423 / 644
4章 闇底で交わす小指
生命になれなかった子たち 11
しおりを挟む
ともかく、清音の保護が目的の1つだ。2人は早足で近づこうとすると清音が踵を返し、走り出す。まるでカンダタたちから逃げていくようだ。
清音の不審な行動に一抹の不安を抱きつつも追いかける。
カンダタと瑠璃では走る速度が違う。カンダタの足だとすぐに追いつくが、それだと瑠璃を置いて行ってしまう。
振り返ってみれば、瑠璃が顎で差す。「先に行け」の意味だと受け取ったカンダタは前を向き直り、速度を上げた。
全速力で走ってれば、すぐに追いつくと見越していた。が、思っていたより清音と離れておりその上、彼女の足が速い。
一本道の回廊なので見失うの心配はない。それよりもカンダタが抱く一抹の不安が心を乱していた。
臆病な清音の性格からしてみれば、カンダタたちを視認すればすぐ様こちらに助けを求めてくるはずだ。
それとは真逆の行動する清音はカンダタたちを回廊の奥へと誘っているようだ。
清音を追いかけて行くと長い回廊は終わりを告げ、扇状の大広間に着いた。カンダタが潜った出入り口は扇の要部分になっており、末広がりになった奥の両端には別室につながるドアが見分けられる。
床には裸体の女性が何体も倒れ、その腹部は裂かれている。
大広間の中央には山のように積まれた秘密箱があった。清音はその頂点を目指して登っていた。
「清音!」
カンダタは呼び止めるも、呼ばれた相手は振り向こうともしない。
「呼んでるの、私を呼んでる。見つけてあげないと」
カンダタの呼びかけには答えず、聞こえてくるのは虚ろに繰り返す独り言。
催眠にでもかけられているのだろうか。清音の手足や口調はどこか浮いている。このままでは連れ戻せない。
カンダタは秘密箱の山を登り始める。抱いていた一抹の不安は更に大きくばり、それは焦りとなっていた。
「いた!」
清音の声が弾んだ。カンダタからは後ろ姿しか見えない。
喜んだ清音が手に取ったのは赤子と同じ大きさの秘密箱。清音はそれを嬉々として閉じられたからくりを暴こうとする。
早く清音を捕獲しなければ取り返しがつかない、と不思議な直感が働いていた。
「仕掛けは何回? 38回?一週間足りないよ?それでいいの?」
清音の独り言はどこかおかしい。まるで見えない誰かと会話しているようだ。
ようやく清音のところまでの登り詰めるとカンダタは彼女の肩を揺さぶり、こちらに意識を向けさせようとする。
強く揺さぶっても清音の視線は秘密箱から外れず、表面の黒い板をずらしてはからくりの謎に夢中になっている。
清音に黒蝶の模様はない。服の下も確認したいところだが、それはカンダタがやるべきではない。それよりも清音から秘密箱を取り上げなければ。
清音の両手首を掴み、秘密箱の仕掛けを解く手を止めさせる。
カンダタの行為に清音は気分を害し、顔を歪めた。身を捩ると女子とは思えない筋力でカンダタを振り払う。想像以上の力に危うく山から崩れ落ちそうになった。
何とか身体を保ち、その場で踏み止まるもカンダタの手が離れた。
「邪魔しないでっ!」
普段の大人しい清音ではありえない。はち切れた甲高い怒鳴り声だった。
「私はこの子と会話しているのっ!」
カンダタを眼中に入れたが、言っていることは支離滅裂だ。そして清音は落ちないように体勢を保っていたカンダタの肩を強く押した。
角張った山の上、崩れかけていた体勢では均衡を保つ術はなく、あっけなく秘密箱からなだれ落ちた。
転がった拍子にいくつかの秘密箱がカンダタと共に落ちる。
清音の不審な行動に一抹の不安を抱きつつも追いかける。
カンダタと瑠璃では走る速度が違う。カンダタの足だとすぐに追いつくが、それだと瑠璃を置いて行ってしまう。
振り返ってみれば、瑠璃が顎で差す。「先に行け」の意味だと受け取ったカンダタは前を向き直り、速度を上げた。
全速力で走ってれば、すぐに追いつくと見越していた。が、思っていたより清音と離れておりその上、彼女の足が速い。
一本道の回廊なので見失うの心配はない。それよりもカンダタが抱く一抹の不安が心を乱していた。
臆病な清音の性格からしてみれば、カンダタたちを視認すればすぐ様こちらに助けを求めてくるはずだ。
それとは真逆の行動する清音はカンダタたちを回廊の奥へと誘っているようだ。
清音を追いかけて行くと長い回廊は終わりを告げ、扇状の大広間に着いた。カンダタが潜った出入り口は扇の要部分になっており、末広がりになった奥の両端には別室につながるドアが見分けられる。
床には裸体の女性が何体も倒れ、その腹部は裂かれている。
大広間の中央には山のように積まれた秘密箱があった。清音はその頂点を目指して登っていた。
「清音!」
カンダタは呼び止めるも、呼ばれた相手は振り向こうともしない。
「呼んでるの、私を呼んでる。見つけてあげないと」
カンダタの呼びかけには答えず、聞こえてくるのは虚ろに繰り返す独り言。
催眠にでもかけられているのだろうか。清音の手足や口調はどこか浮いている。このままでは連れ戻せない。
カンダタは秘密箱の山を登り始める。抱いていた一抹の不安は更に大きくばり、それは焦りとなっていた。
「いた!」
清音の声が弾んだ。カンダタからは後ろ姿しか見えない。
喜んだ清音が手に取ったのは赤子と同じ大きさの秘密箱。清音はそれを嬉々として閉じられたからくりを暴こうとする。
早く清音を捕獲しなければ取り返しがつかない、と不思議な直感が働いていた。
「仕掛けは何回? 38回?一週間足りないよ?それでいいの?」
清音の独り言はどこかおかしい。まるで見えない誰かと会話しているようだ。
ようやく清音のところまでの登り詰めるとカンダタは彼女の肩を揺さぶり、こちらに意識を向けさせようとする。
強く揺さぶっても清音の視線は秘密箱から外れず、表面の黒い板をずらしてはからくりの謎に夢中になっている。
清音に黒蝶の模様はない。服の下も確認したいところだが、それはカンダタがやるべきではない。それよりも清音から秘密箱を取り上げなければ。
清音の両手首を掴み、秘密箱の仕掛けを解く手を止めさせる。
カンダタの行為に清音は気分を害し、顔を歪めた。身を捩ると女子とは思えない筋力でカンダタを振り払う。想像以上の力に危うく山から崩れ落ちそうになった。
何とか身体を保ち、その場で踏み止まるもカンダタの手が離れた。
「邪魔しないでっ!」
普段の大人しい清音ではありえない。はち切れた甲高い怒鳴り声だった。
「私はこの子と会話しているのっ!」
カンダタを眼中に入れたが、言っていることは支離滅裂だ。そして清音は落ちないように体勢を保っていたカンダタの肩を強く押した。
角張った山の上、崩れかけていた体勢では均衡を保つ術はなく、あっけなく秘密箱からなだれ落ちた。
転がった拍子にいくつかの秘密箱がカンダタと共に落ちる。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる