481 / 644
5章 恋焦がれ巡る地獄旅行
絡まる思慕 6
しおりを挟む
カンダタと目線はあったものの、瑠璃は一瞬も待たずに逸してしまう。恋愛事には関わりたくないようだ。
「ケイはそれでいいのか?」
助けを求めるようにケイに確認してみる。
「清音が言うなら」
予想していた答えとは違う。
これまでの清音とケイのやりとりに違和感を持ち始める。この違和感は瑠璃と再会した時からあったものだ。
やはり、おかしい。瑠璃とケイの様子がおかしい。
これに気づいているのはカンダタだけだろうか。
清音を嫌っている瑠璃がこの振り分けに反論しない。調子が悪いからだといいにくい。ケイもそうだ。清音に執着しているのにあっさりと身を引いた。
カンダタの違和感が消化されないまま振り分けは決まり、光弥は通話機を瑠璃から受け取る。
「俺はビニールハウスを回ってみるよ」
「なら私たちはもうひとつ隣の部屋に行ってみるね」
当然のように清音が話を進める。
足の下では鬼たちが犇き合っていることを彼女は忘れているのであろうか。こういった時、清音は保守的になる。
その分、瑠璃が前に出て先頭を仕切る。反骨心が強いので反骨心が強いからこの状況を受け入れなれないはずなのだが、今の瑠璃は大人しい。話を触れば返ってくるので頭痛のせいとは言い難い。
「行こう」
清音は張り切ってカンダタの腕を絡め取り、半ば強引に連れて行く。疑念の答えを出せずに集中していたカンダタは彼女の言動に戸惑ってしまう。
瑠璃のほうへと振り返る。瑠璃は冷ややかな目でこちらを睨んでいる。見つけてしまった男女の逢い引きを軽蔑する眼差しに似ていた。
勘弁してくれ。と内心で嘆く。
早い歩調で突き進む清音に対して、瑠璃の足取りは遅い。蔑まれた目で見つめながら歩いている。
「パイプの上は蒸気が吹いたり、穴が開いたり危ないんですよ」
「だったら俺が先に行く」
どんどん突き進む清音を止め、位置を交換する。
清音の言う通り、管の上は慎重に進まなければならなかった。こんな所を考えなしに突き進んだらだろうか。
カンダタの後についていく清音はひっつき虫になり、少しも離れないようとしない。
ちらりと瑠璃を見てみれば疲弊しきった様子で一定の距離を保ちながら目を睨んでいる。
目線を前方に戻す。賑やかに喋る清音に悪寒に近いものを感じた。
「カンダタさんがいてくれると安心できますね」
エレベーターで会った時、あそこまで怯えた清音はどこに行ったのか。混乱し、身に起きた現状ですら話せないでいたと言うのに。
人が揃ったから安心したのか?それだけでは確信を得られない。
「余裕ができたみたいだな。エレベータで会った時は怯えていたのに怯えていたのに」
「皆が揃ったから安心しちゃって。それに泣いてばかりじゃ駄目ですよね」
「冷静な判断ができるようになってきたようだな」
カンダタの台詞は清音の言動に不審感が隠されていた。
「えへへ」
褒めたたわけでは無いのだが、清音は照れくさそうに笑う。そして離れて歩く瑠璃を見て笑顔を仕舞う。
「瑠璃は大丈夫、ですかね?」
頭痛は治まっているようだ。と言うのに瑠璃は近寄ることはせず、こちらを睨んでいるだけだ。
怒気が含むその目線に内心たじろぐも顔には出さなかった。怒られる理由が思い当たらない。
「心配なら傍に行ってみたらいい」
「私は嫌われているから」
清音は自嘲気味に言う。
こうして会話してるといつも通り清音である。ただ不気味なほどに落ち着いているというだけだ。
「清音を連れ去ったときのことを話せるか?」
この状態の清音なら拉致られたことを明確に話してくれるだろうと期待し、質問をする。
彼女は暗い顔で俯き、話す。
「そのことはあまり、覚えてないです」
「そうか、すまない。思い出したら言ってくれ」
また目を潤ませたので、カンダタは慌てて取り繕う。清音にとっては深い傷となっているらしい。
それほど怖い目にあったのだろうか。本人には悪いが、これまでにも学校で鬼に食われそうになったり、夢の中で洗脳、催眠にかかったりとそれなりに強烈な経験をしている。開き直っているのなら話しても良いはずだ。
しかし、本人の口がそう言っているのだからそうだろうと答えるしかない。ただ、内にある疑念が深まる。
これ以上の言及は意味がないとカンダタは質問をやめる。
「ケイはそれでいいのか?」
助けを求めるようにケイに確認してみる。
「清音が言うなら」
予想していた答えとは違う。
これまでの清音とケイのやりとりに違和感を持ち始める。この違和感は瑠璃と再会した時からあったものだ。
やはり、おかしい。瑠璃とケイの様子がおかしい。
これに気づいているのはカンダタだけだろうか。
清音を嫌っている瑠璃がこの振り分けに反論しない。調子が悪いからだといいにくい。ケイもそうだ。清音に執着しているのにあっさりと身を引いた。
カンダタの違和感が消化されないまま振り分けは決まり、光弥は通話機を瑠璃から受け取る。
「俺はビニールハウスを回ってみるよ」
「なら私たちはもうひとつ隣の部屋に行ってみるね」
当然のように清音が話を進める。
足の下では鬼たちが犇き合っていることを彼女は忘れているのであろうか。こういった時、清音は保守的になる。
その分、瑠璃が前に出て先頭を仕切る。反骨心が強いので反骨心が強いからこの状況を受け入れなれないはずなのだが、今の瑠璃は大人しい。話を触れば返ってくるので頭痛のせいとは言い難い。
「行こう」
清音は張り切ってカンダタの腕を絡め取り、半ば強引に連れて行く。疑念の答えを出せずに集中していたカンダタは彼女の言動に戸惑ってしまう。
瑠璃のほうへと振り返る。瑠璃は冷ややかな目でこちらを睨んでいる。見つけてしまった男女の逢い引きを軽蔑する眼差しに似ていた。
勘弁してくれ。と内心で嘆く。
早い歩調で突き進む清音に対して、瑠璃の足取りは遅い。蔑まれた目で見つめながら歩いている。
「パイプの上は蒸気が吹いたり、穴が開いたり危ないんですよ」
「だったら俺が先に行く」
どんどん突き進む清音を止め、位置を交換する。
清音の言う通り、管の上は慎重に進まなければならなかった。こんな所を考えなしに突き進んだらだろうか。
カンダタの後についていく清音はひっつき虫になり、少しも離れないようとしない。
ちらりと瑠璃を見てみれば疲弊しきった様子で一定の距離を保ちながら目を睨んでいる。
目線を前方に戻す。賑やかに喋る清音に悪寒に近いものを感じた。
「カンダタさんがいてくれると安心できますね」
エレベーターで会った時、あそこまで怯えた清音はどこに行ったのか。混乱し、身に起きた現状ですら話せないでいたと言うのに。
人が揃ったから安心したのか?それだけでは確信を得られない。
「余裕ができたみたいだな。エレベータで会った時は怯えていたのに怯えていたのに」
「皆が揃ったから安心しちゃって。それに泣いてばかりじゃ駄目ですよね」
「冷静な判断ができるようになってきたようだな」
カンダタの台詞は清音の言動に不審感が隠されていた。
「えへへ」
褒めたたわけでは無いのだが、清音は照れくさそうに笑う。そして離れて歩く瑠璃を見て笑顔を仕舞う。
「瑠璃は大丈夫、ですかね?」
頭痛は治まっているようだ。と言うのに瑠璃は近寄ることはせず、こちらを睨んでいるだけだ。
怒気が含むその目線に内心たじろぐも顔には出さなかった。怒られる理由が思い当たらない。
「心配なら傍に行ってみたらいい」
「私は嫌われているから」
清音は自嘲気味に言う。
こうして会話してるといつも通り清音である。ただ不気味なほどに落ち着いているというだけだ。
「清音を連れ去ったときのことを話せるか?」
この状態の清音なら拉致られたことを明確に話してくれるだろうと期待し、質問をする。
彼女は暗い顔で俯き、話す。
「そのことはあまり、覚えてないです」
「そうか、すまない。思い出したら言ってくれ」
また目を潤ませたので、カンダタは慌てて取り繕う。清音にとっては深い傷となっているらしい。
それほど怖い目にあったのだろうか。本人には悪いが、これまでにも学校で鬼に食われそうになったり、夢の中で洗脳、催眠にかかったりとそれなりに強烈な経験をしている。開き直っているのなら話しても良いはずだ。
しかし、本人の口がそう言っているのだからそうだろうと答えるしかない。ただ、内にある疑念が深まる。
これ以上の言及は意味がないとカンダタは質問をやめる。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる