違ってカンダタは困り果てていた。
   「放っておけばいいのよ。通話だって着信拒否すればいいのに応答する清音が馬鹿なのよ」
   「瑠璃」
   カンダタが窘めてもあたしは続ける。
   「清音がケイに泣きついたなら、ケイが解決すればいいのよ」
   「俺は駄目だ」
   ケイがヒゲを垂らす。表情はわからないのにそこに哀愁があるとはっきりと伝わった。
   「俺は猫だから」
   「猫は人語を使わないわよ」
   哀愁は伝わったけれど、慰めなんてものは持ち合わせていない。
   「どこに勧誘されているか聞いたか?」
   詳細を知ろうとカンダタが尋ねる。
   「ムラクドカイだ」
   夢楽土会。確かにケイはそう言った。
   「偶然とは思えないな」
   カンダタの言う通りで、あたしも不服そうに頷く。なんだか、面倒事に巻き込まれつつある。
   「知っているのか?」
   「聞き飽きたくらいに聞き慣れた」
   ここまでくると気味が悪くなる。正体のない足音があたしに近づいて生活を脅かそうとしている。
   重要なのはこの足音は誰のものね。
   1番に考えられるのは蝶男。次はハザマ側の者たち。もしかしたら、光弥があたしを嵌める可能性だってある。前科だってあるし。
   あたしの生活が脅されているなら対策を練らないといけない。
   「ケイ、他にも聞いてない?いつ会うか、とか」
   「明日の16時だ」
   「なら、その30分前に駅前で待ってるって伝えてくれる?」
   「どうする気だ?」
   カンダタが眉を顰める。あたしが人助けをするとは思えない。あたし自身も助けてあげようなんて考えていない。
   「まずは足跡の正体を知らないとね」
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